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エピローグ パパさん
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「はえ……?」
目を丸くする美玲ちゃんに、ぼくも目を丸くしながら確認する。
「毎日、リビングのソファーで、新聞読んでいるじゃない? 美玲ちゃんとママさんの会話をニコニコしながら聞いているし、みんなと一緒にテレビも観ているよね?
美玲ちゃんが自分の机で勉強しているときは、いつも、うしろから見ていてくれてるし、寝ているときも、たまに部屋にきて頭をなでているじゃない。
えっ、ウソでしょ? パパさんって……」
自分で言いながらも、次々と思い出すパパさんの姿に不自然さを覚える。
そういえばパパさんは、ママさんとも美玲ちゃんとも、一言も会話をしていない……。
美玲ちゃんの家に居候したとき、すでにぼくは、お化けと出会っていたのだ!
衝撃の事実に驚きながら美玲ちゃんを見上げると、美玲ちゃんの目からは、とめどなく涙があふれていた。
「わたし、ずっと見守られていたのね!
なんで、パパは姿を見せてくれなかったの?
いいえ、わたしが強い子になれるよう、あえて姿を見せなかったんだわ!
ミッケ! もっともっと、パパのことを聞かせて!!」
「わかった!」
感動のあまり滝のように流れる涙をそのままに、ぼくは、いままで見たパパさんの姿をけんめいに思い出す。
「美玲ちゃんがお風呂に入るときは、一緒にはだかになって入っていくし、トイレでうんうん唸っているときも、心配そうに様子を見にいくし、こっそり鼻をほじって、そこらへんに放り投げたときも、しっかりティッシュに包んでゴミ箱に捨ててくれるし……。ほんとに娘想いの、やさしいパパさんだよっ!」
美玲ちゃんの顔がみるみるうちに、真っ赤に染まっていく。
ぼくは余計なことまで、言っちゃったのかなぁ?
「ばかばか、パパのバカ~!
こっそりかくれて見てないで、姿を現せ、この変態オヤジ!!」
部屋じゅうを走り回りながら、わめき散らす美玲ちゃん。
なんでパパさんは、美玲ちゃんに姿を見せないのかわからないけど、いまも美玲ちゃんのことを、微笑みながら見つめている。
パパさん、バラしちゃってごめんね。でもこれで、美玲ちゃんの怠惰な生活も、少しは改善されるよね。
大好きなお父さんに、いつも見守られているんだから。
あれ、裏世界から美玲ちゃんを連れ戻したのって、もしかして……。
【おしまい】
ぼくミッケ。読んでくれて、ありがと!
じゃあまたね~。
目を丸くする美玲ちゃんに、ぼくも目を丸くしながら確認する。
「毎日、リビングのソファーで、新聞読んでいるじゃない? 美玲ちゃんとママさんの会話をニコニコしながら聞いているし、みんなと一緒にテレビも観ているよね?
美玲ちゃんが自分の机で勉強しているときは、いつも、うしろから見ていてくれてるし、寝ているときも、たまに部屋にきて頭をなでているじゃない。
えっ、ウソでしょ? パパさんって……」
自分で言いながらも、次々と思い出すパパさんの姿に不自然さを覚える。
そういえばパパさんは、ママさんとも美玲ちゃんとも、一言も会話をしていない……。
美玲ちゃんの家に居候したとき、すでにぼくは、お化けと出会っていたのだ!
衝撃の事実に驚きながら美玲ちゃんを見上げると、美玲ちゃんの目からは、とめどなく涙があふれていた。
「わたし、ずっと見守られていたのね!
なんで、パパは姿を見せてくれなかったの?
いいえ、わたしが強い子になれるよう、あえて姿を見せなかったんだわ!
ミッケ! もっともっと、パパのことを聞かせて!!」
「わかった!」
感動のあまり滝のように流れる涙をそのままに、ぼくは、いままで見たパパさんの姿をけんめいに思い出す。
「美玲ちゃんがお風呂に入るときは、一緒にはだかになって入っていくし、トイレでうんうん唸っているときも、心配そうに様子を見にいくし、こっそり鼻をほじって、そこらへんに放り投げたときも、しっかりティッシュに包んでゴミ箱に捨ててくれるし……。ほんとに娘想いの、やさしいパパさんだよっ!」
美玲ちゃんの顔がみるみるうちに、真っ赤に染まっていく。
ぼくは余計なことまで、言っちゃったのかなぁ?
「ばかばか、パパのバカ~!
こっそりかくれて見てないで、姿を現せ、この変態オヤジ!!」
部屋じゅうを走り回りながら、わめき散らす美玲ちゃん。
なんでパパさんは、美玲ちゃんに姿を見せないのかわからないけど、いまも美玲ちゃんのことを、微笑みながら見つめている。
パパさん、バラしちゃってごめんね。でもこれで、美玲ちゃんの怠惰な生活も、少しは改善されるよね。
大好きなお父さんに、いつも見守られているんだから。
あれ、裏世界から美玲ちゃんを連れ戻したのって、もしかして……。
【おしまい】
ぼくミッケ。読んでくれて、ありがと!
じゃあまたね~。
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遅ればせながら、最後まで読ませていただき
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ミッケの語りが可愛らしい上に読んでて凄く
楽しかったです!世界観が作り込まれていて
伏線の回収も鮮やかで、とても読み応えが
ありました。
色んな謎が残るラストも続編を期待してし
まいます。面白い物語を読ませていただき
ありがとうございました!
橘 弥久莉さま
同じく執筆活動している方にご感想をいただけるなんて、とても嬉しく励みになります!
実は結構前に書いた作品で、ラストで広げた風呂敷のたたみ方が、まるで思い出せないのですが、
なんか続編が書きたくなりました〜
今度、橘さまの作品もぜひ読まさせていただきますね。
ご感想、ありがとうございました!
思わずアジフライが食べたくなった😋
ありがとございます!!
美玲ちゃんの性格と、ミッケちゃんの性格の対比が面白いです。
ミッケちゃんの行動が可愛すぎる〜
ねこって可愛いですよね〜