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第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生
その9
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「獣だよ、獣。うちの世界にもいる、猫ちゃんとは、違うのだよ」
この同い年位の金髪男はそう言って、目を細めて、笑った。
異世界だから、嘘か本当かわからないところだが、先程見せた獣の様な鋭い目を見せられると、警戒するな。正直、信じてしまう。しかし、氷河期を作り出したのは、本当だろうか。
「ああ、そうそう。君達の氷河期の歴史を作ったのは、正確に言うと、僕の先祖の召喚獣、という事になるかな。僕みたいなものだけど、僕じゃない」
そう、この男は言う。召喚獣は、お前もだろうけど、氷河期の件については、断言する。絶対に、お前じゃない!みたいなものって、明らかに違うだろう。
「召喚獣って、あまり馴染みがないんだけど。多分、今、地球に住むほとんどの人が見た事ないよ」
俺は、戸惑いながらも、事実を言った。
「戦場に出たかどうかで言えば、君の世界では、確かに少なくはなったけれど、君達の爆弾とか言われるものには、僕らの力が仕込まれているじゃないか。あれは、君らに呼ばれて、殻の中に僕らの力を込めてあるのさ。その対価は求めるけれどね」
この金髪君はそう言って、俺の肩を軽く叩いた。
「対価は、君の命…」
えー!!何、この展開!散々自分の凄さを語っておいて、この場を去る事しか考えなくなってきた俺の命を取るのか!?なぜ、そうなるんだ!?あ、さっきの事、まだ怒っているのか?お前、からかうだけみたいな感じだったけど、徐々に怒りがこみ上げてきたんだろう!大人気ないな、ここは同年代同士、仲良くやろうじゃないか!?
「ははは、面白い反応をするね」
面白がって、お腹を抑えて笑っているこの金髪君。何がそんなに面白い!?
「嘘だよ。爆弾の中に僕らの力を込めた対価は、生命エネルギーというのは、嘘じゃないけれど、ただ人の生命エネルギーじゃない」
「じゃあその生命エネルギーは、猫?犬?虫?あ、微生物?」
「犬猫は違うよ。虫は、君だし、微生物は…そう、微生物も君だ!」
こいつは、そう言って、全く悪びれた素振りを見せない。完璧だ。完璧な、悪だ。そもそも回答として、前半は合っているが、後半部分は間違っている。虫や微生物は、人でいうと誰に当てはまりますか?とか聞いていないし。そういう風に聞いた上でも、俺だと回答するんだろうが、ただ、俺はそんな質問をする訳がない。
「対価は、地球の自然が持つ、生命エネルギーだよ。僕らの力が向上する元にもなる。君らの世界も、かなり自然の環境が失われつつあるみたいだけれど、欲の強い人間は、あまり気にはしないか」
そう言って、薄ら笑いを見せ、見下すこの金髪君。確かに、強欲は多いな。それは、認めるよ。俺も、実は、1つ欲しいものがあるんだけど、あー、でも、ここには売っていないから、別にいいか。
「ゲーミングPCというものが、欲しいんだけど」
取り敢えず、彼に言ってみた。
「ゲイ、イングPC…?」
聞いた事なさそうに、この金髪君は答えた。まあ、仕方がないか。地球に住んでいた頃には、うちに家庭用ゲーム機というものが存在しなかったため、他人の家でやらせてもらったかな。そのうち、スマホを持つようになり、その中でゲームをやっていたが、スマホは家庭用ゲーム機やPCと比べて性能が低く、多くの事ができる訳じゃない。授業でも使うPCは家族共用だし、個人のPCとゲーム機が合体した様なものが欲しかったんだ。
「ゲイ、なの?」
は?この金髪君は、そう言った。この金髪君、色々と言葉を短縮しているみたいだけど、短縮した結果、ゲーミングPCが欲しい、という言葉が、(僕は)ゲイ。という言葉に変換されたのか。まあ、ゲイが欲しいの?とか聞かれなかっただけでも、ましか。
「ねぇ、ゲイなのかい?」
しつこいな、こいつ。この世界にも、ゲイって言葉があるのか?
「ゲイ・シドルアームのジュース愛好会"ゲイ"のメンバーなのか、と聞いているんだけど」
え?ゲイ・シドルアーム??のジュース…。
「虫ケラ君、僕が金持ちそうに見えたのかい?実際に、そうかも知れないけど。会ったばかりの人に、買って、買って、って言い回っているのかい?心底、君って男は、クズだね」
金髪君は、俺の顔を指差して、少し語義を強めて言う。完全に、ごめんなさい。その通りです。はい。ただ、ゲイ・シドルアームのジュース愛好会の話から、急に話の本筋に戻り、話が噛み合ったので、びっくりしちゃいました。
「冗談だよ。本当、悪かった。じゃあ、俺、行くわ」
そう言って、去ろうとする俺。もうこいつとの会話はいいだろう。ああ、大剣重てー。動くのも、しんどいな。
「待ってよ。この世界にど素人が、どう面白おかしく死んでいくのか、気になるじゃないか。一体、この世界に、何をしに来ているんだい?」
この金髪君は、屈託のない笑みでそう言う。こいつ、殺したい。わざとやっているんだろうな、きっと。
「ギルロって、王様を探してんだよ」
何か知っていないかな、と思って、そう言ってみた。この世界では、コミュニケーションが中々取れないかも知れない、ある程度、会話が生まれた場合は、聞きやすいから、聞いた方がいいな。
この金髪君、また獣の様な鋭い目を見せる。興奮状態の時は、基本、この目なの?恐いな。何で、そんな目をするんだ。
「ギルロの事を、王様とか、言っちゃうんだ?君って、本当に変わっているね!?」
この金髪君の、爪が蒼白く変色し、伸びていく。
え?怒って、いる…?
