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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その9
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古そうな木造3階建ての旅館みたいな所に宿を取る事になった。木のいい香りがする。ギシギシきしむ階段を上った2階の端の部屋が俺達の部屋。中の部屋は真っ白な壁で床は畳でもなく、何か硬い石みたいな素材のもの。カツーンって足音が高く響く。軽い素材なのかも。そしてベッドが2つ。日本風なのは、外観だけみたいだな。
「君は懐かしいんじゃないのかい?」
他にも泊まれそうな場所はあった気はするけど、こいつ、俺のために泊まる場所をここにしたのか?いや、まさかな。悪童シュティールが、そんな事を考えるはずがない。
シュティールは、ベッドの頭上にあるスイッチを押す。すると、白い壁や床に木の模様が映し出された。すごいな…。何か、歴史を感じさせる様な雰囲気のある旅館みたいになったぞ。木のいい匂いまで、部屋からしてくるな。
「シュティールは、日本に行った事あるんだよな?」
「僕がいつ、そんな事を言ったのかい?」
あれ?そうだったかな。うーん、まぁいいか。じゃあ、日本の事を誰かから聞いて知っているだけか?にしては、よく知ってる様な気がするな。映像で日本を見たとか。それなら、有り得るか。
「シュティール、日本好きか?」
「ああ、そうだね。この世界の住人達を、否応なしに召喚獣として地球に招いてくれるんだから、そこがとても感動する所だね。しかも、時には命令口調で言ってくるんだから、本当に尊敬の対象だと思うよ」
完全に嫌ってるじゃねぇか。ダメだ、この話題は出すのは止めよう。シュティールが喜びそうな事でも言っておくか。
「シュティール、お前、顔いいからモテるだろう」
「まぁ、君よりは。残念ながらね」
おっと!俺のこめかみの血管がまるで生き物のミミズの様に所狭しと機敏に動き出したからびっくりしたぞ。相当イラついたんだろうな、ごめんな、俺の神経。
「お腹が空いたのなら、僕の異空間収納の所に、アイスがあるけど、食べるかい?」
前もその異空間からアイス出したな。そこから、俺、地球に戻れないかな。
「荷物を入れてある異空間が気になるのかい?2人くらい入るくらいの広さしかないけどね。それ以上は、広がらないのさ」
ああそう。俺、顔に出てんのかな。俺が言う前に何を言おうとしてるのかわかったみたいだな。
「アイスはいいよ。ご飯食べたいな…」
「オレンジのかい?」
オレンジのご飯とか、食った事もねぇな。気持ち悪い、どう考えてもまずいだろう。
普通のご飯に、すき焼きでも食べたいな。ネギとすき焼きの汁を吸ったしらたき、そして牛肉をいっぺんに口の中に入れ、何回か口の中で噛んだら、ご飯を口に投入。よく噛んで食べ、次は豆腐と牛肉を…
「何だ、シュティール。俺、今、アイスいらないって言わなかったか?」
シュティールは、アイスを異空間から取り出して俺に微笑んでいる。しかし、クレープ生地に包まれたバニラアイスか。うーん…悪くないな。チョコバナナ生クリームのクレープに、オプションとしてバニラアイスを乗せる、これは最高の喜びだけど、ぜいたくは言ってられない。仕方ない、ここはシュティールを立てて、頂くとするか。
「わかった、ありがとう。シュティール。もらうよ」
「これ、僕のだけど」
「あ、そう…」
俺に見せつける様にして出しただけか?まるで俺に渡そうとしてる様だったぞ。どうせ、わざとだろうな…。同じものくれって言ったら、多分…。
「あ、シュティール。やっぱりほしい!同じもの、くれよ」
「ごめん、このクレープは、これが最後なんだ。ただのバニラアイスだったら、あるけど、それでいいかい?」
ほら、そうきた。お前の性悪な性格が段々とわかってきたからな。読めるんだよ、お前の心がよ。そうやって俺を常にイライラさせて憤死させて、大笑いしようって考えだろ?そうはいくかよ。って言うか、お前!そのクレープ、作りたてみたいに見えるのは気のせいか?その異空間、本当は日本に繋がっていないだろうな?
