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第2章 ライオン☆ハート
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「だ、誰か、誰か助けてくれ!」
懐中電灯の光に気付いたのか、男が血の気の引いた真っ青な顔で、ぼくらの方へ走ってくる。
しかし、美玲ちゃんたちの姿を見て落胆したのか、その場にへたり込んでしまった。
「なんだ、子どもかよ! おまえら、やめとけ! ここマジで出るぞ!」
乱れた呼吸をけんめいに整えながら、あとから走ってきたもう一人の男にふり返る。
「おい、ナオは? ナオはどこだ? おまえ、置いてきちまったのかよ!」
「そんな余裕ねえよ! ここもヤバいぞ! はやく逃げようぜ!」
男たちは、チャーシューご自慢の懐中電灯を奪い取って、走り去ってしまった。
とつぜんの出来事に、事態がつかめず呆然とするぼくたち。
するとチャーシューが、汗だくの坊主頭を乱暴に引っかきながらつぶやいた。
「お、おかしいな……」
なにごとかと、みながチャーシューに注目する。
「ワイがひとりで、この廃病院の四階の診察室にまで行けた理由は……」
「行けた理由は……?」
固唾をのんで、その先の言葉を待つ美玲ちゃんたちに向かって、チャーシューが続ける。
「ここの幽霊が襲うのは、女性限定だからやねん」
まさに怒り心頭。
頭の上にいながらも、美玲ちゃんの怒りが、ひしひしと足から伝わってくる。
「それで、わたしが呼ばれたってわけね……。
なんですかぁ? わたしはオトリなんですかぁ? その女好きのエッチなお化けに、わたしを生け贄として差し出すつもりだったんですかあっ!」
「ご、誤解やで!」
怒り狂う阿修羅のごとく形相で詰めよる美玲ちゃんに、頭から滝のように汗を流しながら、チャーシューが弁明する。
「あくまでも黒崎はんのパワーを見込んだまでや! ワイら男は、後方から黒崎はんを、しっかりサポートしまっせ!」
「はあ? サポートって、あんたになにができるのよ? お化け相手に相撲でも取るっていうの? なら、得意の張り手で、お化けを廃病院から押し出してみなさいよっ!」
美玲ちゃんの怒鳴り声が響くなか、優斗くんはひとり考え込んでいた。
「その話が本当なら確かにおかしいね。いまのひとたち、なんで男なのに襲われたんだろう?」
その言葉に、美玲ちゃんの怒りをごまかそうとするチャーシューが飛びついた。
「せやねん! せやねん! おかしいやろ? そこがワイも腑に落ちんとこや!」
いまだおさまらない怒りにイライラしながらも、美玲ちゃんも会話に混ざった。
「そういえば、さっきのチキンな男ども、『ナオはどこだ?』って言ってなかった? もしかしてナオって、女の人の名前だったんじゃない……? きっと女の人も一緒にいたのよ」
そのとたん、いままで散々怖がっていた優斗くんが、血相を変えて走り出す。
「いまもあの廃病院に取り残されているんだ! 急がないと姉さんの二の舞になっちゃうよ! すぐに助けなきゃ!」
懐中電灯の光に気付いたのか、男が血の気の引いた真っ青な顔で、ぼくらの方へ走ってくる。
しかし、美玲ちゃんたちの姿を見て落胆したのか、その場にへたり込んでしまった。
「なんだ、子どもかよ! おまえら、やめとけ! ここマジで出るぞ!」
乱れた呼吸をけんめいに整えながら、あとから走ってきたもう一人の男にふり返る。
「おい、ナオは? ナオはどこだ? おまえ、置いてきちまったのかよ!」
「そんな余裕ねえよ! ここもヤバいぞ! はやく逃げようぜ!」
男たちは、チャーシューご自慢の懐中電灯を奪い取って、走り去ってしまった。
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するとチャーシューが、汗だくの坊主頭を乱暴に引っかきながらつぶやいた。
「お、おかしいな……」
なにごとかと、みながチャーシューに注目する。
「ワイがひとりで、この廃病院の四階の診察室にまで行けた理由は……」
「行けた理由は……?」
固唾をのんで、その先の言葉を待つ美玲ちゃんたちに向かって、チャーシューが続ける。
「ここの幽霊が襲うのは、女性限定だからやねん」
まさに怒り心頭。
頭の上にいながらも、美玲ちゃんの怒りが、ひしひしと足から伝わってくる。
「それで、わたしが呼ばれたってわけね……。
なんですかぁ? わたしはオトリなんですかぁ? その女好きのエッチなお化けに、わたしを生け贄として差し出すつもりだったんですかあっ!」
「ご、誤解やで!」
怒り狂う阿修羅のごとく形相で詰めよる美玲ちゃんに、頭から滝のように汗を流しながら、チャーシューが弁明する。
「あくまでも黒崎はんのパワーを見込んだまでや! ワイら男は、後方から黒崎はんを、しっかりサポートしまっせ!」
「はあ? サポートって、あんたになにができるのよ? お化け相手に相撲でも取るっていうの? なら、得意の張り手で、お化けを廃病院から押し出してみなさいよっ!」
美玲ちゃんの怒鳴り声が響くなか、優斗くんはひとり考え込んでいた。
「その話が本当なら確かにおかしいね。いまのひとたち、なんで男なのに襲われたんだろう?」
その言葉に、美玲ちゃんの怒りをごまかそうとするチャーシューが飛びついた。
「せやねん! せやねん! おかしいやろ? そこがワイも腑に落ちんとこや!」
いまだおさまらない怒りにイライラしながらも、美玲ちゃんも会話に混ざった。
「そういえば、さっきのチキンな男ども、『ナオはどこだ?』って言ってなかった? もしかしてナオって、女の人の名前だったんじゃない……? きっと女の人も一緒にいたのよ」
そのとたん、いままで散々怖がっていた優斗くんが、血相を変えて走り出す。
「いまもあの廃病院に取り残されているんだ! 急がないと姉さんの二の舞になっちゃうよ! すぐに助けなきゃ!」
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