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灯る頃
14-4
しおりを挟む「直人……ちょっと腰上げろ」
彼の手が中のものを掻き出すように触れてくる。
「や、も……無理…っ……」
「無理じゃねぇよ」
繋がる前から何度も達(い)かされて、更に繋がってからもそれは続き、過敏になりすぎた身体はどこに何が触れてもびくびくと震えが走るほどになっていた。
シーツが擦れるだけで、彼の髪が掠めるだけで――もっと言えば彼の吐息がかかるだけで、俺は反射的に目を閉じる。そのたび首を横に振っても、彼はそれを受け入れてはくれなかった。
「っあ、ぁ、――…っ!」
されるままにうつ伏せにされていた背中に、ぴったりと彼の胸板が重なって、かと思うと、引き抜かれる指と入れ替わるように彼の熱が押し入ってくる。
悲鳴にも似た声が思わず口をつき、俺は咄嗟に間近にあった枕を口許にあてがった。
頭とは裏腹に、続けざまの身体は簡単に彼を受け入れる。ぐちぐちと耳を塞ぎたくなるような音が部屋に響くと、計らずも充血したそこは収斂して彼を締め付けた。
俺は必死に口を引き結び、枕に顔を押し付ける。
「まだそんな余裕あんのかよ」
その姿を見て、逸樹さんは耳に歯を立てた。
「気にすんなって言っても……無理か」
知った風に言われて、腹が立つのに何も言えない。
口を開けばどんな声をあげてしまうかわからないし、寧ろそれが彼の思惑であるようにも感じられて、ますます身動きがとれなくなっていた。
だからと言って開き直ることも俺にはできない。だってここは俺の部屋なのだ。普段から隣の物音がそれなりに聞こえる、格安のワンルームマンション。
逸樹さんの部屋が複数あるようなマンションとは違う。
俺の部屋だって普通に暮らす分には特に不満もないけれど、こんな時ばかりはさすがに思う。
もう少し壁が厚ければって――。
「ん、ぅ、ん、んっ」
俺の思考を掻き乱したいみたいに、逸樹さんは小刻みに腰を揺さぶり続ける。
追い立てられて背を反らせ、枕から俺の頭が浮くと、待っていたようにぎりぎりまで腰を退かれ、一気に奥まで突き入れられる。
「やっ、あぁっ……!」
殺し損ねた自分の声が、少し遅れて耳に届く。俺は慌てて枕に手を伸ばし、すぐにまたそれを掻き抱こうとした。
なのにそれを彼が阻む。
「いい加減それ離せ」
「ひぁ……っ」
言うなり、彼は俺の片脚を曲げさせて、繋がりを解かないまま手際よく身体を反転させた。
広げられている部分に、さっきまでとはまた違う刺激を受けて、思わず息を呑む。
「だ、だって、声がっ……」
「口、塞いで欲しいなら俺が塞いでやる」
一旦起こしていた上体を伏せながら、逸樹さんはまっすぐに俺を見る。射抜くような眼差しが痛いくらいだった。
「ん……っ……」
彼はゆっくりと唇を重ね、俺の声を吐息ごと封じ込めた。
そうしながら、俺の胸元に触れ、充溢した熱に触れ、探るように抽挿を再開し――。
やがて同時に達したところで、俺の記憶はぷつりと途切れた。
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