7 / 31
悪魔王の章
piece7 メルトリー王国2
しおりを挟む
時間に余裕がないので、ここの国王との挨拶をせず、サイクロプス退治に向かうという話になっていた。
僕達は、馬を乗り、サイクロプスの目撃情報のあるアルマイダ火山の麓に向かった。たどり着くと、馬を降りて、岩に馬の手綱を絡ませ、地面から空に向かって伸びるたくさんのとがった岩の間を歩いていった。
曇り空。
ここは王城から10キロメートル程離れた所にある。
師匠のマイハークは、髭の奥でゴニョゴニョ言っている。
わしの髭は、海藻類みたいで、面白くないか?
そう言っている様だった。
嘘です。
魔物を威嚇するための言葉を言っている。魔弁という、魔物にも分かる共通言語があるらしく、それを魔力に乗せて、この火山一帯に響かせている。
サイクロプスのバカ、とか。アホ、とか。そんな事を言っているんだ。
しかし、空に鈍く響いている、この音は何だろう。
サイクロプスとは、思えないな。
たくさんの聞きなれない音が重なり、遠くへ、近くへ響き渡る。
音と言うよりは、唸り声に違いのか。
風が岩にぶつかり、鳴り響いているのかと、そう思いもしたが、緩い風が頬を触る、その程度だ。
この辺りは、何か異様なものに包まれている。
そんな気がした。
マイハークが、僕の方を見て、準備を怠るなよ、と伝えた。
サイクロプスは、まだ見当たらない様だったけど、警戒を強めた方が良さそうだ。
しかし、サイクロプス相手に勝利を収めた、という本を読んだ事があるけど、その時は、確か数百人が束になって倒したとか、そんな事が書いてあった気がしたんだけど…
僕を入れて、2人。
大魔術士が2人でもないし。
少なくとも、僕は違うだろう。
焚き火をするための火しか起こせない。
…そんな訳ないか。
サイクロプスは一つ目だ。
そこを狙えば、勝機が見えるんだろうけど。
サイクロプスだけじゃない。
この異様な雰囲気は、他の魔物がいるんじゃないだろうか。
でも、中々見つからない。
魔物のトンネルの出入り口をすでに塞いであるのかも知れないな。この雰囲気は、出入り口近くで魔物が出れずにマゴマゴしているだけの状態に、僕が敏感に反応しているだけなのかも知れない。
サイクロプスも誰かに倒されていたりして。
!?
雲の合間に、巨大な目が見えた様な…
しかし、地面にサイクロプスの体らしきものは見当たらない。
マイハークが、魔法を切り替えた。攻撃的な呪文を詠み始めている。
魔物が、いる!!
僕は、お人形を脇に持ち替え、竜頭細身剣に魔力を集めた。
突然、強い風が吹きつける。
そして、少し離れた大きな岩が粉々に砕かれた。
「マイハーク!!」
攻撃しているものは、何だ。
マイハークは、無数の光の矢を、空へ向けて放った。
僕達は、馬を乗り、サイクロプスの目撃情報のあるアルマイダ火山の麓に向かった。たどり着くと、馬を降りて、岩に馬の手綱を絡ませ、地面から空に向かって伸びるたくさんのとがった岩の間を歩いていった。
曇り空。
ここは王城から10キロメートル程離れた所にある。
師匠のマイハークは、髭の奥でゴニョゴニョ言っている。
わしの髭は、海藻類みたいで、面白くないか?
そう言っている様だった。
嘘です。
魔物を威嚇するための言葉を言っている。魔弁という、魔物にも分かる共通言語があるらしく、それを魔力に乗せて、この火山一帯に響かせている。
サイクロプスのバカ、とか。アホ、とか。そんな事を言っているんだ。
しかし、空に鈍く響いている、この音は何だろう。
サイクロプスとは、思えないな。
たくさんの聞きなれない音が重なり、遠くへ、近くへ響き渡る。
音と言うよりは、唸り声に違いのか。
風が岩にぶつかり、鳴り響いているのかと、そう思いもしたが、緩い風が頬を触る、その程度だ。
この辺りは、何か異様なものに包まれている。
そんな気がした。
マイハークが、僕の方を見て、準備を怠るなよ、と伝えた。
サイクロプスは、まだ見当たらない様だったけど、警戒を強めた方が良さそうだ。
しかし、サイクロプス相手に勝利を収めた、という本を読んだ事があるけど、その時は、確か数百人が束になって倒したとか、そんな事が書いてあった気がしたんだけど…
僕を入れて、2人。
大魔術士が2人でもないし。
少なくとも、僕は違うだろう。
焚き火をするための火しか起こせない。
…そんな訳ないか。
サイクロプスは一つ目だ。
そこを狙えば、勝機が見えるんだろうけど。
サイクロプスだけじゃない。
この異様な雰囲気は、他の魔物がいるんじゃないだろうか。
でも、中々見つからない。
魔物のトンネルの出入り口をすでに塞いであるのかも知れないな。この雰囲気は、出入り口近くで魔物が出れずにマゴマゴしているだけの状態に、僕が敏感に反応しているだけなのかも知れない。
サイクロプスも誰かに倒されていたりして。
!?
雲の合間に、巨大な目が見えた様な…
しかし、地面にサイクロプスの体らしきものは見当たらない。
マイハークが、魔法を切り替えた。攻撃的な呪文を詠み始めている。
魔物が、いる!!
僕は、お人形を脇に持ち替え、竜頭細身剣に魔力を集めた。
突然、強い風が吹きつける。
そして、少し離れた大きな岩が粉々に砕かれた。
「マイハーク!!」
攻撃しているものは、何だ。
マイハークは、無数の光の矢を、空へ向けて放った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

荷車尼僧の回顧録
石田空
大衆娯楽
戦国時代。
密偵と疑われて牢屋に閉じ込められた尼僧を気の毒に思った百合姫。
座敷牢に食事を持っていったら、尼僧に体を入れ替えられた挙句、尼僧になってしまった百合姫は処刑されてしまう。
しかし。
尼僧になった百合姫は何故か生きていた。
生きていることがばれたらまた処刑されてしまうかもしれないと逃げるしかなかった百合姫は、尼寺に辿り着き、僧に泣きつく。
「あなたはおそらく、八百比丘尼に体を奪われてしまったのでしょう。不死の体を持っていては、いずれ心も人からかけ離れていきます。人に戻るには人魚を探しなさい」
僧の連れてきてくれた人形職人に義体をつくってもらい、日頃は人形の姿で人らしく生き、有事の際には八百比丘尼の体で人助けをする。
旅の道連れを伴い、彼女は戦国時代を生きていく。
和風ファンタジー。
カクヨム、エブリスタにて先行掲載中です。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる