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再建の鐘の音
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白いローブに腰に黒い革のベルト2本で締め、首から聖母のチャームのついた銀の首飾りをして、肩まで黒い長髪を垂らす顔立ちの良い青年は、街の廃墟となったシュミエルタを訪れていた。
彼は教会の瓦礫の上に座り、遠くの空を眺めていた。
街の建物は崩壊し、ただの1つもまともな姿として残ってはいない。家の外壁らしい物が、各々の家の敷地を表す。それを見て、青年は、虚しいものだ、と呟いた。
「君は、約束を守れていない。この街は魔物にやられたものだ。決して、君がこの様な街にした訳じゃない。それは、わかっているんだよ…」
青年は、聖母のチャームを掌に乗せ、悲しそうに目をやった。
「何処かで、君は私を笑っている訳じゃないよな。私は、君を信じた。そうだろう?」
街の廃墟に風が巻き、そして吹き抜ける。誰もこの廃墟にはいない。この青年を除いて。この死んだ街に同化する様に、青年はそっと目を閉じ、微動だにしなくなった。
遥か遠くの声が風に乗り、この廃墟に微かな声を運んでも、青年は気づかぬ振りをして、そのまま、じっとしていた。
空の天辺まで上った陽は、やがてゆっくりと落ち始め、瓦礫の影が大きく傾き、陽は地平線に沈む。大地を照らす役割は、月明かりと星々の輝きに変わる。
青年は目を開け、息をふうっと吐いた。
「…この街を諦めたか。それも、仕方のない事なのかも知れない。再建は難しいと判断したのか?それならば、仕方がない…」
青年は目に失望を浮かべ、名残惜しそうに街の瓦礫に視線を落とす。しばらくして、失望を掻き消す様に瞬きをして、立ち上がった。教会の瓦礫から飛び降り、着地と同時に小さな砂埃が舞う。
「ただ、君が言った言葉だ。嘘を並べるのが得意な訳じゃないだろう」
青年は白いローブを翻し、街から去ろうと、瓦礫の山の合間をゆっくりと歩き始めた。
しばらく歩くと、鐘の塔が倒壊して、道を塞いでいる。その倒壊した塔の上を歩かず、違う道を選び、瓦礫の山を避けながら、歩いた。
3つほど瓦礫の山を避けた時、枯れ果てた根の束が、目の前の瓦礫から顔を覗かせていたのに気づいた青年は、唇を震わせた。そして、その根の束を恐れる様に、目を背けた。
「そうだ…。きっと綺麗に咲いていた」
青年は苛立ちを抑えきれず、片腕を強く掴んだ。歯が軋み、体を小刻みに震わせた。
「ハヤト…」
「私との誓いを破れば、わかっているだろうな?」
「お前には、死んでもやらなくてはならない事があるだろう?」
「忘れるな…。決して、忘れるなよ」
彼は教会の瓦礫の上に座り、遠くの空を眺めていた。
街の建物は崩壊し、ただの1つもまともな姿として残ってはいない。家の外壁らしい物が、各々の家の敷地を表す。それを見て、青年は、虚しいものだ、と呟いた。
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青年は、聖母のチャームを掌に乗せ、悲しそうに目をやった。
「何処かで、君は私を笑っている訳じゃないよな。私は、君を信じた。そうだろう?」
街の廃墟に風が巻き、そして吹き抜ける。誰もこの廃墟にはいない。この青年を除いて。この死んだ街に同化する様に、青年はそっと目を閉じ、微動だにしなくなった。
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青年は目を開け、息をふうっと吐いた。
「…この街を諦めたか。それも、仕方のない事なのかも知れない。再建は難しいと判断したのか?それならば、仕方がない…」
青年は目に失望を浮かべ、名残惜しそうに街の瓦礫に視線を落とす。しばらくして、失望を掻き消す様に瞬きをして、立ち上がった。教会の瓦礫から飛び降り、着地と同時に小さな砂埃が舞う。
「ただ、君が言った言葉だ。嘘を並べるのが得意な訳じゃないだろう」
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「そうだ…。きっと綺麗に咲いていた」
青年は苛立ちを抑えきれず、片腕を強く掴んだ。歯が軋み、体を小刻みに震わせた。
「ハヤト…」
「私との誓いを破れば、わかっているだろうな?」
「お前には、死んでもやらなくてはならない事があるだろう?」
「忘れるな…。決して、忘れるなよ」
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