268 / 448
第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その183
しおりを挟む
同じ道を何回か往復しながらも、無事ボルティアの宿に着く事ができた。あの後、視界の悪い夜道の中、うまくシブと出くわさずにここまで来れたのは幸運だったな。
このボルティア、一度精算終えて出てるから、当然パルンガと一緒に入った時とは違う部屋になるのかと思っていたけど、やはりその通り。地下2階の部屋から、1階の301になったのはありがたい。
いちいち螺旋階段を使って昇り降りしなくてもいいからな。
ハムカンデがここの宿を払うという話のはずだけど、その話は通っていないみたいだ。だからと言って、じゃあいいですって野宿を選択するのはまずい。この街で野宿なんて、まな板に乗った生魚と同じだからな。ただひたすら、さばかれるのを待つだけだ。
問題はお金だけど、ここは後払いだし、もしかしたら、ハムカンデが後から払ってくれるのかも知れない。
最悪、お金はいざとなったら、この鎧を売って払うとしよう。
黒眼五人衆の奴らのおかげで傷物だけどな。
301の部屋にはベッドが1つ、だけどシャワー室だけじゃなくて、風呂までついていた。丁度いい。これで少しは疲れが取れる。だけど、少し色のついた水が出るのは前に泊まった部屋と同じだ。
ガチャッ、ガチャッ。
足部の鎧を外して足を解放。足首が妙に赤い。鎧姿で全力疾走を何回やったかな。ふくらはぎも少し腫れてないか?風呂に入って癒さないと。
そう思って上の鎧も脱いでいくと、軽快な音と共に電子枠が目の前に現れた。
そういえば、パルンガとの伝言魔法使えてたのを忘れてた。心配していた割には、肝心な事を忘れるなんて。
えーと。
『森の中でベルダイザーを見つけたんだど。そして、倒せた。でも、また暗い部屋の中で、ベルダイザーじゃない…。テテ、オデはどうすればいいのか?』
くそっ。パルンガ、少し正気を失ってんのか?でも、まだ生きているのが確認できただけでも良かったな。俺がパルンガを要求しているのをハムカンデは知っているだろうし、殺すはずはないのはわかっていたけど。
まだあの城に監禁されたままなんだろうな。
「アルテリンコ・ブイ」
俺と別れて部屋に入れられたままだろうけど、意識をしっかり持て。俺は今、城から出ている。誰からも監禁されていないから、後はお前を助けるだけだ。明日、必ずお前を助けに行くから、待ってろよ、と。
パルンガ、自分を見失うんじゃねえぞ。
ガチャッ。
ゴトッ。
ガチャンッ。
シブに刀で斬られた時、鎧の下にある鎖は切れてなかったけど、鎖越しに刀の威力で胸に一筋の傷ができて、血が滲んでいる。
感情を抑えながら刀を使っていたのに、さすが殺人に慣れてるだけあるな。力が制限されない中での戦いなら、俺は死んでただろうな。
バフッ。
ベッドが柔らかい。少し埃臭いけど、あまり客が来ていないみたいだから、それは仕方がないか。
ピロリーン!
あ、きたきた!
『テテ、やっぱり優しいど。オデ、待ってるからな。テテ来るの、待ってるど!』
ああ、待っとけよ。俺は必ずお前を助ける。
だって、俺がメルシィーニに殺されそうになった時、お前は俺の所に来てくれたじゃねえか。お前には関係なかったのによ。
俺はお前に会った時、誰も信用なんてできなくて、お前にひどい事を言ったよな。
そんな俺を、お前はいい人って言ってくれて、助けに来てくれた。
俺はその事、忘れてないからよ。
お前は、必ず俺が助けてやる。
このボルティア、一度精算終えて出てるから、当然パルンガと一緒に入った時とは違う部屋になるのかと思っていたけど、やはりその通り。地下2階の部屋から、1階の301になったのはありがたい。
いちいち螺旋階段を使って昇り降りしなくてもいいからな。
ハムカンデがここの宿を払うという話のはずだけど、その話は通っていないみたいだ。だからと言って、じゃあいいですって野宿を選択するのはまずい。この街で野宿なんて、まな板に乗った生魚と同じだからな。ただひたすら、さばかれるのを待つだけだ。
問題はお金だけど、ここは後払いだし、もしかしたら、ハムカンデが後から払ってくれるのかも知れない。
最悪、お金はいざとなったら、この鎧を売って払うとしよう。
黒眼五人衆の奴らのおかげで傷物だけどな。
301の部屋にはベッドが1つ、だけどシャワー室だけじゃなくて、風呂までついていた。丁度いい。これで少しは疲れが取れる。だけど、少し色のついた水が出るのは前に泊まった部屋と同じだ。
ガチャッ、ガチャッ。
足部の鎧を外して足を解放。足首が妙に赤い。鎧姿で全力疾走を何回やったかな。ふくらはぎも少し腫れてないか?風呂に入って癒さないと。
そう思って上の鎧も脱いでいくと、軽快な音と共に電子枠が目の前に現れた。
そういえば、パルンガとの伝言魔法使えてたのを忘れてた。心配していた割には、肝心な事を忘れるなんて。
えーと。
『森の中でベルダイザーを見つけたんだど。そして、倒せた。でも、また暗い部屋の中で、ベルダイザーじゃない…。テテ、オデはどうすればいいのか?』
