魔gic Operation Girl! HARUKA

sayure

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第1章 怨讐に女童

おいでよ

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夜7時頃、一人の少女が、辺りを注意深く見回し、初等部の教室に入っていく。

「暗くて、見づらいなぁ」

自分の机を漁り、教科書を何冊か椅子の上に置き、目を凝らして確認する。

「ああ、あった!」

少女は安堵し、国語の教科書を手に取ると、残りの教科書を机にしまい、立ち上がった。



《勝手に、教室に入った奴がいる!》

突然、男性の声が聞こえてくる。

少女は、驚き、気まずそうな表情を浮かべ、机の影に隠れた。

《見つけ次第、お仕置きだ!》

男性は、怒りの声を上げる。

少女はその声を訊き、慌てて、教室の戸の向こうを窺う。

廊下は暗く、様子がわからない。

足音も聞こえず、人の気配も感じなかった。

少女は、姿勢を低くしながら、足音を立てず、ゆっくり、ゆっくりと、教室の戸へ近づいた。

戸の向こうを窺う。

静寂が広がる廊下。そこには、誰一人いなかった。

ほっと胸を撫で下ろし、一歩、廊下へ足を踏み出した。



漆黒に染まる鳥が赤い眼を光らせ、闇の空に舞う。

たくさんの炭の様な塊が地面に敷き詰められ、それは地平線まで広がり、乾いた風に揺らされ、不気味な音を立てる。

「ここは、どこ!?」

少女の周りには、何もない。

地平線までも、建物一つない。

学校も、家々も、消え去っていた。

《素晴らしい世界の始まりだよ》

「…え?」

地面の底から、声がする。それに少女は反応し、唇を震わせながら、恐る恐る下を見る。

《よかった…。気づいてくれたんだね》

「え"…?」

突然、地面からすすで黒く染まった手が伸び、少女の右足首を掴んだ。

少女は悲鳴を上げ、バランスを崩し、地面に尻を打つ。

「いやぁぁ…!」

少女は泣きながら、足首に絡みつく黒い手を外そうと、必死に引っ掻いた。

《僕…、僕だよ。安心して。ねぇ?》

「…!?」

《絶望の先に、未来がある…》

「…!!」

ガクガクと恐怖に膝を揺らす少女の両足の間の地面から、少年の黒い顔が覗く。

《絶望は終わった…》

その黒い顔は、両目を塞いでいる。

しかし、不思議な所から、それは開いた。

《心配しないで、赤井さん。僕の目は、見エテイルヨ》

額から、灰色の瞳を覗かせている。
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