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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その204

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「…俺が、わかるか?」



「パルンガ」



俺の事を今、テテと呼んだよな?

お前は、俺の知っているパルンガのままか?

俺をからかったのかよ?そんな芸を、何処で覚えたんだ。



「なあ、パルンガ…」



「…」



パルンガの目は、俺を認識しかねてる様な目をしている。

目を見開いて、少し目を泳がせている。

お前の記憶の中に、まだ俺がいる。

思い出せ、パルンガ。

俺はここにいる。

俺に敵対の意思がないって、証明してくれよ。



「…」



「パルンガ、俺が東角猫トーニャ族の女に殺されそうになった時、あの時は自分の事しか見えてなかったけど、お前は俺を助けに来てくれたよな?」



「俺は、あの時は…」



バァンッ!!



「パ、パルンガ…?」



「何を怒ってるんだよ…!俺がわからないのか?」



「ガルルルルッ!!」



「何で、俺がわからねえんだよ!?」



バァンッ!!



パルンガが、また俺に殺気立った目を向けてくる。どうしてなんだよ?お前の中に、まだ俺は…いるんだ。そうだよな?



「ガルルルルッ!!」



「倒す…ど!」



「絶対に、お前を…倒す!」



俺を?倒すって言ったのか?

そうかよ…。お前から見た俺は、敵か?



「お前が俺を助けに来てくれた時に…俺は、心が、よ…」



本当に救われたと、思った…けど。



「ガルルルルッ!!倒す!!」



「わかったよ、パルンガ」



俺がこの世界の事がよくわかってなかっただけだ。心を通わせた奴から死んでいく。お前も、ゼドケフラーが成獣にならないで死んでいくって。兄弟でも、好敵だって、そんな事を言ってたよな?

俺は、お前に倒される訳にはいかないんだよ。

俺はこんなクソ気分悪い世界で死にたくはないからな。

お前も、結局…。



「ガルルルルッ!!」



バァンッ!バァンッ!



「俺を倒したいか?俺を…殺したいのか?」



バァンッ!



「俺を、殺したいのかって、聞いてんだよッ!?」



「こ、殺す…!」



言いやがったな。俺は、お前を助けにここまで来てやったのによ!俺はお前に殺されるためだけに、ここに来た訳じゃねえんだよ!?

ゼドケフラーなんて、このまま絶滅しちまえ。

エズアだって、殺されるべくして殺されたのが真実なんだろう!

戦いに参加したのがクェタルドを救うためだなんて、笑わせてくれる。

ただ、無闇にあらゆる生物を殺して、満足したいだけだ。

ハムカンデは、よくエズアの残虐性に気づいたな。そこだけは、ハムカンデを褒めてやるよ!



「ガルルルルッ!!殺す!!」



「そうかよ、パルンガ!お前がその気なら…」



俺を、殺すだなんて。

パルンガ…。



「俺も、お前を…」



「倒してやる!覚悟しておけよ!?」



「ガルルルルッ!!」



「お前とは、今から敵同士だ。次に会ったら、その時は決着をつけてやる…!」



「ガルルルルッ!!」



「バカ野郎ッ!!」
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