魔gic Operation Girl! HARUKA

sayure

文字の大きさ
上 下
40 / 47
第2章 それは夢を謳い…紡ぐは絶望

シュケイン

しおりを挟む
絹毛を絡ませ、明花姿のメデナリンジェに歩み寄る直立身長1メートルの犬。

「初めまして。儂の名前は、シュケイン。オルロッド銀銃士団という魔物対抗組織のメンバーじゃ」

そう言うと、シュケインと名乗った犬は、椅子に腰掛けた。

「可愛らしい顔ね。いつ言葉を覚えたの?」

メデナリンジェは、微笑し、そう言った。

「駆け引きも良いが、少し我々との関係も前進させた方が良いぞ。この世界は、我々オルロッド銀銃士団が、魔物との均衡を保って成り立っているのだから」

「均衡?討伐は目指していないのね。魔物とうまくやっていくという事を言ったのよ、貴方」

シュケインの言葉に、メデナリンジェは表情を少し険しくさせ、そう言った。

「長い話になる。ただ、相手側の頭領も、討ち果たした。指をくわえているだけでは、ないのだ」

シュケインは、そう言い、少し頭皮の毛繕いをする。

「まぁ、いいわ。先ほどの獅子顔にも言ったんだけど、強力な魔力を幾つか貯めておける金属を、貴方達、持っているわよね。あれは、何処で手に入れたの?」

「…」

「言えない、か。別に話しても、いいとは思うけれどね」

「あれは、我々のかつての仲間が持って来た技術じゃ。それは、大きな成果を上げ、魔物と対抗できるまでになったのじゃ」

シュケインは、メデナリンジェの問いに、低く重々しい声で、言った。

「かつての仲間…。今は?」

「既に、亡くなった」

「わかった…」

メデナリンジェはそう言ったが、シュケインの警戒心を強く表してきた目、そしてその後に少し目を泳がせたのを見逃さなかった。

「私の名前は、メデナリンジェ。ザドシエリという人型の魔物を追っているのよ。見つけたら、よろしくね」

メデナリンジェはそう言い、椅子から立ち上がった。

するというシュケインは、椅子にもう一度掛ける様に促した。

「メデナリンジェ殿、他に聞きたい事があるんじゃないのかな?」

「…?」

シュケインは、呆けているメデナリンジェに、つぶやいた。



「何故、あの時に貴女が助かったのか、とか、な」



メデナリンジェは、そのシュケインの言葉を聞くと、少し苛立ち、唇を震わせ、それを隠す様に微笑んで見せた。

「そうね、忘れてたわ…」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(完結)「君を愛することはない」と言われて……

青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら? この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。 主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。 以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。 ※カクヨム。なろうにも時差投稿します。 ※作者独自の世界です。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

処理中です...