230 / 441
第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その154
しおりを挟む
オーロフ族は元々、この大陸の南に住んでいたんだろ?《冬枯れの牙》との争いを嫌って、北の方に拠点を作ったという様な事を誰か言ってたよな?それがこの街だったはず。
実際は、古球磨族が《冬枯れの牙》と敵対関係にあったんだろ?それなら、古球磨族との関係を切れば、南から動かずに済んだ?
いや、オーロフ族が東角猫族を支配できたのも、古球磨族の残忍な性格と力があったからだろうな。オーロフ族が古球磨族をうまく手なずけられたのが大きかった。その古球磨族を手放す事なんてできるはずがない。
だから、どのくらいの人数かわからないけど、オーロフ族を分け、故郷を離れて、古球磨族と一緒にこの場所に来たんだろう。
その古球磨族の黒眼五人衆をどうにかすれば、オーロフ族の勢いはなくなるのか?
魔闘石のおかげで、力は増しているから、昔ほど黒眼五人衆に頼らなくてもいい?
でも、街中で無差別に斬るゲル、宝酷城の天守層にいた包帯ぐるぐる男のナグ、そしてメベヘ。今でも古球磨族に頼っている様に思えるから、魔闘石があっても、まだ圧倒的な力はないのかな。
ハムカンデは別だろうけど。
ゼドケフラーのエズアの魔力を取り込んでいるっていう話だからな。
オーロフ族を束ねているのがハムカンデなら、ハムカンデと黒眼五人衆が仲悪くなれば、この街は崩壊するか?
その隙にパルンガを助け出して、街から抜けるとか。
誰かと誰かを仲違いさせてとか、そんな事はしたくはない。
学校でもそんな陰湿な奴がいた様な気がする。
そんな奴らとは同じにされたくない。
命がかかってるのに、そんな事気にする必要はないのか?
いや、俺が自分を嫌いたくないからな。
もう、これ以上。
「そのリョウマ族、会ってみたいな…」
「そうか?役不足で、今は東角猫族と同等の奴隷の様な立場にまで下がっておる。会っても、己の一つの未来を見ている様でつらくなるのではないかな?」
チッ。本当にムカつく言い方するジジイだな。その獣の垂れ耳加減がたまにかわいさアピールしてるみたいで、異様に吐き気がしてくるし。一度、耳を直撃で殴ってみてもいいかな。
「いや、同じ轍を踏まない様にさ、見ておきたいんだよ」
「クフォフォフォ…。それも良いのかもな。ハムカンデに気に入られれば、城にいる東角猫族の小鈴みたいに格上げされるかも知れないからな」
「昨日、ボルティアに行くと言っていただろう?そこで働いているダメルにでも聞いてみるといい。教えてくれるはずじゃ」
リョウマ族は俺の想像と同じなら、同じ人種に近い性格。
久しぶりに、元の世界に戻った気になれる様な気がする。
早く会ってみたい。
そして、意気投合したら、俺に力を貸してくれないかな。
ただ、この世界の人間には違いないから、用心はしておくべきか。
「お前は変わった奴だ。相手を見る目は様々だが、その瞳の奥に窺い知れる純粋な性質は、この世界には珍しい…」
あー、そうかよ。俺が未熟だって言いたいんだろ?俺もこのままでいいなんて思ってねえよ。この街を出る事ができたら、この体を鍛えて、この世界の奴らに対抗できる様にしてやる。
このままだと、命がいくつあっても足りないからな。
「もし、そのリョウマ族に会ったら、距離は取るべきだ。心が荒み切っておるからな」
それはお前達の心が腐ってるからじゃねえのか?
「ああ。気をつけるよ」
ドタ…。
ん?
何だ?ここから50m先で、人が倒れてる?
「使えない東角猫族が、主人の反感を買ったか。さすがにもう殺しはせんだろうなぁ。東角猫族は要らぬ誇りを捨て切れず反抗した結果、死人が多く出たのだから。奴隷が少ないのも、オーロフ族の生活に支障も出る…」
何だと?
