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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その187裏

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「ナグがゼドケフラーの幼獣にやられるとは。古球磨ごくま族の力量も落ちたという事かな。なあ、メベヘよ」



「ハムカンデ様、儂はそうは思わん。多分、油断があったんじゃないのかな?決して許すまじき、下らん驕りが命取りとなったんだ」



「そのナグを、お前が私の立場なら何としても救うべきだと思うか?」



「儂なら…」



「きっと、そのまま死なせてやる。ゼドケフラーに不覚を取った古球磨族など、同族とは思えないでな」



「ほう。大した誇りだよ、メベヘ。だから、私はお前をこの天守層に護衛として配置しているのだ。実に、正しい判断をする。だが、お前は片腕を同族のゲルに落とされたのであろう?それは失態と言うべきかな、メベヘよ」



「あの落とされた片腕には、溢れ出るほどの儂の驕りが詰まっていた。これで、一心の迷いなく儂のすべき物事に心血を注ぐ事ができる。ハムカンデ様に一層、お役に立てるという事ですな!」



「ふぅむ。よく言った、メベヘよ。何事も犠牲はつきもの。そこから何かを学び取れば、良い教訓となる訳だ」



「なあ、小鈴ショウレイよ。お前も過去は捨て去り、今はこの宝酷城ほうこくじょうの重役とも言うべき立場を保っておる。このメベヘもお前と同じ様になれると思うか?」



「だははっ!無理だな、私と同じになるなんて。お前は歯がないから、なぁ?」



「何を、貴様…。体は誰よりも膨れて大きいが、それがそのまま力量とはならんのだ。東角猫トーニャ族風情が会話を読み違えるなよ?死ぬ事になるぞ…」



「だははっ!弱えメベヘが、私に盾突くなんて、かわいい、だなぁ?お前なんて、一瞬で首ポキン、だ!」



「素晴らしい者達だ。常に己の牙を研ぎ澄ませておるのだな。しかしその力、私のために取っておけよ?やがて訪れる熾烈な闘乱にお前達の力が必要なのだ」



「わぁかってる!」



「御意…」



「その相手は、まさかあの来訪者とか言わんでしょうな?」



「メベヘよ、その者には明後日に相応しい相手を用意する事にした。同情、愛情など、戦の足枷となる様な不要な感情を消滅させ、立派な戦士にするための舞台…」



「ハムカンデ様?」



「フフ。ゼドケフラーを見事殺してみせよ、リョウマ族よ…」



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