354 / 399
第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その248裏
しおりを挟む
オデの中に、誰にでも噛みつき、食い殺してしまいそうな別のオデがいる。
もう元のオデには戻れない。
体の中のいろんな所がすごく痛い。そして、どんどん体が内側から膨らんで、破裂しそうな感覚がある。息もしにくくなった。
もうオデは幼獣のまま生きてはいけないんだ。
成獣にならないと、オデの兄弟達みたいに、体が耐えられなくなって死んでしまう。
成獣になったエズアみたいに、神獣と呼ばれ、みんなに崇められる存在になりたかった。
ほとんどのゼドケフラーは成獣になれず、幼獣のまま死んでしまう。
ベルダイザーを早く探さないといけなかった。
ベルダイザーはそこまで速くはないけど、一度噛みついたら離さない。体が少し薄い赤色の毛をしていて、魔力のせいかたまに金色に光る。お腹に青い模様をしている。
昔にゼドケフラーを遠目で見た事がある。
同じ幼獣のゼドケフラーが戦っていて、あともう少しのところでベルダイザーに倒された。
その時のオデは恐くて、震える事しかできなかった。
そして、ケガをしていたベルダイザーはそのまま逃げていった。
でも、オデはあの時よりはずっと強くなったんだ。
今なら、ベルダイザーを倒す事ができるって、思えるんだ。
オデは城にいた住人から何かされたのかも知れない。だから、ベルダイザーの幻覚ばかり見る。何体も倒しても、最後にはベルダイザーじゃないと知るんだ。
倒した相手を食べようとしても、その魔力じゃ意味がない。
だから、そのまま何も食べないでいる。
もうあきらめて、オデの仲間達の様に、死に場所を探そうか。
母獣や成獣のゼドケフラー、そしてゼドケフラーを祭り上げる住人達に期待されて。それでも、成獣になれなかった。
幼獣のまま、死んでしまうなんて。
みんなも恥ずかしくて、幼獣のまま死ぬ姿を見られたくないから、森の奥、草木に囲まれた地面にうずくまって、誰にも見られない様に死んでいくんだ。
ギィィ…ッ!
誰だッ!?
「さあ、お前の真の戦いが、待っているぞ」
「ガルルルルッ!!」
「さあ、しっかりしろ。パルンガ、お前の出番だ」
「鬼乱技、幻灯惨…」
「グルルルッ…」
「う?」
まさか。
…こんなところでまた会えるなんて。
ひさしぶりだ。
オデの事、覚えてたのか。
クラビタ。
「お前はまだ、幼獣のままか。俺はもう立派な成獣になった。次は、お前の番だぞ」
オデと同じくらいに生まれて、どっちが先に成獣になるか勝負だって言ってた。それなのに、クラビタは消えた。
もう死んでしまったかと思ってたのに。
「さあ、こっちにおいで」
「クラビタ!」
「ほら、下に見えるあの人集りの方に目をやって」
「あんなにたくさんのベルダイザー!!すごい数だど!?」
「よく見ろ、そうじゃない。壇上の右側を見てみろ。何が見える?」
小さいベルダイザー?
「壇上の右端の、そのさらに下にいるのが、本物のベルダイザーだ。我々の視力で十分に確認できるよな?」
ベル…ベルダイザー!
何だか、不思議な感じのするベルダイザーだど。
懐かしい…。
「他の者はオーロフ族や東角猫族達。お前にとって、何の価値もない輩だ」
え?でも…。
そうだ、ベルダイザーじゃない。
じゃあ、あれがオデが倒すべきベルダイザー!
