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城の中のイギリス人1
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読書欲は相変わらず奮い立っていた。それはどんな欲求よりも優位に立ち、僕の生活を常に制御していた。
僕は薄汚い湯船に浸かり、38度にまで下がった身体を浮かばせながら、マンディアルグの『城の中のイギリス人』を読んでいた。
ビニール手袋をはめた手でページをめくる瞬間は、並々ならぬ背徳感が込み上げた。
浴室に本を持ち込むという行為は、何とも破廉恥なように思われたが、その感情はますます僕をのぼせ上がらせた。
僕は一週間分の汚れが溶け込み、下水色に染まった温水に包まれながら、本を読み続けた。
城の主人モンキュは理知的だが、快楽の獲得において常軌を逸していた。
彼は通常の方法では発情せず、あれやこれやと、人道に外れた方法を試さなければ興奮することができなかった。
彼は自己刺激のために、客の前で様々なげてもの料理を出した。
テーブルの上には、人の汚物で作ったパイ、鳥の嘴に突き刺さった半生の海鳥の脳味噌、そして甲殻類の殻の中に菓子を入れたデザートが並んだ。
また魚や牛の内臓で作った、人間の秘部に見立てた料理も差し出された。
彼の美的感覚や味覚は、通常のそれらからはるかに逸脱していたが、主人はそれらの料理を全てフランス料理と呼んだ。
美食家に対する痛烈な批判とも取れる一言だった。彼はとにかく、人間の尊厳をとことん打ち砕き、禁忌をおかすことで快楽を得ていたようだった。
彼の異端的側面は、料理に留まらなかった。
モンキュは狂信的なサディストだった。彼は城の中に人間の生贄を集め、女たちを特殊な方法で拷問した。
ある女は肛門に巨大な氷を入れられ、腸管が破裂しそうになるまで貫かれた。
また別の女は、40匹以上の蛸が入った水槽に入れられ、失神するまで散々に痛めつけられた。
更に、蛸に吸われた女は主人に首輪を付けられ、闘犬と交接させられた。
異物による貫通や獣姦など、モンキュの行為は通常の懲罰を超えていた。それは『神曲』の地獄篇に匹敵するような、あるいはそれよりもより生々しくむごたらしい拷問だった。
卑猥な料理を人前に出し、また人間の生贄をわざわざ痛めつけて見せしめにするなど、彼の行為は逸脱を極めていた。
そうすることで、己のそれをようやく膨張させることができるのだが、彼はそれでも完全な快楽に満たされることはなかった。
モンキュは地下室に爆薬を仕込んだ。そして、もし自分がこれから快楽の頂点に達し、体液を放出させることができなかった場合、彼は城ごと爆破させるだろうと客に宣言した。
僕は下水色の温水に身を浸しながら、結末を待った。震える指を抑えながら、次のページをめくった。
僕は薄汚い湯船に浸かり、38度にまで下がった身体を浮かばせながら、マンディアルグの『城の中のイギリス人』を読んでいた。
ビニール手袋をはめた手でページをめくる瞬間は、並々ならぬ背徳感が込み上げた。
浴室に本を持ち込むという行為は、何とも破廉恥なように思われたが、その感情はますます僕をのぼせ上がらせた。
僕は一週間分の汚れが溶け込み、下水色に染まった温水に包まれながら、本を読み続けた。
城の主人モンキュは理知的だが、快楽の獲得において常軌を逸していた。
彼は通常の方法では発情せず、あれやこれやと、人道に外れた方法を試さなければ興奮することができなかった。
彼は自己刺激のために、客の前で様々なげてもの料理を出した。
テーブルの上には、人の汚物で作ったパイ、鳥の嘴に突き刺さった半生の海鳥の脳味噌、そして甲殻類の殻の中に菓子を入れたデザートが並んだ。
また魚や牛の内臓で作った、人間の秘部に見立てた料理も差し出された。
彼の美的感覚や味覚は、通常のそれらからはるかに逸脱していたが、主人はそれらの料理を全てフランス料理と呼んだ。
美食家に対する痛烈な批判とも取れる一言だった。彼はとにかく、人間の尊厳をとことん打ち砕き、禁忌をおかすことで快楽を得ていたようだった。
彼の異端的側面は、料理に留まらなかった。
モンキュは狂信的なサディストだった。彼は城の中に人間の生贄を集め、女たちを特殊な方法で拷問した。
ある女は肛門に巨大な氷を入れられ、腸管が破裂しそうになるまで貫かれた。
また別の女は、40匹以上の蛸が入った水槽に入れられ、失神するまで散々に痛めつけられた。
更に、蛸に吸われた女は主人に首輪を付けられ、闘犬と交接させられた。
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