上 下
190 / 399
第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その118裏

しおりを挟む
ようやく落ち着く事ができる。

しかし、あいつら、しっかりこの弁帝街べんていがいで目立ってたよな。

赤祭傀士せきさいけしガラリス様のご命令とは言え、街の住人に気づかれず、このまま身を隠して見張り続けるのも、中々、骨が折れる。

街中で、今日は殺し合いがなかった様だが、少し街の様相が変わったか?

オーロフ族が東角猫トーニャ族を虐げる姿も見られなくなった。

その変わり、空の色があれだ。

今回は、あの大して強そうにも思えない戦士と、ゼドケフラーの動向の確認だが、ガラリス様には失礼だが、恐らくこの街でくたばってもおかしくはない。

赤傀士あかけしの俺でさえ、倒せる気がするのだから。

特に、第4大陸の噂の新生体ではないだろう。

あいつは、黒眼こくがん五人衆のメベヘに認識されていたな。この街での寿命は尽きたと言っても、過言じゃないだろう。

いや、街が前より穏やかになったのなら、問題はむしろ、ゲルの方か?

感情なく相手を惨殺する異常人格者だ。

あいつは、俺達《冬枯れの牙》と相対する日も、そう遠くはない。

ん!?

早速、そのゲルが現れたな。

途端に、家の戸を閉める音が聞こえ出す。それも、当然か。奴に敵味方の区別はつかないのかも知れないからな。

何だ?

俺の居場所を認識した?奴の視線が俺に向けられた様な気がしたが。

一度、この場から退散した方が良さそうだな。

刀を抜かれたら、俺では到底太刀打ちできない。





しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...