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第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生
その43
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「行きたい街があるんだけど、なんて言ったらいいかわからないけど、オレンジジュースが無料で飲める、街なんて知らない?そこから来たんだけど、はっきり道を覚えているわけじゃないから」
「オレンジジュース?お前、あんなもん好きなのか?それより、今なら、コームーがさらに一杯無料で飲めるぞ?」
拷問に使われそうな飲み物を無料だとか言われても、さすがにもういらない。いい加減、さっきから、飲ませ過ぎだぞ。スポーツドリンクみたいにゴクゴク飲むものじゃないだろう。
「迷ったのか?仕方ねぇな。後もう少しで、交代で店番がもう1人来る。その時に、俺が途中までその街まで案内してやるよ。俺も街の名前忘れちまったけど、いいぜ。連れて行ってやるよ」
そう言って、コームーオヤジは中指を立てる。ここの世界だと、任しとけ!みたいな感じだろうけど、俺の世界だと、ケンカを売ってるだけだけどな。まぁいいや、助かるよ。
たまに良さそうな人に会うと、少し安心する。日本に住んでる人達だって、みんながみんな、いい奴ってわけじゃない。この世界だって、みんながみんな、悪い奴ってわけじゃないだろうから。
でも、剣だけは、手放さない様にしないとな。
「ヘイ、コームーお待ち!」
「…待って…いない…」
正露丸を1日に服用した数のギネス記録はいくつかは知らないけど、感覚的に俺がそれを更新している様な気がするのは気のせいかな。
「何だ?このコームーがただで飲める幸せを実感できないなんて事はないよなぁ?」
まずくて、眉間に寄ったしわが取れないんだよ。完全に無理してる俺の表情を読み取れって。
「お…おいしい…です」
街に案内してもらうためだから、無理をして思いとは逆の事を言う。これが社会の辛さってやつか。グフッ…。
あ。
あれ…?
体が…。
言う事を聞かない?
力が、思う様に入らない…?
ああ。
膝ついちゃったよ。
「あれ、俺どうしちゃったんだろう?」
コームーオヤジが、俺に声をかけている。
「…ああ、多分。疲れているだけ…かな」
「…炎真大将グレンベール達の作り出したゲルロブライザー装置にはエネルギーが必要なわけだが、そのエネルギーは別の大陸にあるセプレピの実が源になっていたんだよ。その実は、グレンベールの失踪、そして他の大陸への交通手段が止められてしまって、入手方法がなくなっちまった。実が底を尽きそうで、途方に暮れていたわけだ…」
何だこいつ、急に語りだしたぞ。俺の体の自由がきかなくなってきてるのに。
「そんな時、《冬枯れの牙》のラグリェって奴が、いい事を教えてくれたんだ。ゲルロブライザー装置のエネルギー源は、セプレピの実だけじゃないって」
くそっ…!嫌な予感がする。
コームーオヤジの固い表情が緩んで、ニヤリと笑った。
「住人の体からも取れるんだってよ」
「お前…仲間を…?」
「いや?大陸浮遊術を使ってこの大陸を安定させたとは言い難い劣等種族、ソライン族のみなさんに、役立ってもらったんだよ」
「!?」
「そのソライン族も底を尽きそうだから、たまに無警戒でこの街にやって来る奴らに、この痺れ薬入りのコームーを振舞ってやってるんだよ。お前には、この大陸の将来のため、役立ってもらうぜぇ?」
お前だって、他人の足元をすくう事しか、考えていないんだな。少しでも、このオヤジをいい奴なんて思った自分が恥ずかしい。この世界の奴らなんて、こんなもんなんだよ。
勝手にいい様に考えているだけなんだよな、俺って。
片眼鏡の男だって、何か企んでいたのかも知れないし。
勝手に信じてしまった、俺が悪いか?
あの人もそうかな…。
オフジエって、おばあちゃんも。
…
くそっ!
無理すれば、何とか立てる…!剣は手放していない。痺れ薬なら、時間が経てば、隙みてまた逃げる事もできる…はず。
「やっぱり、少し効きが悪いな。前にお前に似た様な奴がいたけどよ。やっぱり同じ様に効きが悪いんだよ。何処の大陸の奴だ、お前?」
コームーオヤジの目が獣みたいに尖り出したな。顔が少し変形し始めた様な。口が横に裂け出して、歯が伸びてきた。
召喚獣に、なるつもりか?
