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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その51

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生死の淵を彷徨さまよ矢倉郁人やぐらいくと












真っ暗で何も見えない…。













今…。













誰か、俺に語りかけたのかな…。


















1つ質問だよ。















私が言うのもなんだけどね、今死んでしまえば、悲しむ人がいるんじゃないのかな?


















…誰もだ。













誰も、悲しまない。













もはや、自分でさえ。













自分に失望でもしたのかな?













失望…か。そうなのかも知れない。俺のいる意味なんて、何かあるのかな。















誰も、必要とされない…。
















フフフ…。勇者様よ。












あ…。












しもべ…?





















俺を殺して、この世界に転生させて…。
















ギルロの体と魂を探す旅に出させた元凶の…。



















元凶…?それは神に近い者に与えられる称号の様なものなのかな?とても嬉しいねぇ、ありがとう、イクトちゃん。













普通に…。














違うよ…。

























私は、君に期待しているんだよ。













まだ、君に。














…何でだよ。


















この世界での俺の姿をあまり見てないからそんな事を言えるんだよ。俺はカスだ。残念だけど、しもべは、ハズレを引いたんだよ。












ギルロの体と魂は探す事もできないし、生きている事だって、難しい…。
















ふう…。





















私はハズレを引いたとは思っていないんだよ、イクトちゃん。
















君の行動も、逐一とは言わないが、遠くから見させてもらっているんだよ。














え?













ごくたまに。













たまに?














君に例えると、トイレに行った時に、鏡で髪を直すくらいの頻度だよ。














ああ…。












あまり、見てないんだな…。














え?そうなの?














え?…そうだよ。

















君、服を脱がしてくれたり、人が近づくと戸が自動で閉まるのを見て、ひどく驚いていたじゃない。ちゃんと、見ているよ。















ライアマイアンの街で、トイレに行ったところを見てたのか…?

















おやおや、私を変態扱いするなんて、酷いじゃないの、イクトちゃん。













…違ったのか?













たまたま見たのが、その状況だったというだけの事だよ。















その状況をフォーカスして言うのが、おかしいと、思ったんだけど…。














イクトちゃんに勘違いされない様に言うとだね…。












私は、ある場所で、水晶を通してイクトちゃんを見てるんだよ。君が、ギルロ様の体と魂を探し出せるか、それはとても重要な事だが、それだけじゃない。
















君を通して、この世界の状況を知る事ができている。















この世界…?














どうでもいい…。














君にとっては、そうなのかも知れないけどね。イクトちゃん…。














この世界は、私の生まれた星なんだよ。













私が、君の生まれた地球に対して、どうでもいいと言ったら、君は怒るだろうねぇ…?
















何だと…?













怒らなければ、おかしい事だよね?自分が生まれ育った星なんだから。












別に…。












この世界が、君の住む地球とは大きく違って見えているのは、わかっている。















でもそれは、この世界の一部でしかない。












一部?そうかな。じゃあ、もっといい奴もいるって、言いたいのか?













いや、もっと悪い者がいる。

















わかった。この世界の印象を下方修正しておくよ…。
















この世界にも、根からの悪党はいる。そいつは、どうにもならない。わかり合えない。
















それは、君のいる地球でも、同じ様にいる。そして、他の星にも。














私が地球のそういった者達を見て、地球を、薄汚れた星だと言ったら、君は怒るんだろう?
















へ…。











このクソみたいな偽善や極悪人しかいない様な世界と、比べられたくないな…。
















君の住んでいた地球よりも、互いを思いやり、共存する星はあるんだよ。その星の住人からしたら、君の星は、どの様に見えるかは、想像できる事でしょう。











イクトちゃん。














私は命を狙われていて、表立って君を助ける事ができないけれどね。













いつも、気にかけているよ。













わかってるよ。でももう、ムダに終わったけど…。俺は、ギルロの体と魂を探し出せなかった…。














あの《冬枯れの牙》ラグリェに、俺は殺された…。












俺は、殺された…。
















フフフ、安心してほしい、イクトちゃん。


















君はもうじき、目が覚める。












私にとっては、まさかの人物だったんだけどねぇ。













ギルロ様がいなくなってからなのか、彼は変わったのかも知れない。















よく出会った、勇者様…。
















イクトちゃん。

















目が覚める…??地球に戻れるのか!?



















ごめんね、それはまだ、させてあげられないんだ。

















彼は、その大陸で君の力になってくれるはずだよ。
















誰の事を言ってるんだ…?













目を覚ましたらわかるよ。














しもべ…?















もう時間だ。私のいる大陸へ来て、再会しよう。













それまでに、ギルロ様の体と魂を探し出して欲しい。












彼の力がどうしても必要なのだ。












この世界は、捨てておけばいいさ…。もう救いようがないんだから…。












いずれ、またお話しをしようじゃない、イクトちゃん。












しもべ…。













君の体には、特殊な力を宿してある…。恐らく、もうすでに感じている事もあるだろうけど、ただ、その力は君の人望に因るものでもあるんだ。














え?













闇に落ちれば、その様な者達の力が集まる様に、君の属性に合わせて、同じ色をした魂を持った者達が集まる。












まさか、あの炎の事か…?














炎…?











え…?違うのか…?













どうなのかねぇ、わからないけど、ただ、自分自身をカスとか思わないでほしいな。











私は、ギルロ様の体と魂を探してほしいからというだけで、君をこの世界に転生させた訳じゃない。














この話はそんなに簡単じゃないんだ。













…どういう事だ?
















また話そうね、イクトちゃん。
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