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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その145
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「この街に貢献したゼドケフラーがいた事は、知っているのかな?」
エズアの事か。俺の隣りにゼドケフラーのパルンガがいるんだ、その話は出てくると思ったぜ。むしろ、その話が本題なんじゃないのか?本当は忌々しい存在だって思ってるんだろ?そのゼドケフラーを、この街に連れてきた理由を聞きたいって事なんだろうな。
「教えてもらったよ…」
「ほぉお?それは一体、誰にだね?」
そうか。しゃべる奴によっては、良くも悪くも言うって事か。だから、誰から聞いたのかを気にしているのかもな。
あの東角猫族の女が話してくれたって言ったら、本人に危害が及ぶかも知れないよな。この街は、オーロフ族が支配していて、東角猫族は奴隷に近い扱いが普通なんだよな。
その前に、軽く話してくれたのは、オーロフの奇妙なじじいと、魔力買取人のペニンって人か。
でも、その2人は、大してゼドケフラーの事を話していない。
仕方がないな。
「この街に来る前に、聞いたんだよ。ゼドケフラーがこの街を守ってくれたんだよな」
俺の言葉を聞いて、含み笑いをしながら、陰湿な目を向けてきたな。ハムカンデ、やっぱりこいつ、好きになれないな。
「この街のために貢献してくれた。もちろん、この街の成り立ちにおいては、我が一族のオーロフ族を中心として、古球磨族や東角猫族の名も出しておかねばならないがね」
「ゼドケフラーは、長期の戦が続いていたせいか、正気ではなくなってしまった。その事が心残りではあるが、今でも彼のこの街に残した功績は忘れはしないよ」
ゼドケフラーの話に移ったかな。俺がその話を無視して、違う話に持っていってもいいけど…。
隣りのパルンガは、そのゼドケフラーのエズアについて聞きたいんだよな。この話はかわせはしない、そういう事だよな。
「エズアは、生きているのか?」
パルンガ砲が先に出てしまったか。仕方がない、ちょっと様子を窺うか。
「ゼドケフラーの幼獣だね、君は。この一帯でゼドケフラーを見かける事などなくなってしまったのだが、貴重な存在だよ…」
目が笑ってねえよ、ハムカンデ。
「残念だが、エズアは戦の傷によって、死んだのだ。君と会えなくて、エズアも残念だろうな」
パルンガ、落ち込んだな。エズアの事、尊敬してそうだったからな。本当の死因なんて、聞かない方がいい。クェタルドを救えるはずの物がエズアに渡されず、約束を破られてハムカンデに逆らった結果、ハムカンデらと戦って殺されたという話だからな。
「この街にいたのが、ゼドケフラーのエズアと知っていたのなら、彼は素行が少々悪い事も承知の上かな?死人に対して悪く言うのも良くない事だがね」
ハムカンデの目が少し強張ったな。エズアを殺してもなお、ムカついてるって感じがする。もはや、ゼドケフラー全てが嫌いにでもなったんじゃないか?
「ゼドケフラーは、成獣になるためにベルダイザーを倒さないといけないらしいんだけど、そのベルダイザーの居場所は知らないかな?」
「ベルダイザー?あの絶滅危惧種の事かね?もちろん、知ってはおるよ。ただ、実際に見た事はないな。恐らく、ゼドケフラーがベルダイザーを狩るから、中々見かける機会がないのかも知れないがね」
「小鈴、お前はベルダイザーを見た事があるのかな?」
あいつに話を振るのか。知性のかけらもない話し方をする奴だぞ。
「ああ…。確か、1匹食った事があるかも知れねえ、だなぁ?だははっ!あれは、ベルノットって動物だったかなぁ?」
こいつらでの会話は、中身がない。まともに俺達と会話する気がないのか?嫌いなゼドケフラーの成獣化なんて、どうでもいいっていう事かよ。聞く相手を間違えたか。
「よお!」
ポン!
「やあ!」
ポン!
「提案だが、そのゼドケフラー、私が預かろう。その方が、本人のためでもあると思うが、どうかな?」
何?パルンガをこんな街に置いておける訳ないだろう。何を勝手な事、言ってんだ。
「オデは、この街に残らないど!」
「そういう事だ。本人が望まない以上、この街に残していく訳にはいかないな」
「エズアは志半ばで息絶えた。その意思を引き継ぎ、ここに残ってみてはどうかな?この先進んだところで、ベルダイザーは見つかりはせんよ。死ぬまで彷徨い歩くがおちというものだ」
蔑んだ目をしてパルンガを見てるな。狙いは何だ?いたぶり殺すために残せと言っているのか?
