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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その239裏

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クラファミースなんていなかった、って。

全くの無駄足だったかにゃ。

あのバカ正直な奴がウソなんてつくはずがない。

私が直に動くのもまずい。お葬式ごっこなんかやり続けてるこの街の東角猫トーニャ族とは異質な感じが伝わると、私はよそ者だってわかってしまうから。

奴隷なんかにされてたまるかにゃ。

明日、城の前で何かやるみたいな事を、城から来た無表情な人形が家々を回って話していたけど、そこに行けば、この街にいるかどうかわかるよねぇ。

それなら、明日まではこの街に留まるべきだよねぇ。

夜道であの名無しリョウマ族と出会うまでは私はすっかり孤独な生き方に慣れていた。でも、あの時のあいつの涙は、失望したてのものだった。

しょっぱい涙。

今さら、失望なんて流行らないのに。

それは当たり前の事で、その状態が普通だと感じてから、初めてこの世で惰性でも生きようと思えるのに。

おかげで、私が最後に流した涙の事、思い出したじゃないか。

お前の魔力を売って、そのまま始末するつもりだったのに、思い出したから、もうそんな気は全て消し飛んだ。

私が心から安心できた場所。

かけがえのない存在だったのに、引き離されて、連れて行かれた。

今はそんな存在自体、誰も思い浮かべる住人なんていないんだろうなぁ。

私も忘れていたんだからさ。

今さら、だよね。

もう、私の事、覚えていないのかも知れない。

それを知る方がつらいのなら、またいつもの様な生活に戻るべきだ。

何も期待しない方が、楽に生きられるんだから。

だけど、あの名無しは、相変わらず目が死んでいない。

失望の涙は枯れ、また希望の花が咲いた?

いい目には会っていないのに、不思議な奴だにゃ。

あんなのの側にいると、こっちまで変な期待感が出てきちゃう。

あいつはそんなに望める様なものを持っていない様な気もしてたけど、急に強くなったり、そのまた逆で弱くなったり、忙しい奴だにゃ。

あの崖の上にある家に連れて行かれていたみたいだけど、変な奴に好かれているみたいだ。

下手な芝居をして見せても、私にはわかる。

そいつは、とても危険な存在。

あの残忍な古球磨ごくま族を目にする事ほどおぞましい事はない。

私達、東角猫族とオーロフ族の立場が逆転し始めた元凶なんだから。

この街みたいに奴隷化されるなんてのは最悪。

古球磨族も、オーロフ族も、奴隷扱いされてもこの街に妙に馴染んでるバカな東角猫族も、みんな滅んでしまえばいいにゃ。

私はもう、誰に対しても仲間意識なんて持ってはいない。

そんなもの持っていても、きっと裏目に出る。

だけど、『クラファミース』はきっと違う。

そうだよね?

そう。

私もまた、心の奥底では希望を捨てていなかった。

それを気づかされたんだ。

だから、私はどんなに失望しても、死なずにしぶとく生き残ってきた。

明日。

明日、会いに行くから…ね。

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