「ガァオオオッ!!」
「とても強敵だが、相手を欺く行為をしてくるんだ。怯んだ様にも見せて、お前の隙を窺ってくる。躊躇う事なく命を奪い、血肉を食らうといい。お前が幼獣で終わるかどうか、最後の機会だ。逃す様な真似をするんじゃないぞ」
「殺す…!必ず、殺す!」
「そうだ、それでいい」
「…これでサイクロスも、本気を出してくれる」
もう元のオデには戻れない。
体の中のいろんな所がすごく痛い。そして、どんどん体が内側から膨らんで、破裂しそうな感覚がある。息もしにくくなった。
もうオデは幼獣のまま生きてはいけないんだ。
成獣にならないと、オデの兄弟達みたいに、体が耐えられなくなって死んでしまう。
成獣になったエズアみたいに、神獣と呼ばれ、みんなに崇められる存在になりたかった。
ほとんどのゼドケフラーは成獣になれず、幼獣のまま死んでしまう。
ベルダイザーを早く探さないといけなかった。
ベルダイザーはそこまで速くはないけど、一度噛みついたら離さない。体が少し薄い赤色の毛をしていて、魔力のせいかたまに金色に光る。お腹に青い模様をしている。
昔にゼドケフラーを遠目で見た事がある。
同じ幼獣のゼドケフラーが戦っていて、あともう少しのところでベルダイザーに倒された。
その時のオデは恐くて、震える事しかできなかった。
そして、ケガをしていたベルダイザーはそのまま逃げていった。
でも、オデはあの時よりはずっと強くなったんだ。
今なら、ベルダイザーを倒す事ができるって、思えるんだ。
オデは城にいた住人から何かされたのかも知れない。だから、ベルダイザーの幻覚ばかり見る。何体も倒しても、最後にはベルダイザーじゃないと知るんだ。
倒した相手を食べようとしても、その魔力じゃ意味がない。
だから、そのまま何も食べないでいる。
もうあきらめて、オデの仲間達の様に、死に場所を探そうか。
母獣や成獣のゼドケフラー、そしてゼドケフラーを祭り上げる住人達に期待されて。それでも、成獣になれなかった。
幼獣のまま、死んでしまうなんて。
みんなも恥ずかしくて、幼獣のまま死ぬ姿を見られたくないから、森の奥、草木に囲まれた地面にうずくまって、誰にも見られない様に死んでいくんだ。
ギィィ…ッ!
誰だッ!?
「さあ、お前の真の戦いが、待っているぞ」
「ガルルルルッ!!」
「さあ、しっかりしろ。パルンガ、お前の出番だ」
「鬼乱技、幻灯惨…」
「グルルルッ…」
「う?」
まさか。
…こんなところでまた会えるなんて。
ひさしぶりだ。
オデの事、覚えてたのか。
クラビタ。
「お前はまだ、幼獣のままか。俺はもう立派な成獣になった。次は、お前の番だぞ」
オデと同じくらいに生まれて、どっちが先に成獣になるか勝負だって言ってた。それなのに、クラビタは消えた。
もう死んでしまったかと思ってたのに。
「さあ、こっちにおいで」
「クラビタ!」
「ほら、下に見えるあの人集りの方に目をやって」
「あんなにたくさんのベルダイザー!!すごい数だど!?」
「よく見ろ、そうじゃない。壇上の右側を見てみろ。何が見える?」
小さいベルダイザー?
「壇上の右端の、そのさらに下にいるのが、本物のベルダイザーだ。我々の視力で十分に確認できるよな?」
ベル…ベルダイザー!
何だか、不思議な感じのするベルダイザーだど。
懐かしい…。
「他の者はオーロフ族や東角猫族達。お前にとって、何の価値もない輩だ」
え?でも…。
そうだ、ベルダイザーじゃない。
じゃあ、あれがオデが倒すべきベルダイザー!
「ガァオオオッ!!」
「とても強敵だが、相手を欺く行為をしてくるんだ。怯んだ様にも見せて、お前の隙を窺ってくる。躊躇う事なく命を奪い、血肉を食らうといい。お前が幼獣で終わるかどうか、最後の機会だ。逃す様な真似をするんじゃないぞ」
「殺す…!必ず、殺す!」
「そうだ、それでいい」
「…これでサイクロスも、本気を出してくれる」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
26
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる