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Oathの章
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随分と寒い町なんだな。標高は高いだろうな。特別息苦しさは感じないけど。
「はい、お兄ちゃん」
白い羊毛のコートを着て、金髪三つ編みのポニーテルにした8才くらいの女の子が、僕に温かい苦味の効いたブリカンディの飲み物をくれた。
僕がこれを飲めると思っている様だけど、これは結構苦くて飲めないんだぞ。君は飲んだ事がないから、わからないだろうけど。
僕も、君と大して年は変わらないのに。
確か、11才だった…様な気がする。
あれ?違ったのかな。
ゴクッ。
温かさからくる心の安らぎ、そこから急激に舌を突き刺す苦味が僕の心を苦しめる。
あまりの苦さに、手が震えてくる。しかし、僕はさもこのブリカンディを普段から飲み慣れてるかの様にすまし顔で、手の震えも寒さからくるものだと思わせる様に、
「何か、寒いね…」
そう言って、ごまかすのだった。
はっきり言って、カッコ悪いな、僕は。
しかし、この街は…もはや集落と言っていいほど、どうもパッとしないな。
荒く切った木材を使って、家っぽく囲んだ様な家ばっかりだ。はっきり言って、みすぼらしい。
だけど、教会だけは、装飾も建物の作り自体も、普通の街にあるものと同じ様にも見えるな。小さくはあるんだけど。
何か理由でもあるのかな。
いや、屋根の上に立ててある祈りのシンボルが金属製で重いから、土台をしっかりさせなきゃって事なのかも知れない。
どうでもいいけど、ここ、本当に寒いな。
あれ?何で僕、ここにいるんだろう?
覚えてないな…。
これが痴呆症ってヤツか?
「はい、お兄ちゃん」
白い羊毛のコートを着て、金髪三つ編みのポニーテルにした8才くらいの女の子が、僕に温かい苦味の効いたブリカンディの飲み物をくれた。
僕がこれを飲めると思っている様だけど、これは結構苦くて飲めないんだぞ。君は飲んだ事がないから、わからないだろうけど。
僕も、君と大して年は変わらないのに。
確か、11才だった…様な気がする。
あれ?違ったのかな。
ゴクッ。
温かさからくる心の安らぎ、そこから急激に舌を突き刺す苦味が僕の心を苦しめる。
あまりの苦さに、手が震えてくる。しかし、僕はさもこのブリカンディを普段から飲み慣れてるかの様にすまし顔で、手の震えも寒さからくるものだと思わせる様に、
「何か、寒いね…」
そう言って、ごまかすのだった。
はっきり言って、カッコ悪いな、僕は。
しかし、この街は…もはや集落と言っていいほど、どうもパッとしないな。
荒く切った木材を使って、家っぽく囲んだ様な家ばっかりだ。はっきり言って、みすぼらしい。
だけど、教会だけは、装飾も建物の作り自体も、普通の街にあるものと同じ様にも見えるな。小さくはあるんだけど。
何か理由でもあるのかな。
いや、屋根の上に立ててある祈りのシンボルが金属製で重いから、土台をしっかりさせなきゃって事なのかも知れない。
どうでもいいけど、ここ、本当に寒いな。
あれ?何で僕、ここにいるんだろう?
覚えてないな…。
これが痴呆症ってヤツか?
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