人形と少年騎士と

悪魔王の章

piece4 ハルゲインとのお話

髪の毛が少し乱れてきたかな。

髪を梳いてあげようね。

立派な鎧は、より輝く様に、布で綺麗に磨いてあげようね。

大丈夫、恥ずかしくないよ。

君の剣は、青竜フィンネス。どんな相手でも斬り裂く無敵の剣さ。

さぁ、戦うぞ。

魔物供を斬って、斬って…

やぁ、ハルゲイン。

僕の目の前に、同い年位の兵が立っている。

カリネン広場の横長に伸びる岩の上に、お人形と一緒に座っている僕。

目を丸くし、僕を見つめるハルゲイン。

目ん玉が、落ちそうだけど、大丈夫かな。

「楽しいのか、それ」

今流行りだよ。もちろん、楽しいさ。絶好調だよ！

「癒される…のかもね」

「へー…」

癒される…のかな。

心が惹きつけられるよ。気になってしょうがない、そんな存在さ。

「その人形、何て名前なんだ？」

ハルゲインの質問に、得意げに答えた。

そう。

そうしようと、したんだけど。

その名前がうまく出てこない。

適当に言っておこうか。

ハルゲインって言うんだとか言ったら、彼は地の果てまで逃げるだろうか。

ようし。

面白そうだ。

よし！

止めよう。気持ち悪い…