二条姉妹 篇 人間界管理人 六道メグル

ひろみ透夏

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第5話 つながり

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 「生き物の死体って……こんなにも愛情の詰まった料理になんて言い草……。いったいどんな育てられ方したら、お前さんみたいな憎たらしい子に育つんだろうね、まったく!」

 モグラがぷんすか腹を立てているうちに、すっかり食事を済ませてしまった少女が席を立つ。
 すると厨房から女性が声をかけてきた。

 「香澄ちゃん、もしよかったら、今日も配達頼めるかしら?」

 「今日はこれから用事があるので……ごちそうさま」

 「いいのよ。また今度、時間があるときにね」

 モグラがここぞとばかりに会話に入り込む。

 「なんと驚いた! 配達までなさってるんですか?」

 「なかには施設に来られない方や、顔をだしたくない方もいるので、そんな方には特別に配達をすることがあるんです」

 「大変なんですねぇ……あっ、おいら何でもやります! 手伝わせてください!」

 「まあうれしい! じゃあ食器洗いをお願いしようかしら。けっこう溜まってるの」

 「よろこんでっ!」


 自分と少女の食べ終わった食器を持って厨房に駆け込むと、女性に話しかけながら賑やかに皿洗いをするモグラ。
 いつのまにか携帯ゲームに夢中だった子どもたちも、その楽しげな雰囲気に引き寄せられて厨房に入り、モグラが洗った皿を拭いている。

 「あいつ、子どもは大嫌いって言ってたのに、意外と好かれるんだよな……」

 そんな光景を眺めながら、メグルがぬるくなったシチューをすすっていると、

 「きみ、食べるの遅いね」

 背後から声をかけてきたのは、さきほどの少女だった。


 「なんださっきの……。用事があるんじゃなかったんですか?」

 「もう済んだ。きみと話がしたくて」

 そう言いながら、少女はメグルの向かいの席に座った。

 「話があるならさっきすれば良かったのに……」

 「さっきは……坂田さんが居たでしょ?」

 ちらりと視線を厨房の中の女性に向けた。
 それからしばらく、少女は頬杖をついてメグルをじっと見つめていた。


 瞳の中を覗き込むよう、まっすぐに――。


 「何ですか? 訊きたいことでもあるなら、なんでもどうぞ」

 居心地の悪さを感じたメグルがそう言うと、少女は眉を緩めてこたえた。

 「じゃあ、お言葉に甘えて……」

 厨房ではしゃぐモグラや子どもたちの声に混じって、シンクで跳ねる水の音や重ねられる皿の音が室内に漂っている。

 パイプ椅子の背もたれに寄りかかった少女は、コートのポケットに手を突っ込んだまま、静かに訊いた。



 「なんできみ、魔鬼と戦ってるの?」


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