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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その296
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ハムカンデが小鈴とは呼ばず、メルシィーニの叫んでいた通りの名前を呼んだ。
やっぱり、小鈴はクラファミースで間違い…。
小鈴はハムカンデが口にしたその名前を聞いて、東角猫族の喉元に伸ばした殺しの手を止め、驚いた様な表情を見せた。
そして、その呼び名の懐かしい響きを噛み締める様にして目を細め、空を見上げ、息を吐いた。
その小鈴の目は、傲慢で怒りまくったものとは少し違う、穏やかな目をしている様に見えたんだ。
そう、記憶の景色にいた、クラファミース。その目と同じ
お前、やっぱり。
メルシィーニ、お前は嗅覚は間違いなかった。
小鈴がクラファミースなんだとは思っていたけど、今、100%の確信に変わった。
「クラファミース、今なら思い出せるか?自分の子の名前を…」
「…」
「私の、子は…」
俺に見せる目も、刺々しいものじゃない。俺の声に反応している。
そうだ。思い出せよ。
お前の子は、メルシィーニなんだよ。
ずっと、待っていたんだ。
だけど、お前が帰ってこないから…。
あいつも変わっていったのかも知れない。
思い出せ、メルシィーニを。
せめて自分の過ちを認めて、メルシィーニに、最後の別れをしてやってくれ。
お前に殺されても、まだ、お前に期待している…。
シャキィィッ!
突然、白く輝く尖った金属が、クラファミースの胸から飛び出して、そしてそれは再び胸の中に沈んでいった。
服がその箇所を中心に、赤く染まって、広がっていった。
「な…」
何が起こったんだ?
どうした…んだよ。
クラファミースは目に力を失くして、膝から崩れ落ちる様にして、地面に倒れていった。
どうしたんだ?
なあ…?
お前は、これから本当のクラファミースに戻って、やり直さなきゃならないんだ。
そうだ。
そうなんだよ、クラファミース!
メルシィーニが浮かばれないだろうがよ!
「なのに…どうして?」
ハムカンデの悲痛な叫びが響いても、きっと何にもならない。
クラファミースは…。
「これ以上の蛮行を許す訳にはいかぬわな。この街の秩序を保つのも、儂の役割と言えようか。愚劣なる小鈴よ、このメベヘの刃の餌食となり、果てる事を喜ぶがいい!なあ?」
メベヘ、お前か?
お前が、やりやがったのか?
お前達は、あの天守層にいる仲間じゃないのか?
多少いがみ合っていたからって。
何で…。
どうして、そんな事を…。
「リョウマ族!次に試合うのは、この儂だ。今度こそ、お前を殺してやろう!?ありがたく思えよ、このメベヘが本気を出してやろうと言っているのだ、地面に頭を擦り付けて、感謝をするほどだ」
誰も救われねえ。
俺が関わると、誰も救われねえんだよ…。
何も期待できない。
もう。
何もかも、滅びちまえよ…。
そう、俺すらも。
「…」
「油断など、度を越さなければ、程良い高揚感が得られる。さあ、お前の血という血の全てを体から吐き出させ、塵の様に撒き散らせてやる。心地良い断末魔の叫びを聞かせてみろ?」
俺の体中に流れる血が温度を失い、そして凍りつくみてえだ。
メルシィーニは母親を見つけた。
でも、その母親は小鈴という仮面を被り、我が子であるメルシィーニを殺した。
ようやく、その仮面が外れようとしていたのに…。
メルシィーニを、思い出してくれたかも知れないのに。
なあ?
メベヘ…。
お前は俺を殺してくれるか?
そうじゃなきゃ…。
カチャッ!
