剣士アスカ・グリーンディの日記

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第1章 ドラゴンバスター

脅迫(for three days)

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街中で、数人が揉み合いになっていた。

警備兵2人と、20代位の年の男。

側に置かれている貴覇竜の石像の、角の部分が大きく欠けている。



これを見た時、

僕の心臓は大きく鼓動を打った。



警備兵の1人が吹き飛ばされたので。

立場上、見て見ぬ振りは、できそうもない。

僕は、その男に歩み寄り、大人しくさせようとしたけれど、



男は僕に気づき、突然に涙を流して、僕の足元にすがった。

そして、感謝された。

その後に、男が言った言葉は、

うまくいかない、と。

両親がいなくなってから、努力をしても、家を支えていけない、と。

幼い妹が2人、いるのに。



酒場業を両親に代わり、始めてみたが、うまくいかなくて、苛立ちから、あの石像を壊したらしい。



彼から感謝をされた事に、いぶかったが、でも、気づいたんだ。



その時、僕はどんな表情をしたんだろう。



わからない。



色々な感情が入り混じった様にも、感情が皆無になったという様にも感じる。

どうだっただろうか。



彼の両親は、ラリュナピュートが暴れた時に、巻き添えを食らった。



僕が、その、ラリュナピュートを、殺したから、



ドラゴンバスターだから、感謝されたんだ。


 
ジスエルの24日
               王城の見張り台にて
___________________

ウイプル王国の偵察兵が戻ってきた。

彼の話だと、

北のマッドク王国軍は、聖バハール王国軍の勢力に圧され、落城。マッドク王国の敗北となった。

今後、領土を大きく減らす事になりそうだという。

聖バハール王国は、次の矛先を明確にせず、自国へと戻っていったらしい。

マッドク国王は、その場で処刑された。

ドメイル教信仰国のオルフブ王国は、コーリオ王国とウイプル王国増援軍と戦っている。

聖バハール王国の"聖戦"は、

こちらに矛先を向けても、おかしくはない。

そう思ってはみても、

憶測に過ぎないけれど。


ジスエルの25日
               王城の見張り台にて
___________________

ダルレアス自治領へ、ウイプル王国との再統一を提案するため、リガード竜騎士団数人が向かう事になった。

対ドメイル教信仰国の策の一つが、これだ。

僕を連れて行くのは、どういう根拠だろうか。

ダルレアス自治領の竜の信仰は、本国にも勝るほどに根強いだろう。

国王は、和解するつもりなど、ないのかも知れない。



これは、脅迫だ。



ジスエルの26日
               王城の見張り台にて
___________________
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