「この収納空間に入ると、食料もだけど、入れる前と物質の状態が変化しないんだ。だから、温かいものも、冷たいものも、そのままを維持できるのさ。温かいものを入れていないのは、下手に物を探している時、ヤケドしたりしない様にさ。ちなみに、このクレープは、地球に召喚された住人が食べ物の作り方を知り、この世界で再現したものさ。別に日本には繋がっていないよ。残念でした」
…俺の心読んだ?それか、よほど俺が顔に感情が出やすいだけなのかな。まぁいいや。
「僕はこのクレープを食べたら寝るつもりだから、後は自由にこの宿の探索でもしても構わないからね」
食ってすぐ寝ると太るぞ、召喚獣君。
「俺も寝るよ。体が疲れてるからさ」
色々あり過ぎて、頭が整理できてない。思い出すのも、つらい事もあったから。シュティールがアホな事ばっかり言ってくれるから、気が紛れてるのかもな。神経は逆撫でされっぱなしだけど。でも、疲れてるのは、少しこいつのせいもあるだろうな。俺の嫌がる所を的確に衝いてきやがるからな。いやいや、少しどころじゃない。こいつのせいだな。完全に。
ふぁあ…。
なんてな。
お前には感謝してるよ、シュティール。
「君は懐かしいんじゃないのかい?」
他にも泊まれそうな場所はあった気はするけど、こいつ、俺のために泊まる場所をここにしたのか?いや、まさかな。悪童シュティールが、そんな事を考えるはずがない。
シュティールは、ベッドの頭上にあるスイッチを押す。すると、白い壁や床に木の模様が映し出された。すごいな…。何か、歴史を感じさせる様な雰囲気のある旅館みたいになったぞ。木のいい匂いまで、部屋からしてくるな。
「シュティールは、日本に行った事あるんだよな?」
「僕がいつ、そんな事を言ったのかい?」
あれ?そうだったかな。うーん、まぁいいか。じゃあ、日本の事を誰かから聞いて知っているだけか?にしては、よく知ってる様な気がするな。映像で日本を見たとか。それなら、有り得るか。
「シュティール、日本好きか?」
「ああ、そうだね。この世界の住人達を、否応なしに召喚獣として地球に招いてくれるんだから、そこがとても感動する所だね。しかも、時には命令口調で言ってくるんだから、本当に尊敬の対象だと思うよ」
完全に嫌ってるじゃねぇか。ダメだ、この話題は出すのは止めよう。シュティールが喜びそうな事でも言っておくか。
「シュティール、お前、顔いいからモテるだろう」
「まぁ、君よりは。残念ながらね」
おっと!俺のこめかみの血管がまるで生き物のミミズの様に所狭しと機敏に動き出したからびっくりしたぞ。相当イラついたんだろうな、ごめんな、俺の神経。
「お腹が空いたのなら、僕の異空間収納の所に、アイスがあるけど、食べるかい?」
前もその異空間からアイス出したな。そこから、俺、地球に戻れないかな。
「荷物を入れてある異空間が気になるのかい?2人くらい入るくらいの広さしかないけどね。それ以上は、広がらないのさ」
ああそう。俺、顔に出てんのかな。俺が言う前に何を言おうとしてるのかわかったみたいだな。
「アイスはいいよ。ご飯食べたいな…」
「オレンジのかい?」
オレンジのご飯とか、食った事もねぇな。気持ち悪い、どう考えてもまずいだろう。
普通のご飯に、すき焼きでも食べたいな。ネギとすき焼きの汁を吸ったしらたき、そして牛肉をいっぺんに口の中に入れ、何回か口の中で噛んだら、ご飯を口に投入。よく噛んで食べ、次は豆腐と牛肉を…
「何だ、シュティール。俺、今、アイスいらないって言わなかったか?」
シュティールは、アイスを異空間から取り出して俺に微笑んでいる。しかし、クレープ生地に包まれたバニラアイスか。うーん…悪くないな。チョコバナナ生クリームのクレープに、オプションとしてバニラアイスを乗せる、これは最高の喜びだけど、ぜいたくは言ってられない。仕方ない、ここはシュティールを立てて、頂くとするか。
「わかった、ありがとう。シュティール。もらうよ」
「これ、僕のだけど」
「あ、そう…」
俺に見せつける様にして出しただけか?まるで俺に渡そうとしてる様だったぞ。どうせ、わざとだろうな…。同じものくれって言ったら、多分…。
「あ、シュティール。やっぱりほしい!同じもの、くれよ」
「ごめん、このクレープは、これが最後なんだ。ただのバニラアイスだったら、あるけど、それでいいかい?」
ほら、そうきた。お前の性悪な性格が段々とわかってきたからな。読めるんだよ、お前の心がよ。そうやって俺を常にイライラさせて憤死させて、大笑いしようって考えだろ?そうはいくかよ。って言うか、お前!そのクレープ、作りたてみたいに見えるのは気のせいか?その異空間、本当は日本に繋がっていないだろうな?
「この収納空間に入ると、食料もだけど、入れる前と物質の状態が変化しないんだ。だから、温かいものも、冷たいものも、そのままを維持できるのさ。温かいものを入れていないのは、下手に物を探している時、ヤケドしたりしない様にさ。ちなみに、このクレープは、地球に召喚された住人が食べ物の作り方を知り、この世界で再現したものさ。別に日本には繋がっていないよ。残念でした」
…俺の心読んだ?それか、よほど俺が顔に感情が出やすいだけなのかな。まぁいいや。
「僕はこのクレープを食べたら寝るつもりだから、後は自由にこの宿の探索でもしても構わないからね」
食ってすぐ寝ると太るぞ、召喚獣君。
「俺も寝るよ。体が疲れてるからさ」
色々あり過ぎて、頭が整理できてない。思い出すのも、つらい事もあったから。シュティールがアホな事ばっかり言ってくれるから、気が紛れてるのかもな。神経は逆撫でされっぱなしだけど。でも、疲れてるのは、少しこいつのせいもあるだろうな。俺の嫌がる所を的確に衝いてきやがるからな。いやいや、少しどころじゃない。こいつのせいだな。完全に。
ふぁあ…。
なんてな。
お前には感謝してるよ、シュティール。
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