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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その146
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暗い…。
そして寒いな。
俺の選択は正しかったのか、良くわからないけど、あのままだと、やられていたな。
俺も、そしてパルンガも。
あの時、黒眼五人衆のメベヘと本気の勝負で勝てる気もしなかったし、もし何かの奇跡で倒せても、ハムカンデはムリだ。ハムカンデは、エズアの魔力をどのくらいかわからないけど、吸っているという話だ。この場所の争奪戦で、一度に襲いかかる獣を何匹もまとめて倒してたっていうエズアの力。俺とパルンガで、ハムカンデ1人だけを相手にしたとしても、勝算があるとは思えない。
あのこけしどもも、ハムカンデが俺達と戦うとなれば、必ず加勢するだろうしな。
あの包帯ぐるぐる男も、そうだろうな。
力は未知数だけど。
ここは、 宝酷城の地下1階の牢屋。
パルンガは、城の3階辺りで俺とは別の部屋にいれられたな。
俺は服従しろとのハムカンデの声に気圧される様に、持って構えた剣を下ろしちまった。
パルンガはいまいち状況がわかってなかったみたいだけど、あのまま殺されるよりはマシだったのかな?
一歩前進した?いや、そんな感じは全くしない。一歩後退。
しかし、あの東角猫族の女め、裏切りやがった。いや、元々、俺達をはめるためにやった事だ。裏切るも何もないのかも知れないけどな。ムカつく女だ。ティデとかいう名前らしいな。
あの女の何処までが本当の話なのか、わからなくなってきたぞ。でも、何となく、クェタルドやエズアの話は本当な気もする。
はぁ…。
俺なんかと出会わなければ、パルンガはベルダイザー探しの旅を続けられた様な気がする。
パルンガだけは、いい奴だったよな。
それだけは、間違いないと思いたい。
俺は、お前にとって、最悪のパートナーだったけどな。
何の役にも立たないところか、足を引っ張る事しかしなかったな。
「はぁ…」
「…」
何だ…?
何か気配を感じる。
真っ暗でわからないけど、俺以外でこの牢屋の中で呼吸をしている奴がいる。
誰かいるのか?
「…誰?」
「…」
何の返事もしないか。何処か外と繋がっていて、そこから空気が行き来して、呼吸みたいに聞こえるだけか?
違うな。
ゆっくりとだけど、一定の間隔で吸って、吐いて、吸っての、明らかに呼吸の音だ。
動物でもない。
人の呼吸。
「誰だ。返事をしてくれよ…」
「…」
気のせいなのか?
「…」
「私はいつからか、この存在を消す事に専念し、それが実を結び、こうして、貴方と出会えている…」
「うおっ!?」
…いきなり長々としゃべり出すんじゃねえよ!ここにいますよ、ぐらい言ってからしゃべれよ。
「誰なんだ?」
「私の存在を語っても、貴方には到底理解できない。そういう存在だ…」
ああ、そう。偉いって事を言いたいのかな?でもこの牢屋に入ってるんだから、上も下もないよな。
しかし、暗くて相手の姿がよくわからないな。
「ここに、いつからいるのか?」
「ああ…。1年とも3年とも。どうだろう。私がここにいて、この存在は街の者の記憶から薄れ、消えていった。それは、私の願いでもあったのか」
この牢屋にいる事が願いか?変な薬でもやってるんじゃないのか?年単位でこんな場所にいたら、普通は気がおかしくなる。
まさか、俺も同じ様に何年もこの場所に監禁され続けるなんて事はないよな?
「頼みがある…」
「何の頼みだ?俺ができる事なんて、何もないぞ」
「そう難しい事でもないさ」
俺を利用しようとしているな。もう、うんざりだ。利用されてバカを見るのは、みじめだ。もう、誰にも手を貸したくない。
俺のおかげで、あの東角猫族のティデは、地場止を解除する消札を手に入れるんだろ。俺は牢屋で拘束、あの女はこの街を出て、自由を手に入れるんだ。こんな理不尽な事ってあるか?
この世界の奴らを警戒していても、俺がお人好しなのかもな。罠にはめられる。
納得できねえな。
「この城を囲む様にして置かれている黒く塗布された灯籠を、幾つか破壊して欲しい。ただ、それだけだ…」
黒い灯籠があるから、この城の中やその周りで身を守る様な戦いができるんだろ?それを壊したら、誰もこの街で護身ができなくなる。そうしたいのか?
ただ、それをしても、黒眼五人衆のゲルは感情を失くしたまま、場所問わず相手を斬る事ができるんだ。より被害大きくなるだけだと思うんだけどな。
何をしたいんだ?
