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第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生

その30

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クソババアが、俺が苦しくて四つん這いになっている姿を楽しんで、奇妙な笑い声を出している。

「…キキキ。この場で丸焼きにしようかねぇ?いや、もったいないよ。少しずつ、焼いて食べればいい。そうしよ、そうしよ」

こいつ、人の皮を被った化け物としか思えない。終わってるな。

…この、ままじゃ。



「!?」



右手に炎が…!

痛ッ!!

右手の赤い炎は燃え盛る。火傷の痛みは増すばかり。だけど、俺はこれを歓迎していた。

この現象は、お話しライオンとの戦いの時にもあった。その後、俺がどういう力を得たか。あれがなければ、俺は生きてはいなかった。

ほら、一点の青い炎が赤い炎の上に何かを描く。やっぱり、同じだ。

でも、俺の意識が、薄れていく。

もう、四つん這いでも、体を支えているのがきつい。

頭がぼーっとして、体が震えてくる。

「キキキ!死ね、死ね、死ね!キキキ!キキキ!!」

この、クソババア。俺の頭を足の裏で蹴ってくる。

もう…間に合わない。

ダメ、か。

俺の手に燃える赤い炎と青い炎が混ざり合い、紫の炎に変わる。ここまできている…!

ここまでくると、火傷の痛みはなくなるんだ。

後、少し。

目が霞む…

後少しで、またあの超人的な力が。

もう、少し…なのに。

何か、あのクソババアが俺に向かって言っているけど。

もう、何もわからない。

ああ、目の前が真っ暗になった。



はは…

もう、終わりか。



呆気ない。



俺の、人生。











「くはーっ!はぁーっ…」





息が、吸える!

あぶねー、一瞬気絶しただろ?俺。

でも、まだ息が整わねー。疲労感がすごいな。ここから逃げ出すとか、そんな体の状態には、なってない。何とか、片膝つけて上半身を起こした。ここから立ち上がるまでは、まだまだ。



また、あの時と同じだ。

俺の中に、何かがいる気がする。

もう、霧蔵はいない。

誰だ?

お前は。



「え?」



いや、そんなはずはない。何かの間違いだ。この現象も、まだよくわかっていないからな。落ち着け、落ち着くんだ。



でも、助かった…



「お、お前さん、何で…無事なんだい!嘘だろう?…まだ生きているなんて」

クソババア、目ん玉がこぼれ落ちそうなほど見開いているな。

「…お婆ちゃんよ、とてもおいしい塩おにぎりありがと。特に、毒のスパイスが効いていて、感動したよ。世話になった人には、恩返ししろって、うちの家訓があってさ…」

はーっ。まだ息苦しいが、話せる様にはなってきたぞ。

「ま、待って!どうなってるの!?私ゃ、そんな酷い事はしてないよ!だって…生きてるじゃないか。死なせる事は考えてない。ただ、よそ者に、私の街を荒らされたくなかったから、脅しただけなんだよ。どうか、落ち着いておくれ」

このクソババアは、焦りながら、俺に近寄らせない様に掌を前に張り出し、そう言った。

ただの脅し?

だから、俺は今、呼吸ができている?



違うな。

自分の胸と首元、頭に自分の指先を強く押し込んだ感覚がある。

気絶する寸前に自分のツボを突いて、呼吸を取り戻したんだ。

このクソババアが、呼吸困難状態を調整して、脅しで使う程度の苦しみを俺に与えた、じゃない事は、はっきりしている。

また、あの現象の力のおかげで、助かったんだ。


このクソババアも、やっぱり召喚獣になったりするのかな。



自分達は、お互いに仲良くならない、すぐに裏切ったり、ケンカしたりするって、シュティールが言ってたかな。



俺がこの世界の住人じゃないから、完全に舐めてかかられるけど、主導権を奪われると、態度を変えるのは、何処の世界も同じだな。



召喚獣になると、この世界が壊れるのか?だって、もう5回も消滅してるんだろう?

召喚獣にならないと、俺なんか地球に住む人達と、力に大差ないって事なのか?



わからないけど、1発殴りたいな。



ダメか。いや、許されるだろう。



このまま許すのは、しゃくだからな。



あ、このクソババア!逃げる気か!?

クソババアは奇声を発して俺を牽制しながら、遠回りで背後に回ろうとする。何かを目指している様にも見える。



クソババアが目指す先、俺の5メートルほど後ろに、奴はいた。



クソババアはそいつの側に駆け寄り、助けてと声をかけた。



最悪最低の殺人鬼君、やっぱりお前は悪魔だったな。



少しでも、お前の事、信じていた部分があるかも知れないと思った、自分を恥じるよ。



シュティール。
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