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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その131
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「それで、走り回った結果、私の家に入り込んだという事かい?」
「結果的に、そうなった」
「…どうかしてるねぇ。宝酷城から大して離れていないこの家に舞い戻るなんてさ…。まさか、この家に入る時に、誰かに見られていないだろうね?特に、黒眼五人衆に見られていたら、お終いだよ」
「多分。もしかして、迷惑だったか?」
「決まってるだろ!私があんた達と仲間だって思われちまうじゃないか!?下手したら、私は処刑されちまうよ!鍵を閉め忘れたのが、致命的だったねぇ…」
東角猫族の女の家に戻って来てしまったか。だけど、この女は、俺達が宝酷城に行って、この街周辺から離れられない原因の魔法を解く札を取ってくる事を望んでいる。だから、俺達を殺さないと安心できるのはこの女しかいない。
「あんた達、私に恩が出来たよねえ?しっかりと私の要望を叶える準備をする事だねえ。宝酷城から例のお札を持って来れなかった場合は、お前達をハムカンデ様に売るから、覚悟をしておきなよ?」
「えー?」
あ、目がつり上がって悪魔みたいな目つきになったぞ。さすがにまずい態度だったかな?
「色々教えてもらって、かくまってくれたんだから、俺も明日、がんばるよ」
生き延びられる様に、かな。
「絶対に、札を持って来るんだよ?わかってるだろうねぇ…。頑張りますで、世の中渡れはしないんだよ」
「わかってるよ。ところで、この街のみんな、普段は何を食べてるのかな」
「何で、そんな話をし始めたんだい?」
お腹空いたからに決まってんだろう。街中に食べ物が売っていたとしても、全て毒入りを渡されそうな気がするからな。
「魔闘石に魔力を注ぎ込むと、それが栄養にもなるのさ。要するに、死にはしない。すぐにはね。体がくすみ出したら、栄養素のある食べ物を口にしないといけないけどね」
「アンタは、その魔闘石が胸にあるんだな?」
「…。そうさ、私にはある。あの宝酷城にいたんだからね」
そんな事言ってたよな。じゃあ、それは、ハムカンデのために戦って、認められたという証でもあるよな?こいつ、まさかまだ、ハムカンデの手先という訳じゃないよな?未だに様付けしてる様な奴だからな。
でも、この街から離れたがってるし、オーロフ族の話をする時も、嫌っていそうな感じだったし、それはない…かな?まだ少し、仕えていた時の気持ちは残ってるのかも知れないけど。
「食べ物は、食べないのか?」
「いや、食べるよ。大根や人参なんかの野菜を月味噌で煮込むだけだけどね。要は、片琳煮込みってやつさ」
「オデ、大好物だど!」
おお、パルンガ先生。ずっと黙っていたから、人形のものまねでもしてるのかと思っていたけど、ようやくお目覚めかな。
こいつ、何でも食いそうだから、その料理がおいしいのかわからないけど、でも、食材とか聞く限り、俺でも食えそうな気がする。
「何だい、あんたら、私にそれを作れと言ってるのかい?」
「できれば」
「だど!」
「いくら払えるんだい?」
「お金なら、ない」
「オデはあるど!」
「じゃあ、そっちのゼドケフラーだけ食わせるよ」
何ぃ?じゃあ、明日、宝酷城に行って、ハムカンデにお前の企みを話すしかないな。オーロフ族のいない家の快適生活も、今日で終わりだ。明日から、オーロフ族の新主人の下で、奴隷生活がんばれよ。
「…フフ、わかったよ。そう睨まないでおくれよ。宝酷城のお札、期待してるからねぇ?」
「結果的に、そうなった」
「…どうかしてるねぇ。宝酷城から大して離れていないこの家に舞い戻るなんてさ…。まさか、この家に入る時に、誰かに見られていないだろうね?特に、黒眼五人衆に見られていたら、お終いだよ」
「多分。もしかして、迷惑だったか?」
「決まってるだろ!私があんた達と仲間だって思われちまうじゃないか!?下手したら、私は処刑されちまうよ!鍵を閉め忘れたのが、致命的だったねぇ…」
東角猫族の女の家に戻って来てしまったか。だけど、この女は、俺達が宝酷城に行って、この街周辺から離れられない原因の魔法を解く札を取ってくる事を望んでいる。だから、俺達を殺さないと安心できるのはこの女しかいない。
「あんた達、私に恩が出来たよねえ?しっかりと私の要望を叶える準備をする事だねえ。宝酷城から例のお札を持って来れなかった場合は、お前達をハムカンデ様に売るから、覚悟をしておきなよ?」
「えー?」
あ、目がつり上がって悪魔みたいな目つきになったぞ。さすがにまずい態度だったかな?
「色々教えてもらって、かくまってくれたんだから、俺も明日、がんばるよ」
生き延びられる様に、かな。
「絶対に、札を持って来るんだよ?わかってるだろうねぇ…。頑張りますで、世の中渡れはしないんだよ」
「わかってるよ。ところで、この街のみんな、普段は何を食べてるのかな」
「何で、そんな話をし始めたんだい?」
お腹空いたからに決まってんだろう。街中に食べ物が売っていたとしても、全て毒入りを渡されそうな気がするからな。
「魔闘石に魔力を注ぎ込むと、それが栄養にもなるのさ。要するに、死にはしない。すぐにはね。体がくすみ出したら、栄養素のある食べ物を口にしないといけないけどね」
「アンタは、その魔闘石が胸にあるんだな?」
「…。そうさ、私にはある。あの宝酷城にいたんだからね」
そんな事言ってたよな。じゃあ、それは、ハムカンデのために戦って、認められたという証でもあるよな?こいつ、まさかまだ、ハムカンデの手先という訳じゃないよな?未だに様付けしてる様な奴だからな。
でも、この街から離れたがってるし、オーロフ族の話をする時も、嫌っていそうな感じだったし、それはない…かな?まだ少し、仕えていた時の気持ちは残ってるのかも知れないけど。
「食べ物は、食べないのか?」
「いや、食べるよ。大根や人参なんかの野菜を月味噌で煮込むだけだけどね。要は、片琳煮込みってやつさ」
「オデ、大好物だど!」
おお、パルンガ先生。ずっと黙っていたから、人形のものまねでもしてるのかと思っていたけど、ようやくお目覚めかな。
こいつ、何でも食いそうだから、その料理がおいしいのかわからないけど、でも、食材とか聞く限り、俺でも食えそうな気がする。
「何だい、あんたら、私にそれを作れと言ってるのかい?」
「できれば」
「だど!」
「いくら払えるんだい?」
「お金なら、ない」
「オデはあるど!」
「じゃあ、そっちのゼドケフラーだけ食わせるよ」
何ぃ?じゃあ、明日、宝酷城に行って、ハムカンデにお前の企みを話すしかないな。オーロフ族のいない家の快適生活も、今日で終わりだ。明日から、オーロフ族の新主人の下で、奴隷生活がんばれよ。
「…フフ、わかったよ。そう睨まないでおくれよ。宝酷城のお札、期待してるからねぇ?」
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