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第一章 十年後の七月
第三話 鬼畜な保健・体育科教師(※)
しおりを挟む薄水色のカーテンに橙色の皺が寄りだした19時にサッカー部は終礼する。
「再来週はいよいよ夏の大会だ。三年生は最後の大会で——」
緊張と泥まみれの若人たちは、福山の言葉を必死に聞く。福山も結果は残せずとも高校生活最後の大会に全力を注いでほしいと鼓舞する。
一日一日、一回一回の終礼を大切にしたいのに、急に生徒たちの視線から落ち着きがなくなった。時折福山の後ろに行っている。その眼差しは決して気持ちの良い色ではない。嫌いな教師に向ける視線だ。それに悪寒が走り、福山は恐る恐る後ろを振り向いた。
「辻本先生、どうかなさいましたか?」
「用があるから立っているんだろ」
「どうぞ」
声が聞こえるか聞こえないかの位置に立っていたのは生徒指導主事でサッカー部主顧問の辻本。
場所を空けるが来る気配はない。
つまり、部活の終礼に出てきた訳ではなく、福山に用があるという事だ。
「急ぎですか?」
「……いや」
視線が何かを訴えるが福山は無視した。
「生徒を優先してもいいでしょうか?」
あっけらかんという福山は辻本に背を向けた。
辻本はそれが面白くないといった感じで眉間に皺を寄せた。貫禄のある顔つきと40代後半の年季を感じるほうれい線。辻本の視線は、人を見下し、品定めしているようで生徒は毛嫌いしている。
「あいつまたいるぞ」
生徒の一人がぼやく。勿論辻本には聞こえていない。
「気にしなくていい。さて、さっきの話の続きだが──」
生徒へと集中し、辻本をおざなりにする。それがこの後のどんな事態を巻き起こすか分かっているのに、福山は生徒を優先する事を欠かさない。
「──じゃ、気を付けて帰れよ!」
終礼が終わるまで辻本はそこにいた。福山が近づくと顎で体育館をさし、先に歩いて行ってしまう。
生徒がいる時は後悔など無かったのに、今になって気が落ち込む。自分で種を蒔いた福山は機械の様に足を体育館へ向けた。
不安の蕾が膨らみ、開花する。しかしその花は辻本によって直ぐに枯らされるのだ。
*
誰もいなくなった真っ暗な体育館。微かな夕日も沈み、窓からの光は何もない。コーティングされた床や、金属が剥き出しの天井がバキバキと不穏な音を鳴らす。不気味な体育館の奥——体育館倉庫からは微かに人の喘ぎ声がする。
「うぁ……んん、あっ……やめ、て……もう、いや……」
助けを求めるような悲痛な幽霊の啜り泣き、もしここに近づいた者がいたらそう思うだろう。だが誰も近づかない。それを良い事に、辻本は福山をここで犯す。
「い、いやです……本当にすみませんでした……だ、だから……もう、やめてくだ……さい」
「ふん。嘘つけ。この淫乱教師め。ア○ルからこんなに汁をダラダラ垂らしやがって」
「ちがっ……お、れ、のじゃ……ぁぁ、ない……」
保健・体育の教師の癖に後ろの穴が自分自身では濡れない事を知らないのかと口答えしたい。しかし口を真一文字に結び、逆に性器が抜かれた秘部からは精液が垂れている。最初に少しの優しさで使われたローションはもう乾いてしまっている。
今、肉壁を汚し、流れ出る汁は白濁色の辻本の精液。
「はあ……はあ……」
「自分で広げろ。そして「俺は淫乱教師です。ごめんなさい」と言え」
額を跳び箱上部の皮に押し付け、身体を支える。空いた手で臀部を鷲掴みにし、ひくつく秘部を晒す。
「……俺は……淫乱教師です……ごめん、なさい」
「聞こえないぞ」
「これ以上、声を出したら外にッッ?! んあッ‼」
「悪いな。あまりにも口答えするんで黙らせてやろうと思って」
後ろの口を、もう一度勃起させた性器で塞ぎ、蜜壺に残った精子と掻きだす様に激しいピストンをくりだす。
「アッ、うッ……うう」
臀部を広げている手を辻本が掴み、身体を支えるのは跳び箱に擦りつけた額のみ。首が不規則に揺られ意識が朦朧としだす。
「あああッ」
「おら、しっかり起きろ! まだ終わってないぞ!」
「……ひっ、いっ……」
「ここにほしいか?」
「ぁああッ!! ……そこ、は、やめてくださいッッ!!」
前立腺を突き上げられてしまい、額では身体を支えられず、頬を埃臭い皮に押し付けた。揺さぶられ、摩擦で頬の皮膚が焼ける。それでも秘部や精神的な痛みに比べればマシだった。
「もっと自分で広げろ。ッく、締め付けやがって……そんなに欲しいならくれてやるよ……ッ!!」
「ッアア……ぅぅ」
結局、辻本は二度目の射精を迎え、耐え抜いた福山は冷たいコンクリートの上に重々しい音をたてて倒れた。
辻本は助けようとはしない。やってやったぞと見下ろし「淫乱教師」と福山を罵った。
「……すみません」
謝る事しかできない福山は、好きで抱かれているわけではない。それなのにまるで福山から求めて淫行に至っていると思わせるのは辻本の策略だ。
そんな男は用が済めば早々に身支度を整える。
「辻本先生」
教官室に戻ろうとしている辻本を呼び止める。
「仕事の件でお話が……」
こんな身体で、この後教官室で仕事の話など普通にできない。だったら今のうちに終わらせておこうと福山は疲弊した身体を起こした。
「今度の生活指導講習で警察の方が一人増えるそうです」
下半身を丸出しにして話す内容ではない。
それでもこの話を早く終わらせたかった。
——できれば警察官の事を知られずに
「どうしてだ」
「交通安全も兼ねて担当部署の方が来るそうです。当日自転車での実演もしたいそうなのでシートを準備します」
「おう」
返事はそれだけ。
そして倉庫に福山を捨てるように重たい扉が閉められる。埃とチョークを被った空間では呼吸もままならないが、辻本と出て行くよりは何倍もいい。
「どうすればいいんだ」
今日、抱かれた原因は分かっている。先程生徒を優先した件だ。教師なら当たり前の事だが、根っからの体育会系気質に染まった男には通用しない。
——年上の言う事には絶対
その常識を振りかざす人間ほど大した奴はいない。しかしそう言わないと下の者がついてこないのだ。
その結果、彼らは教師であるにも関わらず自分本位で、下の者が自分より生徒を優先すれば怒鳴りつける。「年下に敬われて当然」という謎の規則で威厳を保っているのだ。
「俺も宇野の件で歯向かったからずっとこんな目に……いや、あれは宇野は悪くなかった。なのに……」
教師一年目の福山は生徒を守っただけだった。その仕打ちがこれ。もう誰がどう悪いのか分からず、脳内は混乱していく。
沸騰する後頭部を冷たい床に擦りつける。頭を冷やし、深呼吸をした後、福山も倉庫をあとにした。
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