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第1章
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学院に入学してからーーいや、実家に居た頃でさえ、ここまで静かな空間は珍しかった。
久しく感じていなかったスッと力が抜けるような感覚に、自分が疲れているのだと改めて実感する。
気配の主は相変わらず、最初の場所から動かない。
周囲は森らしく木々しか見えず、無意味に長居するには向かないように思える。
となると、何かしら用があって滞在しているのだろうが。
わざわざ何を、と首を傾げるブラッドの視界に、妙に一部だけ樹木がない空間が見えた。
気配もそこから反応がある。
念の為、極力気配を消しながら近付く。
するとーーそこには森の中に似つかわしくないテーブルとソファが一式。
そして、そのソファに1人腰掛け、手元の本に視線を落とした女生徒がいた。
学院に入ってからというもの、女生徒に苦手意識がすっかり芽生えているブラッドは、微かに顔を顰める。
見つかればまた騒がれ、せっかくの静かな空間が台無しだ。また別の場所を探すしかないだろう。
しかし……不思議な空間で読書を続ける彼女からは、いつも女生徒から感じるものがないような気がした。
何が、と問われれば言葉にしづらいが。
久しく感じていなかったスッと力が抜けるような感覚に、自分が疲れているのだと改めて実感する。
気配の主は相変わらず、最初の場所から動かない。
周囲は森らしく木々しか見えず、無意味に長居するには向かないように思える。
となると、何かしら用があって滞在しているのだろうが。
わざわざ何を、と首を傾げるブラッドの視界に、妙に一部だけ樹木がない空間が見えた。
気配もそこから反応がある。
念の為、極力気配を消しながら近付く。
するとーーそこには森の中に似つかわしくないテーブルとソファが一式。
そして、そのソファに1人腰掛け、手元の本に視線を落とした女生徒がいた。
学院に入ってからというもの、女生徒に苦手意識がすっかり芽生えているブラッドは、微かに顔を顰める。
見つかればまた騒がれ、せっかくの静かな空間が台無しだ。また別の場所を探すしかないだろう。
しかし……不思議な空間で読書を続ける彼女からは、いつも女生徒から感じるものがないような気がした。
何が、と問われれば言葉にしづらいが。
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