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ゴッドハンド

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外科内科と分野を問わず、あらゆる困難な手術オペを手掛け、成功を収めてきた。患者やそのご家族、医療業界の多くの人々から、この世に舞い降りた救いの神、ゴッドハンドと呼ばれた、私が漆原うるしはらみなぎです。

その私が、オペで恥をかかされたので、次のオペが不安なのです。

この間のオペの時、私が患者の腹部を切開をするためにメスと言ったのですが、オペ助手が風俗嬢のリストを見せてきて、どのメスがいいですか?と言ってきたんです。

右上のボブカットの女性が好みではあったんですが、じゃあ、右上のメスをとは言えないですよね。

女性をメス呼ばわりして、働く人達の半数が女性のこの病院で、平然と過ごせるほど強い心臓は持ち合わせていないので。

そもそも、今はオペが第一優先なので、女性を欲してはいない訳ですよ。

そして、改めて、メス!と言ったら、オス!と言って、私を指差してきたんです。

このゴッドハンドこと漆原みなぎに対して、オスと言って指差すとは…。

カブトムシでも発見したか?という様な感じでやってきたので、私もびっくりして何も言えませんでした。

結局、別のオペ助手がメスを取ってくれたので、良かったんですが。

ちなみに、そのメスを取ってくれたオペ助手は女性でした。

関係ないですね、すみません。

そのオペ助手は、病院長の従兄弟なので、下手な事は言えないのです。

ゴッドハンドと言われているほどの医師なら、どうにでもできるでしょうと言う人もいますが、ゴッドハンドと呼ばれても、ビッグマウスではないので、あまり大きな事は言えません。

コンビニの焼き鳥さえ食べられれば、幸せな男ですから。

嘘です。

霜降り和牛食べたいです。

病院長が私の腕に嫉妬して、刺客を送り込んできたと思って、何とか殺されずに次のオペ、頑張りたいと思います。

患者も殺されない様に、頑張ります。






『ゴッドハンド』…完
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