「それはやってみないとわからないよな、パルンガ。少なくとも、この街にベルダイザーがいない事は間違いないだろうからな」
「わかった。では、こうしよう。私がベルダイザー探しを手配しよう。見つかるまでは、この街に残るが良い。それでは、どうかな?」
そんな事、信用できるはずがないだろうが。何だ、急に変な方向に話が行き出したぞ。
「ゼドケフラーの幼獣と知って、私は不憫に思っただけの事だよ。せっかく絶滅危惧種と呼ばれた中で生き延びる事ができているのに、もう未来が見えない…」
「それはわからないよ。もっと街の北に行けば、見つかるかも知れない」
「それはないな。望みは薄い。君達の情報収集能力では、この先も未来などないだろう」
あ、この野郎。完全にケンカを売ってきたな。未来がないなんて、はっきりと言ってきやがったな。
「そのゼドケフラーと離れたくないと言うのなら、君もこの街に残るといい。ぜひ、やってもらいたい事がある」
「やってもらいたい?悪いけど、俺はこの街に残るつもりはない。もう帰らせてもらってもいいかな?」
俺がそう言うと、ハムカンデは吹き出す様に笑って、膝をパンと叩いた。
「目的も果たさずに帰ると言うのかな?君は、東角猫族のティデという女に、私の彫魔法の地場止を解除するための札、消札を盗む様に交渉を持ちかけられたのではなかったのかな?」
「!?」
「いいだろう、くれてやるとも。その代わり、君がこの街でその身が果てるまで労を取り続けるのが条件だが。以前から、リョウマ族には謎の信念があり、ぜひ研究対象にしたいと思っていたところだ」
「研究対象…?」
「語弊だよ、別に実験台として扱うつもりはないのだ。オーロフ族のこの世界における更なる飛躍として、君の力を貸してほしい」
「断るっ!」
「構わん。では、私が宥めておいた者を解き放つまでだよ。まぁ、君の自業自得だがね」
くそっ!あの女、裏切りやがった!?俺達をこの城の中に招き入れるために、包帯ぐるぐる男と、ハムカンデと仕組みやがったのか?
まさか、この街から出られなくなっているっていう話もウソか?
かつて、ハムカンデに仕えていただって?
今も、仕えているって事か。
この世界のクソ共は、優しさを餌にして罠にはめるのが上手だな。心がないから、気兼ねなくそんな事ができるんだよな…。
またやられた。
この世界に来て、何回目だよ。
情けねえ…。
ザッ!
「よぉし!出番だ!」
「儂の片腕を失わせた代償は払わんとな?昨日の戦いの続きをしようじゃないか!?」
「!!?」
まずい!黒眼五人衆のメベヘが、太鼓六変人の列の向こう側に隠れて座ってやがった!?
生きていたなんて…。
これは、エズアが殺されたという状況と似ていないか!?
敵に囲まれて…。
圧倒的な強さを持つ様なゼドケフラーの成獣でも、死んだんだ。
俺がどうやって、この状況で生き延びられるんだよ!!
パルンガ…。
俺、どうすれば…。
エズアの事か。俺の隣りにゼドケフラーのパルンガがいるんだ、その話は出てくると思ったぜ。むしろ、その話が本題なんじゃないのか?本当は忌々しい存在だって思ってるんだろ?そのゼドケフラーを、この街に連れてきた理由を聞きたいって事なんだろうな。
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「ほぉお?それは一体、誰にだね?」
そうか。しゃべる奴によっては、良くも悪くも言うって事か。だから、誰から聞いたのかを気にしているのかもな。
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その前に、軽く話してくれたのは、オーロフの奇妙なじじいと、魔力買取人のペニンって人か。
でも、その2人は、大してゼドケフラーの事を話していない。
仕方がないな。
「この街に来る前に、聞いたんだよ。ゼドケフラーがこの街を守ってくれたんだよな」
俺の言葉を聞いて、含み笑いをしながら、陰湿な目を向けてきたな。ハムカンデ、やっぱりこいつ、好きになれないな。
「この街のために貢献してくれた。もちろん、この街の成り立ちにおいては、我が一族のオーロフ族を中心として、古球磨族や東角猫族の名も出しておかねばならないがね」
「ゼドケフラーは、長期の戦が続いていたせいか、正気ではなくなってしまった。その事が心残りではあるが、今でも彼のこの街に残した功績は忘れはしないよ」
ゼドケフラーの話に移ったかな。俺がその話を無視して、違う話に持っていってもいいけど…。
隣りのパルンガは、そのゼドケフラーのエズアについて聞きたいんだよな。この話はかわせはしない、そういう事だよな。
「エズアは、生きているのか?」
パルンガ砲が先に出てしまったか。仕方がない、ちょっと様子を窺うか。
「ゼドケフラーの幼獣だね、君は。この一帯でゼドケフラーを見かける事などなくなってしまったのだが、貴重な存在だよ…」
目が笑ってねえよ、ハムカンデ。
「残念だが、エズアは戦の傷によって、死んだのだ。君と会えなくて、エズアも残念だろうな」
パルンガ、落ち込んだな。エズアの事、尊敬してそうだったからな。本当の死因なんて、聞かない方がいい。クェタルドを救えるはずの物がエズアに渡されず、約束を破られてハムカンデに逆らった結果、ハムカンデらと戦って殺されたという話だからな。
「この街にいたのが、ゼドケフラーのエズアと知っていたのなら、彼は素行が少々悪い事も承知の上かな?死人に対して悪く言うのも良くない事だがね」
ハムカンデの目が少し強張ったな。エズアを殺してもなお、ムカついてるって感じがする。もはや、ゼドケフラー全てが嫌いにでもなったんじゃないか?