この世界を消滅させるほどの力を持つ、召喚獣。
俺、もしかして。
俺。
ここで死ぬのか?
「オレンジジュース?お前、あんなもん好きなのか?それより、今なら、コームーがさらに一杯無料で飲めるぞ?」
拷問に使われそうな飲み物を無料だとか言われても、さすがにもういらない。いい加減、さっきから、飲ませ過ぎだぞ。スポーツドリンクみたいにゴクゴク飲むものじゃないだろう。
「迷ったのか?仕方ねぇな。後もう少しで、交代で店番がもう1人来る。その時に、俺が途中までその街まで案内してやるよ。俺も街の名前忘れちまったけど、いいぜ。連れて行ってやるよ」
そう言って、コームーオヤジは中指を立てる。ここの世界だと、任しとけ!みたいな感じだろうけど、俺の世界だと、ケンカを売ってるだけだけどな。まぁいいや、助かるよ。
たまに良さそうな人に会うと、少し安心する。日本に住んでる人達だって、みんながみんな、いい奴ってわけじゃない。この世界だって、みんながみんな、悪い奴ってわけじゃないだろうから。
でも、剣だけは、手放さない様にしないとな。
「ヘイ、コームーお待ち!」
「…待って…いない…」
正露丸を1日に服用した数のギネス記録はいくつかは知らないけど、感覚的に俺がそれを更新している様な気がするのは気のせいかな。
「何だ?このコームーがただで飲める幸せを実感できないなんて事はないよなぁ?」
まずくて、眉間に寄ったしわが取れないんだよ。完全に無理してる俺の表情を読み取れって。
「お…おいしい…です」
街に案内してもらうためだから、無理をして思いとは逆の事を言う。これが社会の辛さってやつか。グフッ…。
あ。
あれ…?
体が…。
言う事を聞かない?
力が、思う様に入らない…?
ああ。
膝ついちゃったよ。
「あれ、俺どうしちゃったんだろう?」
コームーオヤジが、俺に声をかけている。
「…ああ、多分。疲れているだけ…かな」
「…炎真大将グレンベール達の作り出したゲルロブライザー装置にはエネルギーが必要なわけだが、そのエネルギーは別の大陸にあるセプレピの実が源になっていたんだよ。その実は、グレンベールの失踪、そして他の大陸への交通手段が止められてしまって、入手方法がなくなっちまった。実が底を尽きそうで、途方に暮れていたわけだ…」
何だこいつ、急に語りだしたぞ。俺の体の自由がきかなくなってきてるのに。
「そんな時、《冬枯れの牙》のラグリェって奴が、いい事を教えてくれたんだ。ゲルロブライザー装置のエネルギー源は、セプレピの実だけじゃないって」
くそっ…!嫌な予感がする。
コームーオヤジの固い表情が緩んで、ニヤリと笑った。
「住人の体からも取れるんだってよ」
「お前…仲間を…?」
「いや?大陸浮遊術を使ってこの大陸を安定させたとは言い難い劣等種族、ソライン族のみなさんに、役立ってもらったんだよ」
「!?」
「そのソライン族も底を尽きそうだから、たまに無警戒でこの街にやって来る奴らに、この痺れ薬入りのコームーを振舞ってやってるんだよ。お前には、この大陸の将来のため、役立ってもらうぜぇ?」
お前だって、他人の足元をすくう事しか、考えていないんだな。少しでも、このオヤジをいい奴なんて思った自分が恥ずかしい。この世界の奴らなんて、こんなもんなんだよ。
勝手にいい様に考えているだけなんだよな、俺って。
片眼鏡の男だって、何か企んでいたのかも知れないし。
勝手に信じてしまった、俺が悪いか?
あの人もそうかな…。
オフジエって、おばあちゃんも。
…
くそっ!
無理すれば、何とか立てる…!剣は手放していない。痺れ薬なら、時間が経てば、隙みてまた逃げる事もできる…はず。
「やっぱり、少し効きが悪いな。前にお前に似た様な奴がいたけどよ。やっぱり同じ様に効きが悪いんだよ。何処の大陸の奴だ、お前?」
コームーオヤジの目が獣みたいに尖り出したな。顔が少し変形し始めた様な。口が横に裂け出して、歯が伸びてきた。
召喚獣に、なるつもりか?
この世界を消滅させるほどの力を持つ、召喚獣。
俺、もしかして。
俺。
ここで死ぬのか?
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