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第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生

その52

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右京、お前が強いのは、わかったけど。




牙音番禺げおんばんぐと戦ってる右京に、また何人かの白装束の忍者が襲いかかっていく。



キリがないな。



黒装束の忍者は木の幹の影、枝の影、岩の影、近くにいるのに、助けようとしていないのは。



右京、お前に牙音番禺げおんばんぐを倒してもらおうという、信頼からか?



右京を狙う白装束の忍者は、倒してくれてもいいんじゃないか?




牙音番禺の側に近寄るのが恐いのか?




さっきまで寄って、勇敢に戦ってた黒装束の忍者達が。




急に怯んじまったな。





残りの忍者は性転換手術を受けて女になったから、肌に少しでも傷を負いたくないからとか、そんな理由なら、女忍者のくのいちの立場がないな。




右京、お前が黒装束の忍者のリーダーの座を奪おうと霧蔵を殺した事、知ってる奴がいるんじゃないのか?





自業自得だな。







お前は、死んで当然。






だけど、右京よりも強そうな奴はいなそうだな。






この牙音番禺に右京が負けたら、牙音番禺は、お前達黒装束の忍者が守ろうとしてる、あの煙の上がってる村に行って、人をたくさん殺すんじゃないのか?






今だけでも、右京を助けてやっても…。






まぁ、知った事じゃないよな!俺には関係ない事だ。





…お前の肩を持つなんて、冗談じゃねぇよ。











ドガァッ!!!











「ぅゔッ……!?」









ぐるぐるぐるぐるぐるぐるッ!












「あ…あ?」









また顔…?頬を蹴った…?顎から口にかけて思いっきり擦った様な痛みがする。痛ぇ…。痛ぇよ。



急にまた戻ってくるから、混乱する…。わけがわからねー。



でも、直撃はしなかったのか…。俺がバランスでも崩してたまたま直撃を逃れたのか、あのうさ耳オヤジの蹴りが下手か、どちらかだ。まだ意識はしっかりある。





痛ッ!






傷口は、触らない方がいい。






多分、血が出てるな。痛ぇ…。








「え?」









う、ウソだろ…?









最悪…だ。











背の高い、デブったうさ耳オヤジが俺の後ろに立って、見下ろしてる。うさ耳野郎がもう1匹、…奴の味方が現れた。



ダメだ…、これじゃ、戦う姿勢を取る前に、やられる…。



あのうさ耳オヤジより、力がありそうだ。頭上から一発もらったら、俺。死ぬ…。











…意外と、仕掛けてこないな。俺の様子を見てるのか。見逃しては、くれないよな。さすがに。






そう言えば、あのうさ耳オヤジ、遅番がそろそろ来るからとか言ってたか。こいつが、その遅番だな。薄い目から覗く赤い目が恐い。もうすでに特徴的な長い耳が伸びてるけど、こいつ、最初から召喚獣になっていたのか、それとも、俺が右京の生前の世界に飛んでた間になったのか?いや、あっちの世界に飛んだ時は、基本的にこっちの世界の時は進んでいなかった様な…。



どうだっていい!こいつら2人共相手になんかできねぇ!もう、逃げるしか…。












「安心しろ。この戦いの邪魔はしない」











え?






そうなの?







この背の高いデブうさ耳オヤジは、10m離れた所から歩いてきているうさ耳オヤジの方を見て、意地悪そうな笑みを浮かべて、




「安心しろ!邪魔はしないさ…」






そう言った。







同じ種族同士、尊重しているって事か?誇り高い…種族か。






デブうさ耳オヤジは俺の方をじろっと見て、小さな声で言ったんだ。







「負けた方を、ゲルロブライザー装置に投げ込んであげるからよ…」








え!?








同じ種族同士でも、味方同士ってわけじゃないのか…?









この世界、自分以外は敵?








それが基本的な生き方って事か?









どうでもいい。









その考え、変えないでくれよな。少なくとも、俺の命が。もう少し伸びてくれる。







デブうさ耳オヤジが、俺が戦ってるうさ耳オヤジが抜けて、誰もいなくなった店へ向かって歩いて行っていった。





「カイルズ、お前も運動不足なんじゃないか?」







あ、こいつ!デブうさ耳オヤジに俺をやらせようとしてるな。ぴょんぴょん攻撃をやり過ぎて、疲れたとか?だったら、お前も店に戻って、世界大絶叫のコームーを売りに店に戻ってくれよ!





「なぁに…。君ほどではないな。目の前のあの男は、よほどの大敵らしいな。どちらが負けるか、わからないところが、おもしろいじゃないか。邪魔をする事なんて、出来はしないさ」








デブうさ耳オヤジのカイルズ、湯沸かし器としての機能を発揮してくれたな…。うさ耳オヤジの額にネズミが入り込んだ様に血管がピクピクと暴れ出してるぞ。怒り心頭…ってヤツだな…。はぁ。







俺の大剣…。あ、あった。よし!まだ握れるぞ。







うさ耳オヤジ…来るよな?






俺、もう大して力も残ってないかも知れないけど。







お前、この大陸のためだって言うけどさ、気楽に人を殺そうとし過ぎだよな。










ムカつくよ…。












お前は、やっつけてやろうかな…。

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