二条姉妹 篇 人間界管理人 六道メグル

ひろみ透夏

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エピローグ

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「……あなた、ここを継いだのね」


「坂田佐和子は同郷だ。やったことは許せねえが、彼女の意思は引き継いでやりてえ」

 モグラが厨房ではしゃぎながら皿を洗う、香澄と紬に目を向ける。

 「いずれあの子たちにたすきをつなぐさ。それまでにおいらは、ここでやらなきゃならねえことがある」


 モグラは二条美華が金山に録音を強要した、雨宮香澄のスマートフォンをテーブルの上に置いた。
 ボイスレコーダーから金山の震える音声が流れる。

 そこには今までに誘拐した子どもの名前、関与した大人たちの名前が語られていた。


 「誘拐された子どもは何処かで魔鬼として生きている。逃げた金山を捕まえたところで警察に突き出せねえのなら、せめて誘拐に関与した人間にはおいらが罰は与えなきゃならねえ。あんだけの悪さをして、のほほんと……」

 二条杏香が口を挟んだ。


 「あなた、六道が存在する意味をまるでわかってないのね。あなたがやらなくても因果の法則は絶対。善行も悪行もいずれ己に返る。報いは必ず受けるのよ」


 モグラがパイプ椅子の背もたれに寄りかかり、口を尖らせた。


 「なんだぁ? 四聖ししょう様の説教か? おいらはおいらでやりたいようにやらせてもらうぜ。人間界は自由意思の世界だからよ!」


 困ったように二条美華があいだに入った。

 「まあいいわ。子どもたちの体を魔鬼から奪い返すのは手伝ってあげる。あなたも一人じゃ大変でしょう?」

 「こりゃまた、随分と六道に干渉するようになったじゃねぇか二条美華。雨宮香澄の魂に触れて、人間に情が湧いてきたのかい?」

 「調子に乗らないで。目的はそれだけじゃないわ」


 杏香と美華が、互いの顔を見合わせる。
 意を決したように、美華が口を開いた。


 「メグルくんが、人間界に戻ってきた」


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