…フラフラしてるけど、起き上がった。黒い家から出てきたのはオーロフ族か?フラフラしている人の髪の毛をつかんで、家に引っ張って行ったぞ。ひどい扱いしてんな。でも、これが奴隷の扱いって事か?
「ワシらとて、必死という事だ。お前にはどう映るのかわからないがなぁ?」
お前らオーロフ族は、東角猫族が取りに行ったエサを口にしてるだけだろ?何もしてねえのに、いい身分だな。
「今は怒りの感情が露わにはできないのは、何処かで知ったかな?怒りの感情は空が持っていってしまうんじゃから。ワシらにとっても難しい街になった。しかしな、まだオーロフ族の支配は変わらんよ」
オーロフ族は胸に魔闘石を胸につけて、東角猫族が魔力を持ち帰るのを待つ。力が蓄えられるまで古球磨族に守ってもらい、オーロフ族の力が十分についたら、その時はどうするんだろうな。東角猫族や古球磨族の出方次第では、倒す気でいるのかも知れない。盗人民族とか言われてたオーロフ族がここまでやる様になるなんて、相当イカれてるぜ。
「その剣は、鞘にでもしまったらどうかな?剥き出しで持つなど、品のない事だよ…」
へっ。お前らオーロフ族に言われたらおしまいだ。
品のないのは、お前らの方だろう。
それに、この大剣を納める鞘なんてないだろう。
あるんなら、持ってきてくれよ。
俺も意外と不便なんだ。疲れてる時なんか、たまに自分の足にカツンと当たる時があるんだからな。
「お前がこの街に貢献できるかどうかで、待遇も多少は変わるかも知れんが。ここのやり方に慣れておけよ…。どうせ、この街からは一生、出られないのだからな」
あの城に行くという事は、ハムカンデの彫魔法の地場止を受けるという事なのか?俺はこの街に入った時から、この街の奴らの術中にはまっていたって事か?
何処かで敷かれたレールから脱線してやらないと、俺の人生が終わる。
パルンガも、体の異変を感じるし、早く成獣にしてやらないと。
…。
この世界の住人で、信頼できるパルンガと離れ離れにされたのは、想像以上にまずいな。
何をすればいいか、わからねえ…。
実際は、古球磨族が《冬枯れの牙》と敵対関係にあったんだろ?それなら、古球磨族との関係を切れば、南から動かずに済んだ?
いや、オーロフ族が東角猫族を支配できたのも、古球磨族の残忍な性格と力があったからだろうな。オーロフ族が古球磨族をうまく手なずけられたのが大きかった。その古球磨族を手放す事なんてできるはずがない。
だから、どのくらいの人数かわからないけど、オーロフ族を分け、故郷を離れて、古球磨族と一緒にこの場所に来たんだろう。
その古球磨族の黒眼五人衆をどうにかすれば、オーロフ族の勢いはなくなるのか?
魔闘石のおかげで、力は増しているから、昔ほど黒眼五人衆に頼らなくてもいい?
でも、街中で無差別に斬るゲル、宝酷城の天守層にいた包帯ぐるぐる男のナグ、そしてメベヘ。今でも古球磨族に頼っている様に思えるから、魔闘石があっても、まだ圧倒的な力はないのかな。
ハムカンデは別だろうけど。
ゼドケフラーのエズアの魔力を取り込んでいるっていう話だからな。
オーロフ族を束ねているのがハムカンデなら、ハムカンデと黒眼五人衆が仲悪くなれば、この街は崩壊するか?
その隙にパルンガを助け出して、街から抜けるとか。
誰かと誰かを仲違いさせてとか、そんな事はしたくはない。
学校でもそんな陰湿な奴がいた様な気がする。
そんな奴らとは同じにされたくない。
命がかかってるのに、そんな事気にする必要はないのか?
