剣士アスカ・グリーンディの日記

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第1章 ドラゴンバスター

動向(for three days)

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かつてのリガード竜騎士団だった老兵フリディエリが、病により、床に伏せていた。

もう、先がない。

僕と、副騎士長ハルガルドが、彼の住まいのハーディーン地区へ向かった。

大きく地面が陥没した跡がある。

僕は、知っている。

貴覇竜が暴れた時に、火の玉を吐いた。

そして、この場に落ちたんだ。

ラリュナピュートは、苦しんでいた。

それでも、フリディエリは、貴覇竜をウイプル王国の救世主だったと言った。

数々の戦いは、ラリュナピュートなしでは勝利を手にする事はなかった、と。

その中でも、小国ウイプルを攻め落とそうと、ハイヤイン王国軍が侵攻してきたフレデンスの戦いで、

数千の敵兵を倒したその姿は、今も忘れない、と。

ただ、小国ウイプルは、元々は小国でもなかった。

北西にある、かつてのウイプル王国だった、ダルレアス自治領が、今もウイプル王国と和解をしない、それが心残りらしい。

ウイプル王国軍は、昔に友好国のヘンデルソン王国に侵攻して、幸福の象徴である巨大な鷲オーバーシルゾを殺した。

それが、彼らは許せない、と。

そしてそれを忌み嫌うザシンを長として、ダルレアス地域をダルレアス自治領として独立した。

あちらにも、ツォルバ竜騎士団という精鋭部隊がいる。



フリディエリは、ハルガルドからウイプル王国の動きを聞き、力なく笑った。

竜は、本当に死んだのだろうか、と。

ハルガルドが、小さく頷いた。

フリディエリは、悲しそうに天井に目をやっていた。

貴方には、ラリュナピュートが、怒り狂っていたのではなく、苦しんでいたのだと、

わかっていた?

フリディエリ…さん。



彼は、夜に、あの世へ旅立った。



ジスエルの21日
               王城の見張り台にて

___________________

同い年のビエルカ。

僕の顔を見て、気まずそうにしていた。

別に、慣れているさ。

イージブの酒場へ行くのか?

行けばいい。

僕は、そこへは行かないから。

最近は、他国の動向で、家にも帰っていないし、ずっと帰らなくてもいい。

居場所は、戦場。

コーリオ王国への援軍に、僕も加えてくれれば、良かったのに。



去ろうとした僕に声をかけて、

父親を探しているのか、と言ってきた。



探してはいない。



探しても。



仕方がない。



ビエルカの父親は、僕の父親を知っていると言っていたから。

何か知っているのだろう。

生きているみたいだけど、という言葉を聞いて、そして。

ビエルカの表情を見て、僕は返事をした。

わかった、と。

君の表情を見て、わかったんだ。

一度も会った事がないという事が、物語る。

わかってるさ。

あちらは、会いたくないんだろう。

いいさ。

僕も、会いたくはない。


ジスエルの22日
              王城の見張り台にて

___________________

ドメイル教信仰国オルフブ王国の軍勢は、コーリオ王国軍とウイプル王国増援軍に対して、優勢。

その相手の兵が、むくろの姿をしていたという報告がある。

コーリオ王国は、東のアスデン王国に軍の救援要請をしたらしい。

リガード竜騎士団騎士長アーマンは、王城で再び国王と話をしている。

ドメイル教の推奨する聖戦とは。

南には、今は大人しくも、帝国主義のカーディアもある。

お母様の好きなウイプル王国を、守れる様に。

どの国だろうと、

容赦はしない。

それが、貴女の望みでしょう。


ジスエルの23日
               王城の見張り台にて
___________________
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