人形と少年騎士と

sayure

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悪魔王の章

piece final

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青白い光は、

僕とお人形を包み込んだ。

1つに合わさって…

足元から記憶が体全体に広がっていく様だ。

青年の肉体に戻っていき、それに合わせる様に、白銀の鎧も大きく、正しい輝きを見せる。

手にある剣は、細身剣から青竜フィンネスへと変わった。

バタルドンは、呆然と私に目を向けていたが、私を思い出したのか、目を見張り、咆哮する。

さらばだ。

私は、青竜フィンネスの切っ先をバタルドンの頭の下から上に突き上げ、一気に頭を貫通させた。

頭上から、黒い血が流れ落ち、視点が合わず、体を震わせていた。

私は剣をバタルドンの頭から引き抜き、剣に魔力を溜め込んだ。

雷を帯びた刃で、バタルドンの左足を膝から切り落とし、バランスを崩した巨体の胸に一瞬で、十字斬りを食らわせ、炎を帯びた刃で、心臓を突き刺し、烈火に染めた。

超高熱に晒された心臓は破裂し、バタルドンは、崩れ落ち、絶命した。

マイハークは、息を上がらせながら、私に目を輝かせてみせた。

「バイカルよ。こやつを、覚えておるか?聖術騎士は、まだ、ここにおるぞ!!」

バイカルは、殺気立った目を私から、動かさない。

「皇龍と呼ばれたシルフェルド、2度も偶然を期待するなよ…!」

恨みを持っている様で、バイカルは私を警戒しながらも、ジリジリと間を狭めていく。

恨みを持っているのは、こちらも同じだ。

オリエンダの街で、窮地の中ではあったが、バイカルを封印したのは、私だ。

私は、青竜フィンネスを地に突き刺し、呪文を詠唱した。

バイカルは、これを隙と見て、一気に剣を掲げて、間合いを詰めてきた。

「demono LomeD  azoneS  baRmiLtus…
sEenAgle…」

食らえ!

これが、魔物共を一掃した古代魔法…

「Alz''oApf.GEOIolp'g」アーズ  オブ  ゲイオルグ

眩い光の細かい粒子が四方八方に飛散し、空間という空間を光で埋め尽くした。あらゆる者の視界を瞬間的に奪い、人、建物、全てを目視できない。耳を切り裂く様な金属音を響かせ、それはしばらく続く。

朝に戸を開け、眩しい陽の光を浴び、一瞬光を避けるが、じきに慣れ、1日が始まる。

魔物ではない者ならば、それと同じ事。

魔物ならば、光の粒子が全て最上級の光魔法として攻撃を受ける事になる。その攻撃は数千回相当に及び、一瞬で存在が破綻し、死した事すらも、感じないだろう。

貧民街の、魔物は消え失せた。

ただ、目の前にいるバイカルは、別だ。

彼は、魔物か?

違う。

彼は、私がここに来る前に、庭園で私に知らせてくれた。

我ら志し、共に。

私達聖術騎士が戦局で窮した時に、バイカルが、鎧に刻んだ言葉だ。

バイカル…、貴方は。

魔王シュリンガーとの戦いで、すでに命を落としていたのですね。

体を乗っ取られていた。

バイカルは、もうこの世にいない。

いるのは、魔王シュリンガーだ。

この魔王は、不死身か?

否。

先程の私の究極魔法は、魔王に大きな傷を負わせている。

私の前に、マイハークや聖術騎士シュツハイドの攻撃を受けているのだ、余裕はないはず。

ただ、その殺気立った目を変えず、私の前にいる…

見事だ、シュリンガー。

私は、手に光の剣、聖剣アイアーガを召喚した。

「…散れ」

光の斬撃により、バイカルの体と共に、シュリンガーは、塵になり、消えていった。

マイハークは、私の方を見て、不思議そうに言った。

「バイカルは…やった、か?」

「バイカルは、あの世に旅立ちましたよ。ようやく…」

「…?」

チェダー、

君とはいい競争相手になれそうだよ。

生きてくれ。

そして、私も同じ様に。

私という存在を、問いてみたい。

きっと、答えはすぐには、出ないだろうが。





メーヘンハイユ王国は、

キヴァリエ詠世魔法騎士団を再結成。

聖術騎士にシルフェルド、シュツハイドが復帰。

近隣国への対魔物増援部隊を派遣。

大陸の魔物一掃作戦である、

データ・オルト作戦発令。



私の戦いは、再び動き出す。
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