いや、俺が自分を嫌いたくないからな。
もう、これ以上。
「そのリョウマ族、会ってみたいな…」
「そうか?役不足で、今は東角猫族と同等の奴隷の様な立場にまで下がっておる。会っても、己の一つの未来を見ている様でつらくなるのではないかな?」
チッ。本当にムカつく言い方するジジイだな。その獣の垂れ耳加減がたまにかわいさアピールしてるみたいで、異様に吐き気がしてくるし。一度、耳を直撃で殴ってみてもいいかな。
「いや、同じ轍を踏まない様にさ、見ておきたいんだよ」
「クフォフォフォ…。それも良いのかもな。ハムカンデに気に入られれば、城にいる東角猫族の小鈴みたいに格上げされるかも知れないからな」
「昨日、ボルティアに行くと言っていただろう?そこで働いているダメルにでも聞いてみるといい。教えてくれるはずじゃ」
リョウマ族は俺の想像と同じなら、同じ人種に近い性格。
久しぶりに、元の世界に戻った気になれる様な気がする。
早く会ってみたい。
そして、意気投合したら、俺に力を貸してくれないかな。
ただ、この世界の人間には違いないから、用心はしておくべきか。
「お前は変わった奴だ。相手を見る目は様々だが、その瞳の奥に窺い知れる純粋な性質は、この世界には珍しい…」
あー、そうかよ。俺が未熟だって言いたいんだろ?俺もこのままでいいなんて思ってねえよ。この街を出る事ができたら、この体を鍛えて、この世界の奴らに対抗できる様にしてやる。
このままだと、命がいくつあっても足りないからな。
「もし、そのリョウマ族に会ったら、距離は取るべきだ。心が荒み切っておるからな」
それはお前達の心が腐ってるからじゃねえのか?
「ああ。気をつけるよ」
ドタ…。
ん?
何だ?ここから50m先で、人が倒れてる?
「使えない東角猫族が、主人の反感を買ったか。さすがにもう殺しはせんだろうなぁ。東角猫族は要らぬ誇りを捨て切れず反抗した結果、死人が多く出たのだから。奴隷が少ないのも、オーロフ族の生活に支障も出る…」
何だと?
…フラフラしてるけど、起き上がった。黒い家から出てきたのはオーロフ族か?フラフラしている人の髪の毛をつかんで、家に引っ張って行ったぞ。ひどい扱いしてんな。でも、これが奴隷の扱いって事か?
「ワシらとて、必死という事だ。お前にはどう映るのかわからないがなぁ?」
お前らオーロフ族は、東角猫族が取りに行ったエサを口にしてるだけだろ?何もしてねえのに、いい身分だな。
「今は怒りの感情が露わにはできないのは、何処かで知ったかな?怒りの感情は空が持っていってしまうんじゃから。ワシらにとっても難しい街になった。しかしな、まだオーロフ族の支配は変わらんよ」
オーロフ族は胸に魔闘石を胸につけて、東角猫族が魔力を持ち帰るのを待つ。力が蓄えられるまで古球磨族に守ってもらい、オーロフ族の力が十分についたら、その時はどうするんだろうな。東角猫族や古球磨族の出方次第では、倒す気でいるのかも知れない。盗人民族とか言われてたオーロフ族がここまでやる様になるなんて、相当イカれてるぜ。
「その剣は、鞘にでもしまったらどうかな?剥き出しで持つなど、品のない事だよ…」
へっ。お前らオーロフ族に言われたらおしまいだ。
品のないのは、お前らの方だろう。
それに、この大剣を納める鞘なんてないだろう。
あるんなら、持ってきてくれよ。
俺も意外と不便なんだ。疲れてる時なんか、たまに自分の足にカツンと当たる時があるんだからな。
「お前がこの街に貢献できるかどうかで、待遇も多少は変わるかも知れんが。ここのやり方に慣れておけよ…。どうせ、この街からは一生、出られないのだからな」
あの城に行くという事は、ハムカンデの彫魔法の地場止を受けるという事なのか?俺はこの街に入った時から、この街の奴らの術中にはまっていたって事か?