「ゼドケフラーは、成獣になるためにベルダイザーを倒さないといけないらしいんだけど、そのベルダイザーの居場所は知らないかな?」
「ベルダイザー?あの絶滅危惧種の事かね?もちろん、知ってはおるよ。ただ、実際に見た事はないな。恐らく、ゼドケフラーがベルダイザーを狩るから、中々見かける機会がないのかも知れないがね」
「小鈴、お前はベルダイザーを見た事があるのかな?」
あいつに話を振るのか。知性のかけらもない話し方をする奴だぞ。
「ああ…。確か、1匹食った事があるかも知れねえ、だなぁ?だははっ!あれは、ベルノットって動物だったかなぁ?」
こいつらでの会話は、中身がない。まともに俺達と会話する気がないのか?嫌いなゼドケフラーの成獣化なんて、どうでもいいっていう事かよ。聞く相手を間違えたか。
「よお!」
ポン!
「やあ!」
ポン!
「提案だが、そのゼドケフラー、私が預かろう。その方が、本人のためでもあると思うが、どうかな?」
何?パルンガをこんな街に置いておける訳ないだろう。何を勝手な事、言ってんだ。
「オデは、この街に残らないど!」
「そういう事だ。本人が望まない以上、この街に残していく訳にはいかないな」
「エズアは志半ばで息絶えた。その意思を引き継ぎ、ここに残ってみてはどうかな?この先進んだところで、ベルダイザーは見つかりはせんよ。死ぬまで彷徨い歩くがおちというものだ」
蔑んだ目をしてパルンガを見てるな。狙いは何だ?いたぶり殺すために残せと言っているのか?
「それはやってみないとわからないよな、パルンガ。少なくとも、この街にベルダイザーがいない事は間違いないだろうからな」
「わかった。では、こうしよう。私がベルダイザー探しを手配しよう。見つかるまでは、この街に残るが良い。それでは、どうかな?」
そんな事、信用できるはずがないだろうが。何だ、急に変な方向に話が行き出したぞ。
「ゼドケフラーの幼獣と知って、私は不憫に思っただけの事だよ。せっかく絶滅危惧種と呼ばれた中で生き延びる事ができているのに、もう未来が見えない…」
「それはわからないよ。もっと街の北に行けば、見つかるかも知れない」
「それはないな。望みは薄い。君達の情報収集能力では、この先も未来などないだろう」
あ、この野郎。完全にケンカを売ってきたな。未来がないなんて、はっきりと言ってきやがったな。
「そのゼドケフラーと離れたくないと言うのなら、君もこの街に残るといい。ぜひ、やってもらいたい事がある」
「やってもらいたい?悪いけど、俺はこの街に残るつもりはない。もう帰らせてもらってもいいかな?」
俺がそう言うと、ハムカンデは吹き出す様に笑って、膝をパンと叩いた。
「目的も果たさずに帰ると言うのかな?君は、東角猫族のティデという女に、私の彫魔法の地場止を解除するための札、消札を盗む様に交渉を持ちかけられたのではなかったのかな?」
「!?」
「いいだろう、くれてやるとも。その代わり、君がこの街でその身が果てるまで労を取り続けるのが条件だが。以前から、リョウマ族には謎の信念があり、ぜひ研究対象にしたいと思っていたところだ」
「研究対象…?」
「語弊だよ、別に実験台として扱うつもりはないのだ。オーロフ族のこの世界における更なる飛躍として、君の力を貸してほしい」
「断るっ!」
「構わん。では、私が宥めておいた者を解き放つまでだよ。まぁ、君の自業自得だがね」
くそっ!あの女、裏切りやがった!?俺達をこの城の中に招き入れるために、包帯ぐるぐる男と、ハムカンデと仕組みやがったのか?
まさか、この街から出られなくなっているっていう話もウソか?
かつて、ハムカンデに仕えていただって?
今も、仕えているって事か。
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ザッ!
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