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第1章 ドラゴンバスター
さようなら(for five days)
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王城から、隣国コーリオへとウイプル王国増援軍が向かう。
城門付近で彼らの通る道の左右両脇に、リガード竜騎士団が列を組んで、見送った。
援軍の大将マダリアンテが、竜騎士団の団長アーマンに敬礼をして、それにアーマンが反応する。
勇敢なるウイプル兵士達に、栄光を、と。
アーマンは、声を張り上げて、戦に向かうウイプル兵達を讃えた。
大将のマダリアンテは、顔が真四角な形をしているけど、眼光は鋭いな。
悲観などしていない、その勇ましい表情は、立派だ。
貴方に、栄光を。
ジスエルの16日
自分の部屋にて
___________________
リガード竜騎士団のタスリアは、僕の2つ年上だ。
彼は、宿屋をするのが夢だと言った。
不思議な男だ。
なぜ、騎士をやっているのか、わからないな。
僕の夢は、何か、と聞かれた。
夢は、見ない事が、夢だ。
この僕らの戦いの末は、きっと幸せな事にはならない。
小国ウイプルが、帝国主義を持つ様な事をしても、身が持たないだろうから。
そう思えるのは、僕だけかな?
君達は、違うといいね。
僕の場合は、きっと。
たとえ戦に勝っても。
結末は、変わらない。
ジスエルの17日
王城の見張り台にて
___________________
リガード竜騎士団のアーマンは、僕の肩を叩いた。
暗い顔をするな、そう言って、笑っていた。
明るい顔をできる貴方は。
とても不思議だ。
僕は、戦いの中で、信頼を置ける男だから、と。
アーマンは、僕の肩を叩いた。
戦っている間は、仲間になれる、か。
ウイプルのために。
僕の居場所は、このウイプルだから。
居場所を守るために。
ウイプルのために。
そう思えれば、
それが、お母様の希望。
ジスエルの18日
王城の見張り台にて
___________________
今夜は、北の空が明るい。
マッドク王国の方角だ。
聖バハール王国らのドメイル教。
そして、聖戦。
何かにつけ言いがかりをし、聖戦を始める。
その聖戦の先に、見るものは何だろうか。
全ては理想のために、か。
世界は弱肉強食だ。
弱者は、滅びる。
それだけの事なのかも知れない。
ジスエルの19日
王城の見張り台にて
___________________
ミスルタは、無事だろうか。
僕と関わらない方が、幸せだろう。
だから、会わなくなった。
幼い頃、色々と面白い話をしてくれたな。
猫がたくさんいる街とか、林檎だけ食べて暮らしている民族の話とか。
作った話だったのか、本当の話なのか、わからないけど。
面白かったよ。
お互いに、成長して。
そして変わった。
悪い方に変わったのは、僕だけだろうね。
君は、いつも優しかった。
そう。
いつも。
そんなミスルタは、素敵だ。
いつまでも、
その優しい君でいて。
ミスルタ。
さようなら…
ジスエルの20日
王城の見張り台にて
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城門付近で彼らの通る道の左右両脇に、リガード竜騎士団が列を組んで、見送った。
援軍の大将マダリアンテが、竜騎士団の団長アーマンに敬礼をして、それにアーマンが反応する。
勇敢なるウイプル兵士達に、栄光を、と。
アーマンは、声を張り上げて、戦に向かうウイプル兵達を讃えた。
大将のマダリアンテは、顔が真四角な形をしているけど、眼光は鋭いな。
悲観などしていない、その勇ましい表情は、立派だ。
貴方に、栄光を。
ジスエルの16日
自分の部屋にて
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リガード竜騎士団のタスリアは、僕の2つ年上だ。
彼は、宿屋をするのが夢だと言った。
不思議な男だ。
なぜ、騎士をやっているのか、わからないな。
僕の夢は、何か、と聞かれた。
夢は、見ない事が、夢だ。
この僕らの戦いの末は、きっと幸せな事にはならない。
小国ウイプルが、帝国主義を持つ様な事をしても、身が持たないだろうから。
そう思えるのは、僕だけかな?
君達は、違うといいね。
僕の場合は、きっと。
たとえ戦に勝っても。
結末は、変わらない。
ジスエルの17日
王城の見張り台にて
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リガード竜騎士団のアーマンは、僕の肩を叩いた。
暗い顔をするな、そう言って、笑っていた。
明るい顔をできる貴方は。
とても不思議だ。
僕は、戦いの中で、信頼を置ける男だから、と。
アーマンは、僕の肩を叩いた。
戦っている間は、仲間になれる、か。
ウイプルのために。
僕の居場所は、このウイプルだから。
居場所を守るために。
ウイプルのために。
そう思えれば、
それが、お母様の希望。
ジスエルの18日
王城の見張り台にて
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今夜は、北の空が明るい。
マッドク王国の方角だ。
聖バハール王国らのドメイル教。
そして、聖戦。
何かにつけ言いがかりをし、聖戦を始める。
その聖戦の先に、見るものは何だろうか。
全ては理想のために、か。
世界は弱肉強食だ。
弱者は、滅びる。
それだけの事なのかも知れない。
ジスエルの19日
王城の見張り台にて
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ミスルタは、無事だろうか。
僕と関わらない方が、幸せだろう。
だから、会わなくなった。
幼い頃、色々と面白い話をしてくれたな。
猫がたくさんいる街とか、林檎だけ食べて暮らしている民族の話とか。
作った話だったのか、本当の話なのか、わからないけど。
面白かったよ。
お互いに、成長して。
そして変わった。
悪い方に変わったのは、僕だけだろうね。
君は、いつも優しかった。
そう。
いつも。
そんなミスルタは、素敵だ。
いつまでも、
その優しい君でいて。
ミスルタ。
さようなら…
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