何処かで敷かれたレールから脱線してやらないと、俺の人生が終わる。
パルンガも、体の異変を感じるし、早く成獣にしてやらないと。
…。
この世界の住人で、信頼できるパルンガと離れ離れにされたのは、想像以上にまずいな。
何をすればいいか、わからねえ…。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら侯爵令嬢だった~メイベル・ラッシュはかたじけない~
おてんば松尾
恋愛
侯爵令嬢のメイベル・ラッシュは、跡継ぎとして幼少期から厳しい教育を受けて育てられた。
婚約者のレイン・ウィスパーは伯爵家の次男騎士科にいる同級生だ。見目麗しく、学業の成績も良いことから、メイベルの婚約者となる。
しかし、妹のサーシャとレインは互いに愛し合っているようだった。
二人が会っているところを何度もメイベルは見かけていた。
彼は婚約者として自分を大切にしてくれているが、それ以上に妹との仲が良い。
恋人同士のように振舞う彼らとの関係にメイベルは悩まされていた。
ある日、メイベルは窓から落ちる事故に遭い、自分の中の過去の記憶がよみがえった。
それは、この世界ではない別の世界に生きていた時の記憶だった。
鉱山で裏切られ死んでしまった俺は新たに最強の魔術師として生まれ変わりました
天々
ファンタジー
世界は18世紀前半。《ノルノニア》という国は学園、病院など18世紀にある国の中では先進国であった。ノルノニア南部にある町《カリストス》にある鉱山《サリル金山》ではグリッキー・ファールド団体が採掘をしていた。だが第66班に所属する15歳の少年『リアク』は同僚に裏切られ死んでしまう。
_______________________
死んだ後リアクはノルノニアの隣国《グランフラント》の貴族として生まれ変わったのだ。リアクの親『ヒガルティア』公爵は他の兄弟よりも魔力が強いことを知り魔法学校に入学させることを決めた。
逃げるが価値
maruko
恋愛
侯爵家の次女として生まれたが、両親の愛は全て姉に向いていた。
姉に来た最悪の縁談の生贄にされた私は前世を思い出し家出を決行。
逃げる事に価値を見い出した私は無事に逃げ切りたい!
自分の人生のために!
★長編に変更しました★
※作者の妄想の産物です
ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
イラストブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
小型オンリーテイマーの辺境開拓スローライフ~小さいからって何もできないわけじゃない!~
渡琉兎
ファンタジー
◆『第4回次世代ファンタジーカップ』にて優秀賞受賞!
◆05/22 18:00 ~ 05/28 09:00 HOTランキングで1位になりました!5日間と15時間の維持、皆様の応援のおかげです!ありがとうございます!!
誰もが神から授かったスキルを活かして生活する世界。
スキルを尊重する、という教えなのだが、年々その教えは損なわれていき、いつしかスキルの強弱でその人を判断する者が多くなってきた。
テイマー一家のリドル・ブリードに転生した元日本人の六井吾郎(むついごろう)は、領主として名を馳せているブリード家の嫡男だった。
リドルもブリード家の例に漏れることなくテイマーのスキルを授かったのだが、その特性に問題があった。
小型オンリーテイム。
大型の魔獣が強い、役に立つと言われる時代となり、小型魔獣しかテイムできないリドルは、家族からも、領民からも、侮られる存在になってしまう。
嫡男でありながら次期当主にはなれないと宣言されたリドルは、それだけではなくブリード家の領地の中でも開拓が進んでいない辺境の地を開拓するよう言い渡されてしまう。
しかしリドルに不安はなかった。
「いこうか。レオ、ルナ」
「ガウ!」
「ミー!」
アイスフェンリルの赤ちゃん、レオ。
フレイムパンサーの赤ちゃん、ルナ。
実は伝説級の存在である二匹の赤ちゃん魔獣と共に、リドルは様々な小型魔獣と、前世で得た知識を駆使して、辺境の地を開拓していく!
社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる