二条姉妹 篇 人間界管理人 六道メグル

ひろみ透夏

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第7話 あしながおじさんと女の子

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「……あっ、つむぎちゃん」

 雨宮香澄の表情がとたんに明るくなる。

 「知ってるの?」

 メグルが訊ねると、雨宮香澄は立ち上がってこたえた。

 「わたし、憑依した体の記憶と感情が読めるから……」

 芝生広場を一気に走ってきた女の子は、押し倒さんばかりに雨宮香澄に抱きついた。

 「もう、香澄ねえちゃんどこ行ってたのさぁ? すごく寂しかったんだからっ!」

 雨宮香澄の胸に抱かれながら、女の子がほっぺを膨らませて怒り出す。

 「最近、配達ばかりだったの。わたしも会いたかったよ!」

 キラキラと輝くような香澄の笑顔に、メグルはいつのまにか自分の表情が緩んでることに気づいた。
 雨宮香澄が、こんなにも弾けるように笑うなんて……。


 「……新しいお友だち?」

 女の子が雨宮香澄に抱きつきながらメグルに目を向けた。
 メグルは立ち上がり、手を差し出した。

 「菅野メグル、小学六年生です」

 差し出された手をじっと見つめた女の子が、香澄を見あげる。
 雨宮香澄が笑顔でうなづくのをみて、女の子がメグルの手を握った。

 「わたし如月紬きさらぎつむぎ。小学二年生です。よろしくね」

 ピンクのコートに白いふわふわのマフラーをした如月紬は、ツインテールの髪を揺らしながら愛嬌のある笑顔を見せた。

 「香澄ねえちゃんが公園に向かって歩いてるのお昼休みの校庭から見つけて、紬、追いかけてきちゃった」

 「あ~あ、悪い子だ。じゃあ、お姉ちゃんと一緒に学校もどろうね」

 「えぇ~やだぁ! 一緒に『つながり』行ってお菓子食べようよ~」

 「はい、まわれ~右! いちにっ、さんしっ!」


 如月紬の背中を押して小学校へ戻ろうとした雨宮香澄が、ふと振り返りメグルに耳打ちした。

 「……坂田さんに頼み込んで、配達やってみて」

 雨宮香澄と如月紬が、はしゃぎながら公園の芝生広場を走っていく。
 その姿はどこの公園でも見かける、幸せそうな光景だった。


 「あいつ、雨宮香澄の魂と混ざっちまったんじゃねぇか……?」

 いつのまにかモグラも立ち上がり、メグルと同様二人の姿を見つめていた。
 モグラの指摘は言い得て妙だとメグルは思った。

 サヤカの場合は、本人と憑依した魂のどちらかが覚醒し、もう一つの魂は寝ているような状態だった。


 「あんなにも干渉しないと言っていたのに……。人間を理解しようとしているのか、二条美華」


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