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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その298裏

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族は、動物を狩る事により生を営む。

族は、自然の大地による恵みを享受し、生を営む。

族は、他種の族に畏怖の念を植え、時に殺め、その者達の財を奪い、生を営む。

族を長らえる方法は、もっと多種に及ぶ。

だが、俺ら古球磨ごくま族が脈々と受け継がれた生き方は、常に残虐なものだった。

残虐などそんな事、俺でもわかっている。

中身を腐らせ、村ごと奪って、俺らの村とした。

子供も、女も、知った事かと。

でも、俺は好かんかった。

俺のかかあは偉大じゃったな。

誰にも優しい異端児じゃった。

だから、忌み嫌われ、殺された。

妹のハクナが残った。

かかあに似ていた…。

古球磨族で村を襲った時、泣き怯える子を見て、俺は震えた。

俺が子を斬ったら、ハクナの姿とこの子の斬り殺された姿を、重ねて見てしまう。

俺は、その子に威嚇をして、尻を蹴り、村から逃してやった。

それに気づいたメカリエは、それがお前の弱さだと、恐え目をして、怒っとったな。

残虐を肩書きにしている様な族は、他にもおる。

俺らの天敵、鬼眼鴉キメア族。

あいつらの《冬枯れの牙》は、今は鬼眼鴉族で全てを構えてはおらん。

よそ者を招き入れた事で、勢力を拡大し、俺らでは歯が立たん様になっていった。

俺らが族と戯れて生きるなんて、そんな真似事、今さらできる訳がない。

そんな事をすれば、弱体化した古球磨族に積年の恨みをと、徒党を組んで攻め入られる。

俺らの先祖代々から受け継がれたこの血は、そんな事を許されない。

最悪最強を謳う一族、その道から逸脱すれば、この身に呪いがかかる様になっとるんじゃ。

それに、俺は負けるのが嫌いじゃあ。

頭を下げるくらいなら、戦って白黒つけちゃる。

だから、俺はハムカンデは元々、好かんのだ。

でも、奴と出会う前にサイクロスがオーロフ族と取引をし、共存の道を選んだ。

俺らは、孤高の誇りを削り、生存する方法を優先した。

オーロフ族から分け与えられた魔闘石ロワを手に入れ、それがこの身に馴染んだなら、その時は俺らがオーロフ族を従わせる。

そのつもりだった。

だが、サイクロスは変わってしまった。

気が狂ったのかと思うほど、牙が抜け、住人を盲目的に信じる様になった。

だから、殺された。

誰が信じられると?

バカな男じゃあ、サイクロスは。

同族に殺された。

メカリエも、怒り悶え、くたばったサイクロスを罵った。

そして、あまりの怒りに、メカリエはサイクロスに手を掛けた奴らを皆殺しにし、肢体をバラバラにし、獣に食わせた。

メカリエは、古球磨族最後の希望じゃったな。

頭目がいれば、俺らはきっとまた、最強の一族に返り咲く事ができる。

俺は、きっと妹のハクナが弱点になっていた。

不要な思い入れで、軟弱になっとる、そう思われたに違いない。

だから、俺の前で殺された。

そう、俺のせいだ。

ハクナを殺した後、ハムカンデは俺に、オーロフ族を陥れようとしていた計画には目を瞑ると言った。

反逆扱いにされたのは、ハクナのみ…。

ハクナは処刑されたんじゃ。

その時、俺の頭の中には、オーロフ族の死体の山が築かれた。

予言じゃ、お前らの未来は真っ暗闇。

皆殺しじゃあ。

この街の空の監視は、俺を放ってはくれなかった。

俺も制裁を受け、感情を抜かれた。

でも、少しずつ。

本当に少しずつ、俺の感情が戻っていった。

だが、ばれぬ様に。

復讐の時を待っていた。

そして時を経て、ハムカンデの隙を作る者が現れた。

リョウマ族。

お前を殺し損ねた事に感謝せねばな。

お前は、今思えば、最高じゃあ。









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