「クカカッ!大剣を構えたな?よぉし、試合うぞ!?片腕を切り落とされたのは、お前。お前のせいだ。儂とお揃いにしてやるからな?」
「お前を…」
「お前を」
何も迷う事はない。
再び燃え上がるゼドケフラーの怒りの炎が、こんなにも心地良いと感じる事はない。
もう迷う事はないんだ。
「お前を、斬る…!」
やっぱり、小鈴はクラファミースで間違い…。
小鈴はハムカンデが口にしたその名前を聞いて、東角猫族の喉元に伸ばした殺しの手を止め、驚いた様な表情を見せた。
そして、その呼び名の懐かしい響きを噛み締める様にして目を細め、空を見上げ、息を吐いた。
その小鈴の目は、傲慢で怒りまくったものとは少し違う、穏やかな目をしている様に見えたんだ。
そう、記憶の景色にいた、クラファミース。その目と同じ
お前、やっぱり。
メルシィーニ、お前は嗅覚は間違いなかった。
小鈴がクラファミースなんだとは思っていたけど、今、100%の確信に変わった。
「クラファミース、今なら思い出せるか?自分の子の名前を…」
「…」
「私の、子は…」
俺に見せる目も、刺々しいものじゃない。俺の声に反応している。
そうだ。思い出せよ。
お前の子は、メルシィーニなんだよ。
ずっと、待っていたんだ。
だけど、お前が帰ってこないから…。
あいつも変わっていったのかも知れない。
思い出せ、メルシィーニを。
せめて自分の過ちを認めて、メルシィーニに、最後の別れをしてやってくれ。
お前に殺されても、まだ、お前に期待している…。
シャキィィッ!
突然、白く輝く尖った金属が、クラファミースの胸から飛び出して、そしてそれは再び胸の中に沈んでいった。
服がその箇所を中心に、赤く染まって、広がっていった。
「な…」
何が起こったんだ?
どうした…んだよ。
クラファミースは目に力を失くして、膝から崩れ落ちる様にして、地面に倒れていった。
どうしたんだ?
なあ…?
お前は、これから本当のクラファミースに戻って、やり直さなきゃならないんだ。
そうだ。
そうなんだよ、クラファミース!
メルシィーニが浮かばれないだろうがよ!
「なのに…どうして?」
ハムカンデの悲痛な叫びが響いても、きっと何にもならない。
クラファミースは…。
「これ以上の蛮行を許す訳にはいかぬわな。この街の秩序を保つのも、儂の役割と言えようか。愚劣なる小鈴よ、このメベヘの刃の餌食となり、果てる事を喜ぶがいい!なあ?」
メベヘ、お前か?
お前が、やりやがったのか?
お前達は、あの天守層にいる仲間じゃないのか?
多少いがみ合っていたからって。
何で…。
どうして、そんな事を…。
「リョウマ族!次に試合うのは、この儂だ。今度こそ、お前を殺してやろう!?ありがたく思えよ、このメベヘが本気を出してやろうと言っているのだ、地面に頭を擦り付けて、感謝をするほどだ」
誰も救われねえ。
俺が関わると、誰も救われねえんだよ…。
何も期待できない。
もう。
何もかも、滅びちまえよ…。
そう、俺すらも。
「…」
「油断など、度を越さなければ、程良い高揚感が得られる。さあ、お前の血という血の全てを体から吐き出させ、塵の様に撒き散らせてやる。心地良い断末魔の叫びを聞かせてみろ?」
俺の体中に流れる血が温度を失い、そして凍りつくみてえだ。
メルシィーニは母親を見つけた。
でも、その母親は小鈴という仮面を被り、我が子であるメルシィーニを殺した。
ようやく、その仮面が外れようとしていたのに…。
メルシィーニを、思い出してくれたかも知れないのに。
なあ?
メベヘ…。
お前は俺を殺してくれるか?
そうじゃなきゃ…。
カチャッ!
「クカカッ!大剣を構えたな?よぉし、試合うぞ!?片腕を切り落とされたのは、お前。お前のせいだ。儂とお揃いにしてやるからな?」
「お前を…」
「お前を」
何も迷う事はない。
再び燃え上がるゼドケフラーの怒りの炎が、こんなにも心地良いと感じる事はない。
もう迷う事はないんだ。
「お前を、斬る…!」
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