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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その30

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外の空気は新鮮だなあ…。











大剣を取りにいった時も、何だ、もう街を出るのか?何処行くつもりだ、とか言われたな。ゴフルオーターに、湧き水の欠片かけらを取りに行くとか言ったら、また変な雰囲気作っちまうからな。外の空気吸ってくるよとか言って、出てきたけど、それで良かったんだよな。











東に行くんだったかな?ゴフルオーター。











1人で行くの、面倒臭いんだけどさ。












シュティールを探しにいくのも面倒だったし、ムカついていたのもあるしな。気絶パンチ食らわせやがって。超神経質召喚獣めが。顔を悪く言うだけで、女子供も虐待するだろうな。あいつは。









次にまた行動一緒にする時、隙をついて、口の中に虫の死骸をたくさん入れてやるからな。覚えておけよ。















しかし、固い地面が続くよな。水気がないせいだろうけどさ。この辺は、あまり雨降らないのか?鉄靴でずっと歩いてると、足がジンジンと痛くなるじゃねぇか。










あー、足首回してストレッチしてぇ。











切り株街の周りの地面、何でこんなに水気がない地面になるんだろうな。何か、理由があるのかな。











地面に何か埋め込んでるせいで、水分が行き渡らないのか?ボーグン族に歯向かう奴が来たら、そいつらを全滅させる仕掛けでもあるのか?よくわからないけど、何かありそうな気がするな。ここから南の場所は、ここまで水が不足している印象があったかな?まぁ、川が干からびていた場所はあったけどさ。森はあった。









あと、この辺り、やたら岩がゴロゴロしてるな。これ、大地を修復した時に出てきたあまりだったりしてな。あれ?岩がたくさんあまったぞ。その辺に置いとけよ、背もたれくらいにはなるだろ、とか。ボーグン族どもめ。適当やったのか?








俺を街から追い出したとはっきりわかったら、切り株街の外壁に、呪文の様にバカの文字を何千何万と書き込んでやるよ。










それで、全民族からバカにされちゃえばいい。











ハハハ!














…小学生のガキか、俺は。












はぁ…。バカバカしい。















ここから下り坂だ。戻る時、上ってこないといけないのが、だるいな。何か乗り物が欲しいところだ。あるなら、自転車でもいい。自転車に代わる様な、自転車っぽいものでもいいな。








この世界、未来的な感じもするけど、いや、中世の様な感じもするし。どうなんだろうな。









自転車…よりも、馬車。または
竜?そんな印象だな。











馬なんか乗れないし、竜なんか、食われるのがオチだよな。











まぁ、下るしかねぇな。













だるいな。













だるいと言えば、この大剣。










この大剣も、どのくらいの重さなんだ。結構重いよな。肩が痛てぇし。来るべき時が来たら、あるべき形に変わるとか言ってたよな、確か。言ってたのは、しもべだったか?早く、軽くなってくれればいいけどな。







俺、この大剣、ほぼ引きずってるんだよな。あまり引きずり過ぎて、剣先がすり減っても困るから、たまに杖つく感じにしたりもしてるけど。今まで行った街の中で、見ため戦士っぽい奴が、背中にある鞘に大剣を納めてたよな。俺も、この大剣の入れ物が欲しかったな。







魔法使いじゃあるまいし、杖ついてばかりいても仕方ないしな。










グニャ…。











「わっ!」












あれ?地面が湿ってる。水気がある地面だよな?










よく見たら、所々に緑の草が生えてる…。急に、水が行き届いている様な地面になってきてる。何でだろう。






ボーグン族の切り株街で、何かやってるから、あの街の周りだけ、地面が干からびてるんだよな。









ロクでもないゴミ民族だな。









岩がまだ点々としてるけど、さっきよりは少し減ってきたな。そのおかげで、視界が広がってきた。先の方に、森があるのが見える。あそこが、ゴフルオーターだったりして。










ここからあそこまで、歩いて30分くらいはかかるか?もっと?あそこがゴフルオーターなら、フレージアがいるから、湧き水の欠片かけらをもらえばいいんだろ?











ちょうだいって言えば、くれんのかな?











もう1人の俺がフレージアを知っていれば、いいよ、いくつ欲しい?とか、そんな会話になるのかな。











いや、待てよ。











その前に、あの森に猛獣とかいないだろうな。お話しライオンみたいな強敵とはもう、戦いたくないんだけどな。俺自身の力じゃ、まだまだ、お話しライオンの力の足元にも及ばねぇ。不思議なあの炎が手から出てくれば、勝てるかも知れないけど、そんなの、自分から呼び込めないんだから、運でしかない。












もう1人の俺は、拳術がすごいって話だな。何処でそんなの、手に入れたんだ?











切り株街の中で、ボーグン族が力試しみたいな感じで俺に向かってきた時に、俺は、蹴りを出した。










とっさに、出たんだよな。俺、ケンカで蹴りなんて、出した事あったかな?











俺にも拳術の素質があったりして。












まさかな。















俺…。











うーん。


















うっ…!














くぅ…っ!














ヤバイな、その事を考えると、気持ち悪くなってくる。あまり深く考えない方がいいのかもな。











気楽が一番て事だよな。俺のこの状況自体、最悪なんだしな。











ふうーっ。












ふうーっ!













ゴフルオーターで、フレージアに会って、ついでにうまい物でも食べさせてもらおうかな。











今の俺は、牛丼でも、満足しちゃうぞ。ご飯少なめ、肉多めで頼むぜ。













フレージア。












もし、フレージアがいなくても、湧き水の欠片かけらが嘘でも、いいさ。












その時は、切り株街に戻って、あのバカ民族の誰かに何か食わしてもらうからよ。








遠慮というリミットを外した状態で、要求していくからよ。その時は、よろしく頼むぜ?追い出し民族のボーグン族君達よ。











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