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第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生

その6

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しもべが言うには、ギルロという王様は、何者かに、魂と体を割かれてしまったらしい。

まずは、俺がその体を見つけ出し、そこに俺の祈りでそのギルロの魂を体に戻す、という事らしい。

その体と魂は、何処にあるか、見当もつかない、と。

笑うしかないな、これは。

何なんだよ、見当もつかないとか。

こういう話を聞いて、どうやって、探すものか、教えてもらいたいね。

一軒一軒、家の戸をノックして、あのすいません、ギルロという王様の、体と魂って、ここに置いてありませんか、と聞いて回るべきか?

それとも、人の近寄らない山なんかの場所に行って、シャベルで掘って探すか?

金持ち連中が保管していたら、どうする?俺みたいなガキは、相手にしないだろう。

時間がいくらあっても、足りる気がしない。

もし、俺の考えがこの世界に当てはまらないのなら、俺に探させるのは、止めた方がいい。

第一、この異世界とやらでは、俺は初心者だ。俺にできそうな捜索なんて、普通の高校生が少し考えて思いつきそうな事ぐらいしかできない。

この異世界に慣れた、頭の良い奴に任せた方が、見つかる確率は高いだろう。

「そのギルロって王様を探すのは、そっちの方でやってもらえないの?」

しもべは、俺の話を嫌な顔をして、聞いている。

こいつ、一切いっさい、手を貸さないつもりか。

「この世界だと、体と魂が離れたとか、呼吸するくらい普通の出来事なのかも知れないけど、俺の世界だと、普通じゃないんだよ!俺には、無理だ」

「ギルロ様の僕は、郁人いくとの話を嫌な顔をして、聞いている」

おいおい、そこは口で言うところじゃないだろう。

ところでよく知っていたな、俺の名前。まあ、知っているか。転生しても、名前そのままでいいんだ?まあ、この際、どうでもいいか。

「何で、この世界に慣れていない俺が、体と魂を探せとか、超難関な試練を与えられないといけないんだよ!」

「うん、慣れろ!」

うん、慣れろじゃないんだよ、バカ。俺に慣れさせるより、すでにこの世界に慣れている、ここの住人に探させた方がマシだって言いたいんだよ。

「ところで、そのギルロって王様は、何処で、体と魂が割かれたの?」

埒が明かないから、少し探してみて、無理だという事をわかってもらうか。

「何処かの建物の中らしい」

しもべが、そう言った。あーあ、又聞きだよ。その話に信憑性があるのか、確認したのか?もし、体と魂が割かれていないで、何処かの女と駆け落ちでもして遠い国に行っただけだったら、どうするんだよ。

「その目撃者に、どんな感じの人がギルロって王様の体と魂を割いていたか、聞いてないの?」

俺は、呆れながら、聞いてみた。

「そこは、聞いていない」

そう、真顔で答える、しもべ。

驚きの、探究心ゼロです。

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