「俺も牢屋の中にいるんだから、ムリに決まってるだろ」
「いや、君はできるんだよ。君は陽の光に呼ばれている。だから、この牢屋の中にいる時間は、そう長くはならない…」
何だって?何で、そんな事が言えるんだ。
こいつは、何者なんだよ。
そして寒いな。
俺の選択は正しかったのか、良くわからないけど、あのままだと、やられていたな。
俺も、そしてパルンガも。
あの時、黒眼五人衆のメベヘと本気の勝負で勝てる気もしなかったし、もし何かの奇跡で倒せても、ハムカンデはムリだ。ハムカンデは、エズアの魔力をどのくらいかわからないけど、吸っているという話だ。この場所の争奪戦で、一度に襲いかかる獣を何匹もまとめて倒してたっていうエズアの力。俺とパルンガで、ハムカンデ1人だけを相手にしたとしても、勝算があるとは思えない。
あのこけしどもも、ハムカンデが俺達と戦うとなれば、必ず加勢するだろうしな。
あの包帯ぐるぐる男も、そうだろうな。
力は未知数だけど。
ここは、 宝酷城の地下1階の牢屋。
パルンガは、城の3階辺りで俺とは別の部屋にいれられたな。
俺は服従しろとのハムカンデの声に気圧される様に、持って構えた剣を下ろしちまった。
パルンガはいまいち状況がわかってなかったみたいだけど、あのまま殺されるよりはマシだったのかな?
一歩前進した?いや、そんな感じは全くしない。一歩後退。
しかし、あの東角猫族の女め、裏切りやがった。いや、元々、俺達をはめるためにやった事だ。裏切るも何もないのかも知れないけどな。ムカつく女だ。ティデとかいう名前らしいな。
あの女の何処までが本当の話なのか、わからなくなってきたぞ。でも、何となく、クェタルドやエズアの話は本当な気もする。
はぁ…。
俺なんかと出会わなければ、パルンガはベルダイザー探しの旅を続けられた様な気がする。
パルンガだけは、いい奴だったよな。
それだけは、間違いないと思いたい。
俺は、お前にとって、最悪のパートナーだったけどな。
何の役にも立たないところか、足を引っ張る事しかしなかったな。
「はぁ…」
「…」
何だ…?
何か気配を感じる。
真っ暗でわからないけど、俺以外でこの牢屋の中で呼吸をしている奴がいる。
誰かいるのか?
「…誰?」
「…」
何の返事もしないか。何処か外と繋がっていて、そこから空気が行き来して、呼吸みたいに聞こえるだけか?
違うな。
ゆっくりとだけど、一定の間隔で吸って、吐いて、吸っての、明らかに呼吸の音だ。
動物でもない。
人の呼吸。
「誰だ。返事をしてくれよ…」
「…」
気のせいなのか?
「…」
「私はいつからか、この存在を消す事に専念し、それが実を結び、こうして、貴方と出会えている…」
「うおっ!?」
…いきなり長々としゃべり出すんじゃねえよ!ここにいますよ、ぐらい言ってからしゃべれよ。
「誰なんだ?」
「私の存在を語っても、貴方には到底理解できない。そういう存在だ…」
ああ、そう。偉いって事を言いたいのかな?でもこの牢屋に入ってるんだから、上も下もないよな。
しかし、暗くて相手の姿がよくわからないな。
「ここに、いつからいるのか?」
「ああ…。1年とも3年とも。どうだろう。私がここにいて、この存在は街の者の記憶から薄れ、消えていった。それは、私の願いでもあったのか」
この牢屋にいる事が願いか?変な薬でもやってるんじゃないのか?年単位でこんな場所にいたら、普通は気がおかしくなる。
まさか、俺も同じ様に何年もこの場所に監禁され続けるなんて事はないよな?
「頼みがある…」
「何の頼みだ?俺ができる事なんて、何もないぞ」
「そう難しい事でもないさ」
俺を利用しようとしているな。もう、うんざりだ。利用されてバカを見るのは、みじめだ。もう、誰にも手を貸したくない。
俺のおかげで、あの東角猫族のティデは、地場止を解除する消札を手に入れるんだろ。俺は牢屋で拘束、あの女はこの街を出て、自由を手に入れるんだ。こんな理不尽な事ってあるか?
この世界の奴らを警戒していても、俺がお人好しなのかもな。罠にはめられる。
納得できねえな。
「この城を囲む様にして置かれている黒く塗布された灯籠を、幾つか破壊して欲しい。ただ、それだけだ…」
黒い灯籠があるから、この城の中やその周りで身を守る様な戦いができるんだろ?それを壊したら、誰もこの街で護身ができなくなる。そうしたいのか?
ただ、それをしても、黒眼五人衆のゲルは感情を失くしたまま、場所問わず相手を斬る事ができるんだ。より被害大きくなるだけだと思うんだけどな。
何をしたいんだ?
「俺も牢屋の中にいるんだから、ムリに決まってるだろ」
「いや、君はできるんだよ。君は陽の光に呼ばれている。だから、この牢屋の中にいる時間は、そう長くはならない…」
何だって?何で、そんな事が言えるんだ。
こいつは、何者なんだよ。
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