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第2章 それは夢を謳い…紡ぐは絶望
シュケイン
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絹毛を絡ませ、明花姿のメデナリンジェに歩み寄る直立身長1メートルの犬。
「初めまして。儂の名前は、シュケイン。オルロッド銀銃士団という魔物対抗組織のメンバーじゃ」
そう言うと、シュケインと名乗った犬は、椅子に腰掛けた。
「可愛らしい顔ね。いつ言葉を覚えたの?」
メデナリンジェは、微笑し、そう言った。
「駆け引きも良いが、少し我々との関係も前進させた方が良いぞ。この世界は、我々オルロッド銀銃士団が、魔物との均衡を保って成り立っているのだから」
「均衡?討伐は目指していないのね。魔物とうまくやっていくという事を言ったのよ、貴方」
シュケインの言葉に、メデナリンジェは表情を少し険しくさせ、そう言った。
「長い話になる。ただ、相手側の頭領も、討ち果たした。指を咥えているだけでは、ないのだ」
シュケインは、そう言い、少し頭皮の毛繕いをする。
「まぁ、いいわ。先ほどの獅子顔にも言ったんだけど、強力な魔力を幾つか貯めておける金属を、貴方達、持っているわよね。あれは、何処で手に入れたの?」
「…」
「言えない、か。別に話しても、いいとは思うけれどね」
「あれは、我々のかつての仲間が持って来た技術じゃ。それは、大きな成果を上げ、魔物と対抗できるまでになったのじゃ」
シュケインは、メデナリンジェの問いに、低く重々しい声で、言った。
「かつての仲間…。今は?」
「既に、亡くなった」
「わかった…」
メデナリンジェはそう言ったが、シュケインの警戒心を強く表してきた目、そしてその後に少し目を泳がせたのを見逃さなかった。
「私の名前は、メデナリンジェ。ザドシエリという人型の魔物を追っているのよ。見つけたら、よろしくね」
メデナリンジェはそう言い、椅子から立ち上がった。
するというシュケインは、椅子にもう一度掛ける様に促した。
「メデナリンジェ殿、他に聞きたい事があるんじゃないのかな?」
「…?」
シュケインは、呆けているメデナリンジェに、呟いた。
「何故、あの時に貴女が助かったのか、とか、な」
メデナリンジェは、そのシュケインの言葉を聞くと、少し苛立ち、唇を震わせ、それを隠す様に微笑んで見せた。
「そうね、忘れてたわ…」
「初めまして。儂の名前は、シュケイン。オルロッド銀銃士団という魔物対抗組織のメンバーじゃ」
そう言うと、シュケインと名乗った犬は、椅子に腰掛けた。
「可愛らしい顔ね。いつ言葉を覚えたの?」
メデナリンジェは、微笑し、そう言った。
「駆け引きも良いが、少し我々との関係も前進させた方が良いぞ。この世界は、我々オルロッド銀銃士団が、魔物との均衡を保って成り立っているのだから」
「均衡?討伐は目指していないのね。魔物とうまくやっていくという事を言ったのよ、貴方」
シュケインの言葉に、メデナリンジェは表情を少し険しくさせ、そう言った。
「長い話になる。ただ、相手側の頭領も、討ち果たした。指を咥えているだけでは、ないのだ」
シュケインは、そう言い、少し頭皮の毛繕いをする。
「まぁ、いいわ。先ほどの獅子顔にも言ったんだけど、強力な魔力を幾つか貯めておける金属を、貴方達、持っているわよね。あれは、何処で手に入れたの?」
「…」
「言えない、か。別に話しても、いいとは思うけれどね」
「あれは、我々のかつての仲間が持って来た技術じゃ。それは、大きな成果を上げ、魔物と対抗できるまでになったのじゃ」
シュケインは、メデナリンジェの問いに、低く重々しい声で、言った。
「かつての仲間…。今は?」
「既に、亡くなった」
「わかった…」
メデナリンジェはそう言ったが、シュケインの警戒心を強く表してきた目、そしてその後に少し目を泳がせたのを見逃さなかった。
「私の名前は、メデナリンジェ。ザドシエリという人型の魔物を追っているのよ。見つけたら、よろしくね」
メデナリンジェはそう言い、椅子から立ち上がった。
するというシュケインは、椅子にもう一度掛ける様に促した。
「メデナリンジェ殿、他に聞きたい事があるんじゃないのかな?」
「…?」
シュケインは、呆けているメデナリンジェに、呟いた。
「何故、あの時に貴女が助かったのか、とか、な」
メデナリンジェは、そのシュケインの言葉を聞くと、少し苛立ち、唇を震わせ、それを隠す様に微笑んで見せた。
「そうね、忘れてたわ…」
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