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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その303裏

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「まずいぞ!?ハムカンデが襲われそうじゃないか!あいつがやられたら、この街はメチャクチャになる!誰か、助けてやれよ…!?そうだ、浮浪殲滅部隊がいるじゃないか!?」



「ハムカンデが戦いで有利な立場なら、浮浪殲滅部隊は動くだろうけどな。元々、あの部隊はホルケンダの部隊だ。ハムカンデがホルケンダを殺したと思っている奴らが、動く訳がないだろう。この街は終わりだ。俺はもう、それでいいと思っている」



「俺は、本当の街に戻るか。こんな、空から天罰を与えようと睨みきかせている場所にいつまでもいたくなんかはない。それに、俺達オーロフ族の力では、魔闘石があっても、さらに北に進んで支配を広めるなんて、力足らずだ。もう、この辺でいいだろう」



「また底辺に落ちて、泥水でも飲むのか?俺はそんなの御免だ!」



「オーロフ族の中でもまだ強そうな者も、不可解な死で、もう戦力という戦力は残っていないじゃないか。それも、あの古球磨ごくま族の暗殺によるものだって、薄々気づいていただろう?」



「うわーっ!太鼓六変人ロクヘンジンの首が落ちている!?誰か、誰か!」



「…もし、ハムカンデが死んだら。私達、東角猫トーニャ族はオーロフ族に仕返しをするか迷うところだよねぇ。散々、奴隷としてこき使ってくれたんだからさぁ。オーロフ族の魔闘石には、日々、私達が持ち帰った魔力を蓄えている。力はさすがに、オーロフ族が上になるのなら、まずは逃げる事から先かねぇ」



「ここじゃ、もう商売はできねえな。どうせ、旅人なんて見かけなくなったんだから、とっくに潮時は迎えてたんだ。丁度いい訳だな」



「今のうちに、逃げる準備でもするか…」



「古球磨族は強いけど、ハムカンデの彫魔法ジェルタも強力だ。俺はどうすればいいんだぁぁ!」



誇闘会ことうかいは荒れまくったな。それも、あのリョウマ族のせいだ。早く死んでくれれば問題なんてなかったのに」



「リョウマ族のやつ、あのメベヘと正面から向き合って戦って、互角だと?しかも時々見せるあの俊敏な動きは何だ?まるで、東角猫族みたいじゃないか。そうか、あいつは東角猫族の技を使っていたな。何者なんだ…?」



「リョウマ族にあんな奴がいたなんて。あの種族は壊滅状態と聞いていたが、それでいい。あんなしつこいのが何人もいたら、溜まったもんじゃないからな」



「あら、あんた。逃げるのかい?誇りがないものねぇ。オーロフ族との主従関係がなくなったら、淋しいから、また主人を探しに旅にでも出るのかい?今度は、どんな劣等種族を主人にするつもりなのかい?」



「私は、あんたとは違うんだよ!?やり返したい気持ちもあるけど、命が大事なんだ。あんたは鼻息でも荒らして、気の済むまで戦っていればいいのさ!」



「言うじゃないか…。あんた、この街を出て最初に出会うのが私じゃない事を祈るんだねぇ。もし出会ってしまったなら、その時はわかるわよねぇ?」
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