47 / 47
第2章 それは夢を謳い…紡ぐは絶望
脅威へ
しおりを挟む魔幻とくしの動きを抑える。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説


もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる