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友達

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「おい、与四郎!」



「与四郎は俺の父さんだよ…。他人の父親の名前を気安く呼ぶなよ」



「すまぬ…」



お前はいつの時代の奴だよ。高校の同級生だけど、たまにお前がわからないよ。



「最近、好きな曲があるんだけどさ。彼女の取扱説明書とかいうやつ。あれ、いいな」




あー、なるほど。





「私、機嫌悪くなるけど、お前アプローチ止めるな、みたいな警告文が入ってる歌だよね?」




こんな言い方しちゃってる時点で、俺はこの歌に愛着がないのかな?





「放置プレー、まじキレんぞみたいな所がいいよな」



そうなんだ。不思議な奴だ。



「そんな彼女がいいんだ?ま、確かに歌ってる本人は可愛いよな」



「俺の彼女に似てんだよな…」



お前の彼女は、お前の部屋の壁に貼ってるツンデレの2Dキャラだろ。彼女とか言うんじゃないよ。



「何言ってんだよ。デートにも連れ出せないだろ…?」



「じゃあ今度、何処かデートに連れて行ってやるか。…お前、出してみてくれ」



お前は一休宗純(一休さん)か。足利義満が夜な夜な絵の中の虎が外に出て暴れるから、退治しろって言われて、一休宗純がじゃあ、退治するから絵から虎を出せって言ったんだろ?



それができたら、もはや高校生など続けてはいない。世界が俺を呼んでいるからな。



「ところでお前の彼女は元気か?」



あれは俺の妹だって、何度も言っただろうが。妹のいないお前にはどう思うかわからないだろうが、妹のいる俺は、妹を彼女と間違われるくらい気持ち悪い事はないんだよ。



「あ、そうだったな。妹子だったな、ゴメン!」



妹だよ!妹子は、聖徳太子に命令されて中国に遣隋使として行った男だよ。本人に妹子とか言ったら、お前の代わりに俺が酷い目に遭う。



「腹減ったな。あそこのファーストフードで食べてくか?」



指を指した公園の中にファーストフードは、ない。何処の次元の世界のファーストフードを指している。



「あ、そこの公園を超えて1キロほど行くと、エムバーガーショップがあるからさ」



じゃあ、今来た道を300メートルほど戻った所にあるエムバーガーショップでもいいな?



「あ、着信音。これ、彼女からの電話だな…!」



極限なまでの空耳だよ。病院直行レベルの冗談は止めてくれ。



「俺、お前の妹と付き合ってもいいぞ?」



「それは、ダメだ!!」






『友達』…完
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