AZ雫over drive

sayure

文字の大きさ
上 下
13 / 38

友達

しおりを挟む
「おい、与四郎!」



「与四郎は俺の父さんだよ…。他人の父親の名前を気安く呼ぶなよ」



「すまぬ…」



お前はいつの時代の奴だよ。高校の同級生だけど、たまにお前がわからないよ。



「最近、好きな曲があるんだけどさ。彼女の取扱説明書とかいうやつ。あれ、いいな」




あー、なるほど。





「私、機嫌悪くなるけど、お前アプローチ止めるな、みたいな警告文が入ってる歌だよね?」




こんな言い方しちゃってる時点で、俺はこの歌に愛着がないのかな?





「放置プレー、まじキレんぞみたいな所がいいよな」



そうなんだ。不思議な奴だ。



「そんな彼女がいいんだ?ま、確かに歌ってる本人は可愛いよな」



「俺の彼女に似てんだよな…」



お前の彼女は、お前の部屋の壁に貼ってるツンデレの2Dキャラだろ。彼女とか言うんじゃないよ。



「何言ってんだよ。デートにも連れ出せないだろ…?」



「じゃあ今度、何処かデートに連れて行ってやるか。…お前、出してみてくれ」



お前は一休宗純(一休さん)か。足利義満が夜な夜な絵の中の虎が外に出て暴れるから、退治しろって言われて、一休宗純がじゃあ、退治するから絵から虎を出せって言ったんだろ?



それができたら、もはや高校生など続けてはいない。世界が俺を呼んでいるからな。



「ところでお前の彼女は元気か?」



あれは俺の妹だって、何度も言っただろうが。妹のいないお前にはどう思うかわからないだろうが、妹のいる俺は、妹を彼女と間違われるくらい気持ち悪い事はないんだよ。



「あ、そうだったな。妹子だったな、ゴメン!」



妹だよ!妹子は、聖徳太子に命令されて中国に遣隋使として行った男だよ。本人に妹子とか言ったら、お前の代わりに俺が酷い目に遭う。



「腹減ったな。あそこのファーストフードで食べてくか?」



指を指した公園の中にファーストフードは、ない。何処の次元の世界のファーストフードを指している。



「あ、そこの公園を超えて1キロほど行くと、エムバーガーショップがあるからさ」



じゃあ、今来た道を300メートルほど戻った所にあるエムバーガーショップでもいいな?



「あ、着信音。これ、彼女からの電話だな…!」



極限なまでの空耳だよ。病院直行レベルの冗談は止めてくれ。



「俺、お前の妹と付き合ってもいいぞ?」



「それは、ダメだ!!」






『友達』…完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

コントな文学『パンチラ』

岩崎史奇(コント文学作家)
大衆娯楽
春風が届けてくれたプレゼントはパンチラでした。

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

河童村

ごむらば
大衆娯楽
河童村という視聴者参加型のゲーム番組に参加した大学生はその番組である親子と出会う。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...