この同い年位の金髪男はそう言って、目を細めて、笑った。
異世界だから、嘘か本当かわからないところだが、先程見せた獣の様な鋭い目を見せられると、警戒するな。正直、信じてしまう。しかし、氷河期を作り出したのは、本当だろうか。
「ああ、そうそう。君達の氷河期の歴史を作ったのは、正確に言うと、僕の先祖の召喚獣、という事になるかな。僕みたいなものだけど、僕じゃない」
そう、この男は言う。召喚獣は、お前もだろうけど、氷河期の件については、断言する。絶対に、お前じゃない!みたいなものって、明らかに違うだろう。
「召喚獣って、あまり馴染みがないんだけど。多分、今、地球に住むほとんどの人が見た事ないよ」
俺は、戸惑いながらも、事実を言った。
「戦場に出たかどうかで言えば、君の世界では、確かに少なくはなったけれど、君達の爆弾とか言われるものには、僕らの力が仕込まれているじゃないか。あれは、君らに呼ばれて、殻の中に僕らの力を込めてあるのさ。その対価は求めるけれどね」
この金髪君はそう言って、俺の肩を軽く叩いた。
「対価は、君の命…」
えー!!何、この展開!散々自分の凄さを語っておいて、この場を去る事しか考えなくなってきた俺の命を取るのか!?なぜ、そうなるんだ!?あ、さっきの事、まだ怒っているのか?お前、からかうだけみたいな感じだったけど、徐々に怒りがこみ上げてきたんだろう!大人気ないな、ここは同年代同士、仲良くやろうじゃないか!?
「ははは、面白い反応をするね」
面白がって、お腹を抑えて笑っているこの金髪君。何がそんなに面白い!?
「嘘だよ。爆弾の中に僕らの力を込めた対価は、生命エネルギーというのは、嘘じゃないけれど、ただ人の生命エネルギーじゃない」
「じゃあその生命エネルギーは、猫?犬?虫?あ、微生物?」
「犬猫は違うよ。虫は、君だし、微生物は…そう、微生物も君だ!」
こいつは、そう言って、全く悪びれた素振りを見せない。完璧だ。完璧な、悪だ。そもそも回答として、前半は合っているが、後半部分は間違っている。虫や微生物は、人でいうと誰に当てはまりますか?とか聞いていないし。そういう風に聞いた上でも、俺だと回答するんだろうが、ただ、俺はそんな質問をする訳がない。
「対価は、地球の自然が持つ、生命エネルギーだよ。僕らの力が向上する元にもなる。君らの世界も、かなり自然の環境が失われつつあるみたいだけれど、欲の強い人間は、あまり気にはしないか」
そう言って、薄ら笑いを見せ、見下すこの金髪君。確かに、強欲は多いな。それは、認めるよ。俺も、実は、1つ欲しいものがあるんだけど、あー、でも、ここには売っていないから、別にいいか。
「ゲーミングPCというものが、欲しいんだけど」
取り敢えず、彼に言ってみた。
「ゲイ、イングPC…?」
聞いた事なさそうに、この金髪君は答えた。まあ、仕方がないか。地球に住んでいた頃には、うちに家庭用ゲーム機というものが存在しなかったため、他人の家でやらせてもらったかな。そのうち、スマホを持つようになり、その中でゲームをやっていたが、スマホは家庭用ゲーム機やPCと比べて性能が低く、多くの事ができる訳じゃない。授業でも使うPCは家族共用だし、個人のPCとゲーム機が合体した様なものが欲しかったんだ。
「ゲイ、なの?」
は?この金髪君は、そう言った。この金髪君、色々と言葉を短縮しているみたいだけど、短縮した結果、ゲーミングPCが欲しい、という言葉が、(僕は)ゲイ。という言葉に変換されたのか。まあ、ゲイが欲しいの?とか聞かれなかっただけでも、ましか。
「ねぇ、ゲイなのかい?」
しつこいな、こいつ。この世界にも、ゲイって言葉があるのか?
「ゲイ・シドルアームのジュース愛好会"ゲイ"のメンバーなのか、と聞いているんだけど」
え?ゲイ・シドルアーム??のジュース…。
「虫ケラ君、僕が金持ちそうに見えたのかい?実際に、そうかも知れないけど。会ったばかりの人に、買って、買って、って言い回っているのかい?心底、君って男は、クズだね」
金髪君は、俺の顔を指差して、少し語義を強めて言う。完全に、ごめんなさい。その通りです。はい。ただ、ゲイ・シドルアームのジュース愛好会の話から、急に話の本筋に戻り、話が噛み合ったので、びっくりしちゃいました。
「冗談だよ。本当、悪かった。じゃあ、俺、行くわ」
そう言って、去ろうとする俺。もうこいつとの会話はいいだろう。ああ、大剣重てー。動くのも、しんどいな。
「待ってよ。この世界にど素人が、どう面白おかしく死んでいくのか、気になるじゃないか。一体、この世界に、何をしに来ているんだい?」
この金髪君は、屈託のない笑みでそう言う。こいつ、殺したい。わざとやっているんだろうな、きっと。
「ギルロって、王様を探してんだよ」
何か知っていないかな、と思って、そう言ってみた。この世界では、コミュニケーションが中々取れないかも知れない、ある程度、会話が生まれた場合は、聞きやすいから、聞いた方がいいな。
この金髪君、また獣の様な鋭い目を見せる。興奮状態の時は、基本、この目なの?恐いな。何で、そんな目をするんだ。
「ギルロの事を、王様とか、言っちゃうんだ?君って、本当に変わっているね!?」
この金髪君の、爪が蒼白く変色し、伸びていく。
え?怒って、いる…?
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