くそっ。パルンガ、少し正気を失ってんのか?でも、まだ生きているのが確認できただけでも良かったな。俺がパルンガを要求しているのをハムカンデは知っているだろうし、殺すはずはないのはわかっていたけど。
まだあの城に監禁されたままなんだろうな。
「アルテリンコ・ブイ」
俺と別れて部屋に入れられたままだろうけど、意識をしっかり持て。俺は今、城から出ている。誰からも監禁されていないから、後はお前を助けるだけだ。明日、必ずお前を助けに行くから、待ってろよ、と。
パルンガ、自分を見失うんじゃねえぞ。
ガチャッ。
ゴトッ。
ガチャンッ。
シブに刀で斬られた時、鎧の下にある鎖は切れてなかったけど、鎖越しに刀の威力で胸に一筋の傷ができて、血が滲んでいる。
感情を抑えながら刀を使っていたのに、さすが殺人に慣れてるだけあるな。力が制限されない中での戦いなら、俺は死んでただろうな。
バフッ。
ベッドが柔らかい。少し埃臭いけど、あまり客が来ていないみたいだから、それは仕方がないか。
ピロリーン!
あ、きたきた!
『テテ、やっぱり優しいど。オデ、待ってるからな。テテ来るの、待ってるど!』
ああ、待っとけよ。俺は必ずお前を助ける。
だって、俺がメルシィーニに殺されそうになった時、お前は俺の所に来てくれたじゃねえか。お前には関係なかったのによ。
俺はお前に会った時、誰も信用なんてできなくて、お前にひどい事を言ったよな。
そんな俺を、お前はいい人って言ってくれて、助けに来てくれた。
俺はその事、忘れてないからよ。
お前は、必ず俺が助けてやる。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~
月白ヤトヒコ
ファンタジー
教皇ロマンシス。歴代教皇の中でも八十九歳という最高齢で就任。
前任の教皇が急逝後、教皇選定の儀にて有力候補二名が不慮の死を遂げ、混乱に陥った教会で年功序列の精神に従い、選出された教皇。
元からの候補ではなく、支持者もおらず、穏健派であることと健康であることから選ばれた。故に、就任直後はぽっと出教皇や漁夫の利教皇と揶揄されることもあった。
しかし、教皇就任後に教会内でも声を上げることなく、密やかにその資格を有していた聖者や聖女を見抜き、要職へと抜擢。
教皇ロマンシスの時代は歴代の教皇のどの時代よりも数多くの聖者、聖女の聖人が在籍し、世の安寧に尽力したと言われ、豊作の時代とされている。
また、教皇ロマンシスの口癖は「わしよりも教皇の座に相応しいものがおる」と、非常に謙虚な人柄であった。口の悪い子供に「徘徊老人」などと言われても、「よいよい、元気な子じゃのぅ」と笑って済ませるなど、穏やかな好々爺であったとも言われている。
その実態は……「わしゃ、さっさと隠居して子供達と戯れたいんじゃ~っ!?」という、ロマ爺の日常。
短編『わし、八十九歳。ぴっちぴちの新米教皇。もう辞めたい……』を連載してみました。不定期更新。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
魔法の数はステータス!? 転移した先は女性ばかりが魔法を使う世界!
三原みぱぱ
ファンタジー
ある日、剣と魔法のファンタジー世界に放り込まれた竜ヶ峰清人(リュウガミネ キヨト)。
美少女レイティアが嫁として現れる。
しかし、そんな甘い事ばかりではない。
強力な魔法が使えるのは女性のみ!
使える魔法の数がステータス(社会的地位)となる女性が強い世界。
男は守られるべき存在のこの世界で、魔法も剣も使えない主人公。
モンスターと戦えば足手まといと怒られ、街中で暴漢を止めようとするとぼこぼこにされる。
そんな俺Yoeee主人公は、金髪美少女のレイティアに恋人として認められるのか?
師匠である剣豪ムサシマル助けられながら、恋のライバル、アレックスやソフィアを交えて進む、ラブコメファンタジー!
感想、心よりお待ちしております。
完結しました!
ノベルアッププラスで「ゼロの転移者」としてリニューアル連載していますよ。
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
ゆとりある生活を異世界で
コロ
ファンタジー
とある世界の皇国
公爵家の長男坊は
少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた…
それなりに頑張って生きていた俺は48歳
なかなか楽しい人生だと満喫していたら
交通事故でアッサリ逝ってもた…orz
そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が
『楽しませてくれた礼をあげるよ』
とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に…
それもチートまでくれて♪
ありがたやありがたや
チート?強力なのがあります→使うとは言ってない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います
宜しくお付き合い下さい
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる