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第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生

その63

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「何処に、隠れてやがる!…降りて来いよ」



テメェの一言がなければ、セプレピの実とかを何とか入手して、ゲルロブライザー装置を動かして、大陸を維持しようとしてたかも知れないのに。



やってやるよ…!




連戦が何だよ。




お前になんか、見逃してもらうつもりはねぇよ。









俺が、お前を見逃さねぇ!!











パチパチパチ…。









何を!拍手してやがる!?











「いーぃ、目だ。その目だ。シンガリ族をやった時の、その目。ククク。クククッ!」








バサバサ…!








カラス野郎が移動した。何か、はためいたか?まさか、本当にカラス??









え?あ…あ。











俺の目の前に、いた…。











目の前に移動したのに、何ですぐに気づかなかったんだ?






こいつ、クチバシを尖らせた、短い黒毛を揃えたカラス仮面を顔に…はめてる?黒目の奥がほのかに赤い。







気持ちが悪い…何て悪趣味な仮面はめてるんだ。







体に膝くらいまでの長さの、艶のいい黒いマントを身につけている。身長は170cm程度か?肩幅が広い、体を鍛えていそうだな。







左手には、細い剣…!?








は、速く構えないと、ヤられる。










「…どうした?また刀の様に、その大剣を使ってみてはどうかな?心配は無用だ。私のこの細身剣は、ガルトデフブリンガーという。見た目以上に、丈夫なのだよ。ククク…。カァ!カァ!」








威圧されてるからか?か、体が動いてくれない。どうした?







ザッ…。







ゆっくりと近づいてくる。








た、頼む。動いてくれ。手に持っている大剣を、構えるんだ。









ザッ…。









「私に…牙をむけたんじゃ、なかったのかな?…カァ!カァ!カァ!」








ザッ…!









「まずは、何処に穴を開けて欲しい?108の刺突をお前にプレゼントしてやろう。頭、喉、心臓は、最後のご褒美だ、その部位はまだ早い」








「な、何?」








「いずれわかる、刺突による体の穴が増えれば、おびただしい出血と激痛がお前の心を支配する。止む事のない、抜ける事のない、絶望。お前は、一撃による死を欲しがるのだ」








ザッ…。








もう、体には、右京も、霧蔵もいない。他の誰かが、また、現れるのか?








は、早く!手に炎を!









…頼む!

















ダメ…か。










悪趣味な仮面の裏から、感じる。こいつの深い闇の様な心。

何で、そんな事を感じるのかわからないけど、こいつの心は壊れている…?

誰かが、俺に伝えてくるのか?

わ、わからねぇよ。



でも、こいつとは、戦ってはいけない…。

きっと、きっと酷い死に方をする。

そんな悪い予感しか、恐怖しか、感じない。










「!?」









「その顔…」









何だ?カラス野郎が俺の顔を見て、何か少し驚いてるな。









「…見間違いではなかったか。戦法を変え、雰囲気もかつてのものとは違う」









戦法を?何言ってんだ、コイツ。










「…生きていたとはな」










カラス野郎が、数歩後退って、俺から距離を取り始めた。明らかに、俺を警戒してる。何故だ?俺は、お前になんか、会った事はないぞ。







矢倉郁人やぐらいくと、ククク…」









!?







お、俺の名前を、知ってる…!?










あ、動ける!何か金縛りみたいなものをかけてたのか。









「クククッ、お前を追ってきて良かった。前の戦いでは、十分な力を披露できなくて申し訳なかったな…」








「お前には、改めて《冬枯れの牙》から腐食レターを送らせてもらう。せっかくの再会だ。お前に相応しいステージを用意してやる事にしよう。その時は、最高の地獄を味わうと良いさ。ククク…。カァ!カァ!カァ!」







カラス野郎、冷静さを残しながらも、少し興奮気味に話してる。壊れた感情が声に出てる。






カラス仮面をしているから、どんな表情してしゃべってるか、わからねぇ。






目の前から、消えて…くれ。








恐い…。
















バサバサ…!








消えた…!?








ほっ…。










「…俺が、何をしたって言うんだ?」







腐食レターって?








《冬枯れの牙》って?








あの口調だと、前に俺…と戦って…。










俺があのカラス野郎を退けたのか?










先にこの世界に辿り着いた、もう1人の俺…だろうな。






確か、もう殺されているって、片眼鏡男が言ってたな。







でも、もう1人の俺って、どんな奴なんだ?








戦法も雰囲気も違うって。








今の俺より、ずっと強かった?








訳がわからねえ…。








最初にいた街に戻って、もう一度あのしもべに聞かないと!







ギルロの体と魂をとかっていうだけじゃなくて、先に着いたもう1人の俺は、どうだったんだ?片眼鏡男も、今のカラス野郎も、そう言えば、うさ耳オヤジも、どっかで会ったか?みたいな事を言ってたな。



もう1人の俺を知ってるんだよ。



恐らく、強いんだ…。



片眼鏡男の言ってた、女神アンメイレンって神様に、転生をされてなかったのが、俺とそのもう1人の俺との違いか?




…あのしもべは、何者なんだ?














ただでさえ、力持った嫌な奴ばかりなのに、もう1人の俺が下手に動きやがったから…。





いや、そう悪い事は、起こってないか?







片眼鏡男も、もう1人の俺が先に仲良くなってくれていたから、俺に手助けしてくれたんだから。







今の奴も、軽快してくれなければ、俺…死んでた…。







はぁ…。






しもべのいた街に戻るか。









そうだな、それがいい!







状況がわからなくて、しもべに追い出される様にして出てきたのが、間違いなんだからな。







よーし、出発!



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