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高位鑑定士

その16

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「お待たせしました、マレットさん。いらっしゃいますか?。お部屋へお願いします」


「あ。呼ばれましたの」

神官の少女は、黒衣の青年やラーズ達に手を振る。

その姿を見て部屋内に首を向け何かを確認すると、呼んだ女性は更に言葉を繋げた。

「あの、お仲間の方も、よろしければこちらへお願いします」


一緒に呼ばれたラーズ達は意味も分からず不思議な顔をしているし、呼ばれた少女はもっと不思議な顔をしている。

そして4人が部屋に入ると、中は異様な状態だった。


さっきまで一つだけだった机は3つに増やされ、その各々にあの魔石が載せられており、高位鑑定士《ハイウォッチャー》と思われる人が5人ほど増えているのに加えて、司祭と思われる格好の人まで3人居る状況だった。


理解を超える状況に、少女達は立ちつくす。

すると、向って右の机に座るさっきまで見てくれていた女性が、こちらの席に着いてくださいと少女を呼ぶ。

そして魔石に手を添えるように指示をして、少女がそれに従う。

すると周囲の高位鑑定士ハイウォッチャーが明らかにおかしな反応をしだす。


そのあと、左の机、そして真ん中の机と移動させられては手を添える少女。

真ん中の机の周りでは、5人の高位鑑定士ハイウォッチャーが顔を寄せて、語気荒く語り合っている。

次に机に座る女性から説明を受けた一番立派な服装の司祭が少女の横に立つ。



「すいません、何かしらの呪いが知らない間にかけられてる可能性があるとの事なので、少し見せてくださいね」

少女がよく理解できないでいると、司祭長が手をかざし、触れないくらいの距離で頭から足元まで何かを探すように下げてていく。

そのまま折り返すように頭までまた探りながら上がっていく。


「ありがとうございました。私が見る限り、呪いの類は感じる事がありません」

一礼すると、司祭長は対面の席に座る女性の横で話し合う高位鑑定士ハイウォッチャーのところに行くと、話し合いに混ざる。


「…あのすいません、これは何事なんですか?」

自分達とあまりに違う対応、そして異様な雰囲気に、流石にリズが高位鑑定士《ハイウォッチャー》の女性に尋ねた。

「すいません、今からお話します。お仲間の皆さんも一緒に話を聞いて頂けると助かります」

そして後ろに立っていたリズ達3人を呼び寄せるが、黒衣の青年だけは「俺はいい」と壁際に立ったままだった。

女性は「そうですか、では」と目の前の3人を見た。



「まず、マレットさんの魔力の流れなのですが、私達の見た事のない不思議な流れをしている、そんな感じに見えます」

勿論、冒険者鑑定士《ウォッチャー》の力はほとんど理解してない3人は「はぁ?」と、とりあえず言う事を聞く事しかできない。

「次に持ってる魔力量なのですが、大体普通くらいはあると感じています」

ただ、と女性が話を続ける。

「ただ、この魔力量ではつじつまの合わないような何かを感じるんですが、それが何かが今現在分かってません」


「それは、マレットちゃんに悪い影響を与える何か、というものなんですか?」

リズが席を立ち、女性に問いかかる。

「すいません、あまりに初めての事例に私達も頭を悩ませているんです」

女性はと申し訳なさそうに答えた。


「それで、私達司祭が呼ばれまして、もしかしたら呪いや封印などで、強制的に何か魔力を削られてるのかもしれないと、見る様に呼ばれたのです」

横に立った司祭が3人に話す。

「あ、申し遅れました。私はこのジュライの司祭長を務めさせてもらっております、キールと申します。よろしくお願いします」


「え?、司祭長さんですか!?」

ラーズとリズが突然頭を下げて「こちらこそ、よろしくお願いします」と返すが、少女はそっちを見たまま軽い会釈だけを返す。

「…それで、鑑定の結果は結局どうなってますの?」

少女は空気を読む事もなく、当初の目的をズドンと尋ねた。

 
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