259 / 399
第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その176
しおりを挟む
体が痛いな。グラッチェリとの力試しで、今まで使っていない部分の筋肉を使った様な気がする。
でも、どの方向から攻撃が来たら、何処に力を入れてさばくのがいいのか、前よりも感覚的にわかった様な気がするぞ。
大剣の場合だと、振りは速くないけど、重量で相手より勝るから、あまり打ち負けない印象だったけど、さっきみたいに同じ武器だと、そうもいかない。
いい加減なやり方じゃ、武器が弾き飛ばされる。
グラッチェリに少しは感謝しないとな。
しかし、グラッチェリは、本当は俺をどう判断したんだろう。
話し方はおかしいけど、木刀を使って力試ししたり、俺を気遣ってくれたのは、少しうれしい様な気もするけど、結局は力を少しは認めたって事でいいのか?
俺から見たあいつは、まだ油断ならない、未知の生物って感じだけど。
まぁ、俺の力を認めようが、認めなかろうが、あいつとこの街を出る事はない。
その方が、いいよな…。
ハムカンデは敵対する相手を倒すため、共に戦えみたいな事を言ってたよな。
そうしたら、夢魔操を差し出すって。
でも、冷静に考えると、その夢魔操を手に入れるための具体的な話をされていない。
誰か1人を倒せという事でもない様な感じだし、途方もなく時間のかかる事なのかも知れない。そして、必ずしも夢魔操が手に入るという話でもない。
その間に、時間をかけて奴の思惑通りの性格にされそうで恐いな。
それに、あの神社で攻撃を仕掛けられた時に、遠くにいるしもべが俺を助けてくれた。それは、俺がギルロの体と魂を探してくれてると思ってるからだろう。違った事をしているとバレたら、多分、もう助けてくれない。
そうだな、それも考えると、俺はギルロの体と魂を探しに出た方がいいかも知れない。そうすると、明後日の力試しの前にパルンガを連れてこの街から離れるのが一番だな。
だから、グラッチェリと一緒に街を出るというのはなしだ。
色々と稽古をつけてくれた形になって、感謝してるけど。
「何、ニヤニヤしてるのかにゃ?好みの女でも見つけて、淡い期待でも抱いたのかねぇ…」
あ?辺りが薄暗くなってきたから、声の主の場所がわかりづらいけど、多分、東角猫族のメルシィーニだな。声でわかる。
あ!いたな。黒い家の屋根の上で、身を潜めてやがる。
「お前じゃないんだから、ニヤニヤしてねえよ」
「首を折られなかったお礼が、その口にゃ。もちろん、探したよねぇ?息をする暇なく、この街の隅々まで探したよねぇ?」
ああ…。クラファミースだっけ?ここはある程度正直に言うべきだよな。
「この街にいないって」
「お前、ちゃんと探してないねぇ?私にはわかるんだよ。どうせ、誰かに1回聞いただけだろう?」
こいつ、勘が異常に冴えてるな。全くもってその通りだ。だけど、俺がこの街の住人達に気軽に声をかけられるとでも思ったお前の頭がめでたいだけだな。
そもそも、俺に情報収集能力なんてない。
でも、とりあえず鬱陶しいから、話を少し盛って伝えるか。
「何人も聞き回ったけど、もうこの街からいなそうだよ」
「嘘にゃ。お前、能天気にその武器だるそうに引きずって歩いてるだけにゃ。やっぱり、首を折って魔力を奪うにゃ」
気が短え!こいつ、カルシウム足りてないんじゃないか?そうか、海がないから魚も取れないし、カルシウムが摂取できないとかか?
このままだと、まずいな。何か策はないかな。あ、そうだ!これでいいな。
「今日より、明日会う奴の方が、有力な情報が手に入るかも知れない。それからでもいいよな?」
「誰の事を言っているのかねぇ?でも、いいよ。お前の命は明日まで残しておくよ…」
勘弁してくれよ。ただでさえ、ハムカンデとか、黒眼五人衆とか、オーロフ族とか問題な奴らばかりなのに。
「ところでお前、その鎧姿は目立つのに、何で着替えない?お金がないとか言わないよねぇ?」
お金はない。剣と鎧はもらったけど、お金はもらってないからな。
「この鎧は特殊なんだよ。だから、脱げない」
「ふぅん…?今は行き来できないけど、この大陸の東側はその姿でも普通なんだろうけど。でも、お前はリョウマ族だから、その姿はおかしいにゃ」
この大陸の東側か。今は特殊な柱が何本も立って、結界みたいなものが張られていて行けないんだったかな?
「まぁ、何でもいいにゃ。また会う時に、いい情報を期待してるからねぇ?」
ダダッ!
