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優等生謳い

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「おい、田中!そのネクタイの結び方、違うぞ」







「自由な校風がこの学校のいい所じゃないですか、先生」








「結び方が蝶ネクタイになってるぞ。この中学がいつからパーティー会場になったんだ?」







「僕のサクセスストーリーの途中経過を拝めるんだ、そういう意味じゃ、この学校はパーティー会場みたいなものさ、先生」







「この間のテスト、数学の北島先生が言ってたけど、お前、名前書き忘れただろ?0点になったぞ」







「ああ、そうなんですね。学生諸君にいいハンデをあげただけに過ぎない。他の教科は間違いなく、100点なのです」






「ひと教科が0点取って、他が100点だったとしても、順位としては、お前が私に見せてる態度ほど、圧倒的に高くはならないぞ。残念だが、並よりは上程度だ」








「まあ、いい。今回のテストは、挨拶代わりですよ」










「誰がその挨拶をしてるのかは重要じゃないのか?名前書くのを忘れるなんて、致命傷だったな」










「これから、僕の名前なんて、嫌でも知る事になるでしょうよ」







「今回のテスト、数学ではお前だけが0点らしいぞ。では、お前の念願通り、有名になれる様にこの事を掲示板に大きく貼り出す事にしよう」







「先生!権力的圧力は止めておいた方がいい…。後で後悔する事になりますよ?」







「かわいい生徒の希望だ、いち早く有名にしてやろうと思っての事だが?」







「それなら、僕がテストの全て100点を取った時にお願いしますよ」







「それは永遠に訪れないだろうな、お前は名前を書き忘れるから」









「今後、万に一もない小さな汚点にばかり目がいく様では、良い先生になれるとは思いませんよ、先生…」









「お前の良い点をまだ見せてもらっていないから、私にとって、お前は欠点まみれの生徒になっている。早く良い点を先生に見せてくれないか」








「わかった、これから僕に注目ですよ、先生」









「危険な生徒として、これからも目を離さないでおくとするよ」







『優等生謳い』…完
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