有機庭園

九時木

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1-1 有機物への道

3. 都会の空気

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 緑の理想郷を実現させようという考えは、何も突発的な発想ではなかった。
 その考えは身体が欲したもの、つまり本能だった。
 俺は天井に達したポトスを見上げながら、都会の真ん中で庭園を作ることについて考え始めていた。


 都会暮らしは色々と問題がつきものだ。
 都会に暮らして数年が経つが、俺には未だに慣れないものがあった。
 それは空気の淀みだった。

 都会の空気は自動車の排気ガスで汚れていた。
 排気ガスは鼻をつくような臭いだった。それは街路樹をもってしても吸収しきれない臭いだった。

 都市部は交通量が多く、森林が少ない。そのおかげで、排ガスの吸収が間に合わず、空気がすっかり汚れてしまっていた。

 それは都会ならではの問題だった。一人ではどうしようもない問題だったが、何とかして淀んだ空気から脱したいという気持ちはあった。
 そんな時に、俺は都会でも元気に育つポトスと出会った。 


  ポトスは期待以上の成長を遂げた。
 その植物は青々と茂り、巨木のようにそびえ立っていた。
 ポトスを眺めていると、ある考えが浮かび上がった。

 もし天井や壁に支柱を固定すれば、ポトスはそれを伝って成長し、部屋全体を緑で覆い尽くしてくれるのではないか。
 そうすれば、少なくとも室内の空気は浄化され、俺は新鮮な空気を吸うことができるかもしれない。

 考えれば考えるほど、期待は膨らんだ。俺は通販を開き、早速支柱をまとめ買いした。
 支柱はもちろん木製のものだった。俺は木製の支柱を部屋中に張り巡らせた、木の檻のような内装を思い浮かべた。

 それは正に理想的な空間だった。俺はポトスのもたらす新鮮な空気を夢見ながら、支柱が届くのを待った。
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