屋根の向こう側に下りて消えていったな。
他人にばかり探させないで、少しはお前も探せにや。てめえの同族なんだろうが。
ああ、腹減ったな。
またあの猫女の家に行って、ご飯をお願いするしかないな。それしか方法がない。
それか、ボルティアの宿がハムカンデ持ちになってるから、食事代も入れてもらえるか聞くかな。でも、食事なんて、そもそもあの宿に用意なんかできるのかな。
「ギャッ!」
ギャ…?何か近くの家の中で、聞こえた様な。
高価な壺でも落としたとかかな。
…。
男の声の様な気がしたけど。
物騒な街だからな。今日はこのまま、ボルティアの宿に戻った方が良さそうだな。
でも、どの方向から攻撃が来たら、何処に力を入れてさばくのがいいのか、前よりも感覚的にわかった様な気がするぞ。
大剣の場合だと、振りは速くないけど、重量で相手より勝るから、あまり打ち負けない印象だったけど、さっきみたいに同じ武器だと、そうもいかない。
いい加減なやり方じゃ、武器が弾き飛ばされる。
グラッチェリに少しは感謝しないとな。
しかし、グラッチェリは、本当は俺をどう判断したんだろう。
話し方はおかしいけど、木刀を使って力試ししたり、俺を気遣ってくれたのは、少しうれしい様な気もするけど、結局は力を少しは認めたって事でいいのか?
俺から見たあいつは、まだ油断ならない、未知の生物って感じだけど。
まぁ、俺の力を認めようが、認めなかろうが、あいつとこの街を出る事はない。
その方が、いいよな…。
ハムカンデは敵対する相手を倒すため、共に戦えみたいな事を言ってたよな。
そうしたら、夢魔操を差し出すって。
でも、冷静に考えると、その夢魔操を手に入れるための具体的な話をされていない。
誰か1人を倒せという事でもない様な感じだし、途方もなく時間のかかる事なのかも知れない。そして、必ずしも夢魔操が手に入るという話でもない。
その間に、時間をかけて奴の思惑通りの性格にされそうで恐いな。
それに、あの神社で攻撃を仕掛けられた時に、遠くにいるしもべが俺を助けてくれた。それは、俺がギルロの体と魂を探してくれてると思ってるからだろう。違った事をしているとバレたら、多分、もう助けてくれない。
そうだな、それも考えると、俺はギルロの体と魂を探しに出た方がいいかも知れない。そうすると、明後日の力試しの前にパルンガを連れてこの街から離れるのが一番だな。
だから、グラッチェリと一緒に街を出るというのはなしだ。
色々と稽古をつけてくれた形になって、感謝してるけど。
「何、ニヤニヤしてるのかにゃ?好みの女でも見つけて、淡い期待でも抱いたのかねぇ…」
あ?辺りが薄暗くなってきたから、声の主の場所がわかりづらいけど、多分、東角猫族のメルシィーニだな。声でわかる。
あ!いたな。黒い家の屋根の上で、身を潜めてやがる。
「お前じゃないんだから、ニヤニヤしてねえよ」
「首を折られなかったお礼が、その口にゃ。もちろん、探したよねぇ?息をする暇なく、この街の隅々まで探したよねぇ?」
ああ…。クラファミースだっけ?ここはある程度正直に言うべきだよな。
「この街にいないって」
「お前、ちゃんと探してないねぇ?私にはわかるんだよ。どうせ、誰かに1回聞いただけだろう?」
こいつ、勘が異常に冴えてるな。全くもってその通りだ。だけど、俺がこの街の住人達に気軽に声をかけられるとでも思ったお前の頭がめでたいだけだな。
そもそも、俺に情報収集能力なんてない。
でも、とりあえず鬱陶しいから、話を少し盛って伝えるか。
「何人も聞き回ったけど、もうこの街からいなそうだよ」
「嘘にゃ。お前、能天気にその武器だるそうに引きずって歩いてるだけにゃ。やっぱり、首を折って魔力を奪うにゃ」
気が短え!こいつ、カルシウム足りてないんじゃないか?そうか、海がないから魚も取れないし、カルシウムが摂取できないとかか?
このままだと、まずいな。何か策はないかな。あ、そうだ!これでいいな。
「今日より、明日会う奴の方が、有力な情報が手に入るかも知れない。それからでもいいよな?」
「誰の事を言っているのかねぇ?でも、いいよ。お前の命は明日まで残しておくよ…」
勘弁してくれよ。ただでさえ、ハムカンデとか、黒眼五人衆とか、オーロフ族とか問題な奴らばかりなのに。
「ところでお前、その鎧姿は目立つのに、何で着替えない?お金がないとか言わないよねぇ?」
お金はない。剣と鎧はもらったけど、お金はもらってないからな。
「この鎧は特殊なんだよ。だから、脱げない」
「ふぅん…?今は行き来できないけど、この大陸の東側はその姿でも普通なんだろうけど。でも、お前はリョウマ族だから、その姿はおかしいにゃ」
この大陸の東側か。今は特殊な柱が何本も立って、結界みたいなものが張られていて行けないんだったかな?
「まぁ、何でもいいにゃ。また会う時に、いい情報を期待してるからねぇ?」
ダダッ!
屋根の向こう側に下りて消えていったな。
他人にばかり探させないで、少しはお前も探せにや。てめえの同族なんだろうが。
ああ、腹減ったな。
またあの猫女の家に行って、ご飯をお願いするしかないな。それしか方法がない。
それか、ボルティアの宿がハムカンデ持ちになってるから、食事代も入れてもらえるか聞くかな。でも、食事なんて、そもそもあの宿に用意なんかできるのかな。
「ギャッ!」
ギャ…?何か近くの家の中で、聞こえた様な。
高価な壺でも落としたとかかな。
…。
男の声の様な気がしたけど。
物騒な街だからな。今日はこのまま、ボルティアの宿に戻った方が良さそうだな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
26
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる