17 / 31
悪魔王の章
piece17 運命
しおりを挟む「ねえ龍ちゃん。
勉強や技術を教えてくれている流民は、ここにいる人だけなの?」
「そんな事はないよ。
大陸中を探したら、百万人くらいいるかな?
いや、五百万人くらいかな?
よく知らないけど」
「みんな生活に困っていないの?
飢えたりしていないの?」
「どうかなぁ。
流民の事はよく知らないんだよね」
神龍の嘘だった。
そもそもこの国の人間の事も知らないのだ。
人間自体に、まったく興味がないのだ。
この国の守護龍となっていたのも、魔獣や魔族と戦いのが楽しかったのと、移動するのが面倒だったからだ。
「じゃあ流民を助けるのは無理なのかな?
龍ちゃんでも居場所が分からないのなら、困っている流民の人達に、この国に来てくれと言うのは無理なのかな?」
「無理じゃないよ。
僕にできない事はないからね。
使い魔や神龍鱗兵を使って、流民を集めるなんて簡単な事だよ」
神龍は強がって嘘をついてしまった。
多くの流民のなかから、一万人に激減した民の教師を探すことはできた。
自分の神力の及ぶ範囲にいる流民を連れてくる程度なら簡単だった。
だが、大陸中にいる流民全てを集めるとなると、神龍でも難しかった。
しかし、シャロンにできないという事は、神龍にはできなかった。
だから、また、戦いの女神セクメトに頭を下げることになった。
屈辱だったが、人間の事はセクメトに聞くしかなかった。
他の神に知り合いはいないし、明らかに自分よりも弱い神達に頭を下げるなんて、絶対に嫌だった。
どうしても頭を下げなければいけないのなら、自分が認める好敵手にしたかった。
それが女神セクメトだった。
「シャロン。
シャロンが女王として布告を出せばいいんだよ。
全ての流民を国民として迎え、国民として権利を与えると布告すればいいんだよ。
そうすれば、厳しい生活をしている流民は集まってくるし、他の地で豊かに生活している流民はその地に残るよ」
「そうなの?
私が女王として布告したら、流民の人達は助かるの?
だったらやるわ。
私のできる事は何でもやるわ」
神龍は女神セクメトに教えられたことを全て話した。
その話は、シャロンに大きな決断をさせた。
自覚がどれほどあるかは分からなかったが、女王として生きていく気にさせた。
それがこの国のためには大きな福音だった。
だが同時に、民が女王シャロンに依存する可能性があった。
勉強や技術を教えてくれている流民は、ここにいる人だけなの?」
「そんな事はないよ。
大陸中を探したら、百万人くらいいるかな?
いや、五百万人くらいかな?
よく知らないけど」
「みんな生活に困っていないの?
飢えたりしていないの?」
「どうかなぁ。
流民の事はよく知らないんだよね」
神龍の嘘だった。
そもそもこの国の人間の事も知らないのだ。
人間自体に、まったく興味がないのだ。
この国の守護龍となっていたのも、魔獣や魔族と戦いのが楽しかったのと、移動するのが面倒だったからだ。
「じゃあ流民を助けるのは無理なのかな?
龍ちゃんでも居場所が分からないのなら、困っている流民の人達に、この国に来てくれと言うのは無理なのかな?」
「無理じゃないよ。
僕にできない事はないからね。
使い魔や神龍鱗兵を使って、流民を集めるなんて簡単な事だよ」
神龍は強がって嘘をついてしまった。
多くの流民のなかから、一万人に激減した民の教師を探すことはできた。
自分の神力の及ぶ範囲にいる流民を連れてくる程度なら簡単だった。
だが、大陸中にいる流民全てを集めるとなると、神龍でも難しかった。
しかし、シャロンにできないという事は、神龍にはできなかった。
だから、また、戦いの女神セクメトに頭を下げることになった。
屈辱だったが、人間の事はセクメトに聞くしかなかった。
他の神に知り合いはいないし、明らかに自分よりも弱い神達に頭を下げるなんて、絶対に嫌だった。
どうしても頭を下げなければいけないのなら、自分が認める好敵手にしたかった。
それが女神セクメトだった。
「シャロン。
シャロンが女王として布告を出せばいいんだよ。
全ての流民を国民として迎え、国民として権利を与えると布告すればいいんだよ。
そうすれば、厳しい生活をしている流民は集まってくるし、他の地で豊かに生活している流民はその地に残るよ」
「そうなの?
私が女王として布告したら、流民の人達は助かるの?
だったらやるわ。
私のできる事は何でもやるわ」
神龍は女神セクメトに教えられたことを全て話した。
その話は、シャロンに大きな決断をさせた。
自覚がどれほどあるかは分からなかったが、女王として生きていく気にさせた。
それがこの国のためには大きな福音だった。
だが同時に、民が女王シャロンに依存する可能性があった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

荷車尼僧の回顧録
石田空
大衆娯楽
戦国時代。
密偵と疑われて牢屋に閉じ込められた尼僧を気の毒に思った百合姫。
座敷牢に食事を持っていったら、尼僧に体を入れ替えられた挙句、尼僧になってしまった百合姫は処刑されてしまう。
しかし。
尼僧になった百合姫は何故か生きていた。
生きていることがばれたらまた処刑されてしまうかもしれないと逃げるしかなかった百合姫は、尼寺に辿り着き、僧に泣きつく。
「あなたはおそらく、八百比丘尼に体を奪われてしまったのでしょう。不死の体を持っていては、いずれ心も人からかけ離れていきます。人に戻るには人魚を探しなさい」
僧の連れてきてくれた人形職人に義体をつくってもらい、日頃は人形の姿で人らしく生き、有事の際には八百比丘尼の体で人助けをする。
旅の道連れを伴い、彼女は戦国時代を生きていく。
和風ファンタジー。
カクヨム、エブリスタにて先行掲載中です。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる