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悪魔王の章
piece28 あの時の記憶
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「貴方が、俺の元へ来ると言うのならば、良しとしよう。拒めば、死が訪れる」
「バ…バイカル!!」
バイカルと呼ばれた男と、マイハークは、睨み合っていた。
バタルドンだろう巨体は、ゆっくりと近くに置いてあるお人形を持ち上げた。
少し、反応した?
お人形じゃない…
心が空になって、動きを止めている、僕より少しだけ年下くらいの男の子だ。
「貴方のせいだが、この子は、死んでしまう…」
「や、止めるんじゃ!」
人質…
このやり取りは、
…僕は!
なにか見た事がある。
はぁはぁ…
呼吸が、うまくデキナイ…。
その子の事、だろう、名前が遠くから呼ばれた。
「チェダー!!」
板張りの家から、もう1人の男の子が、叫んでいた。
チェダー?
どこかで、聞いた名前…
…
なんで、記憶がはっきりしないんだ。
君は、
キミは…
…
アノ、時ノ…
「止めろ!」
「止めろと言うのならば、お前が、この残りの家族の内、1人を殺せ。さすれば、この者共は、許そうか。この子と残された家族は、精神を犯され、生き地獄を味わうだろうが、世の中は弱肉強食。そのバタルドンがこの者共弱者を皆殺しにするのも、時間の問題だ」
「お前…は!」
「その若さで恐ろしき脅威よ。だが、聖術騎士は、キヴァリエの死で、その役目を終える事になる。ブラブス王国の滅亡は、今思えば必然。新たな幕は、このメーヘンハイユにて始まるのだ」
「バイカル!!」
「バタルドンが、殺したな。あいつは、純粋な魔物、情は皆無と覚えるがよい。だが、俺は違うぞ、我が同胞よ」
「くっ…、バイ…カル」
「俺の拘束魔法を、解き破るつもりか!足掻くか?お前は、純粋な子供の心を闇に染めるのが、好きな男だな…」
「バ…イカル!わかった…!剣を、剣を、捨てる!!」
「良し、よく捨てた。だが、何事も即断できぬのでは、戦局を見誤るという事だ。バタルドン、見せてあげてくれ、この、………に」
「フフ、この子供だけは、生かしてやろう。敵前にして、剣を捨てる潔さ、中々良いものを見せてもらったぞ。この子供の無に帰す表情もまた、おもしろい芸事よ」
「…バイカル」
「…何?貴様…、今、引導をくれてやるゾォォ!!」
こ、この記憶は。
…何にも変わらないんだね。
僕は、細身剣の刃に、光の魔力を集中させた。
急げ、急げ。
でも、魔力が十分集中しなければ、意味がない。
バタルドン…
その子に、触るんじゃない…!
もう、その子に、関わるな!!
「バ…バイカル!!」
バイカルと呼ばれた男と、マイハークは、睨み合っていた。
バタルドンだろう巨体は、ゆっくりと近くに置いてあるお人形を持ち上げた。
少し、反応した?
お人形じゃない…
心が空になって、動きを止めている、僕より少しだけ年下くらいの男の子だ。
「貴方のせいだが、この子は、死んでしまう…」
「や、止めるんじゃ!」
人質…
このやり取りは、
…僕は!
なにか見た事がある。
はぁはぁ…
呼吸が、うまくデキナイ…。
その子の事、だろう、名前が遠くから呼ばれた。
「チェダー!!」
板張りの家から、もう1人の男の子が、叫んでいた。
チェダー?
どこかで、聞いた名前…
…
なんで、記憶がはっきりしないんだ。
君は、
キミは…
…
アノ、時ノ…
「止めろ!」
「止めろと言うのならば、お前が、この残りの家族の内、1人を殺せ。さすれば、この者共は、許そうか。この子と残された家族は、精神を犯され、生き地獄を味わうだろうが、世の中は弱肉強食。そのバタルドンがこの者共弱者を皆殺しにするのも、時間の問題だ」
「お前…は!」
「その若さで恐ろしき脅威よ。だが、聖術騎士は、キヴァリエの死で、その役目を終える事になる。ブラブス王国の滅亡は、今思えば必然。新たな幕は、このメーヘンハイユにて始まるのだ」
「バイカル!!」
「バタルドンが、殺したな。あいつは、純粋な魔物、情は皆無と覚えるがよい。だが、俺は違うぞ、我が同胞よ」
「くっ…、バイ…カル」
「俺の拘束魔法を、解き破るつもりか!足掻くか?お前は、純粋な子供の心を闇に染めるのが、好きな男だな…」
「バ…イカル!わかった…!剣を、剣を、捨てる!!」
「良し、よく捨てた。だが、何事も即断できぬのでは、戦局を見誤るという事だ。バタルドン、見せてあげてくれ、この、………に」
「フフ、この子供だけは、生かしてやろう。敵前にして、剣を捨てる潔さ、中々良いものを見せてもらったぞ。この子供の無に帰す表情もまた、おもしろい芸事よ」
「…バイカル」
「…何?貴様…、今、引導をくれてやるゾォォ!!」
こ、この記憶は。
…何にも変わらないんだね。
僕は、細身剣の刃に、光の魔力を集中させた。
急げ、急げ。
でも、魔力が十分集中しなければ、意味がない。
バタルドン…
その子に、触るんじゃない…!
もう、その子に、関わるな!!
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